2013/3/22

炭鉱展調査/銀座ニコンサロン/宇都宮美術館/栃木県立美術館  他館企画など

午前中、元学芸員のMさんと写真家の萩原義弘さんといっしょに、六本木のクロマート社へ。
同社の設立者でもある写真家の故・加藤恭平が撮影した炭鉱写真の調査に伺いました。
加藤恭平は、戦時期(撮影年は不明)に常磐炭田の入山採炭を撮影していて、坑内の作業現場や人車で運ばれていく坑夫たちの姿、そして炭住に暮らす人びとや選炭婦の作業の様子など、人間の生き生きとした姿を写真に収めているのです。

   *   *   *

興味深い写真を拝見した後は、萩原さんに勧められて銀座ニコンサロン「北島敬三写真展 PLACES」へ。
東日本大震災から2年という歳月を考える企画。被災地を撮影した北島さんの写真も見応えがあり、また、簡単なアンケートに答えると昨年ニコンサロンで開催された連続企画展 「Remembrance 3.11」の図録が無料で頂けるのです(非売品、限定500冊)。
http://www.nikon-image.com/activity/salon/news/index7.htm

クリックすると元のサイズで表示します

図録には石川直樹、笹岡啓子、新井卓、吉野正起、和田直樹、田代一倫、鷲尾和彦、宍戸清孝の作品を収録。

クリックすると元のサイズで表示します

昨夏、丸木美術館で個展を開催した新井卓さんの銀板写真も10点収められています。

   *   *   *

その後、萩原さんと別れ、午後はMさんとともに現代美術家の柏原えつとむさんに合流し、宇都宮へ。宇都宮美術館と栃木県立美術館をめぐりました。
宇都宮美術館では、現在、「ミニマル/ポストミニマル ─1970年代以降の絵画と彫刻─」展を開催中。
遠藤利克、戸谷成雄、堀浩哉、川島清、辰野登恵子、中村一美ら、1970年代以後に活躍する作家たちの表現によって、「ミニマリズム」以降の日本の絵画と彫刻を再考するという企画です。

クリックすると元のサイズで表示します

柏原さん、Mさんという経験豊富なお二人の会話に耳を傾けながら(ただただ感心する一方だったのですが)、遠藤利克《空洞説(ドラム状の)―2013》や戸谷成雄《森Y》、堀浩哉《池へ―81.4》などの作品を観てまわるという貴重な時間。お二人はこうした作家たちといっしょに歳月を重ねてこられたのだな……という歴史の厚みを感じ、心を打たれました。

   *   *   *

最後に、栃木県立美術館の「アジアをつなぐ 境界を生きる女たち 1984-2012」展へ。
昨年暮れに沖縄県立博物館・美術館で開催していた同展を拝見していたのですが、この展覧会は栃木県立美術館のK学芸課長による長年の調査を軸にしている企画。やはり栃木の展示を見逃すわけにはいきません。

クリックすると元のサイズで表示します

「アジア」そして「女性」というテーマ設定のなかで選ばれた個々の作品をどう観るのか。
それらの作品を他者のものではなく、自分自身とつながる問題としてどう捉えていくのか。
そんなことを考えながら、常設展スペースの2階まで使って展開される大規模な展示を観てまわりました。
沖縄展のときは一人でまわったのですが、今回は柏原さん、Mさんのお二人が、どんな作品に反応されるのかを観察しながら観てまわるという楽しみもありました。

展評で賛否が分かれたり、入館者数の伸びが芳しくなかったりという話はちらほらと聞こえていたのですが、しかし、アジアの女性アーティストの大規模な紹介というのは、これまで国内では一度も開催されたことのない企画。
観る人に本当に新しい視点を投げかける企画は、批判の刃にさらされるものなのでしょう。
けれども、そうした新しい試みは、美術館、そして学芸員の仕事にとって、とても重要なものなのだと思います。
その意味で、今日には滅多に観ることのできない刺激的な企画のひとつとして、Kさんの長年の調査研究に、あらためて敬意を示したいと思いました。
3



トラックバックURL

トラックバック一覧とは、この記事にリンクしている関連ページの一覧です。あなたの記事をここに掲載したいときは、「記事を投稿してこのページにお知らせする」ボタンを押して記事を投稿するか(AutoPageを持っている方のみ)、記事の投稿のときに上のトラックバックURLを送信して投稿してください。
→トラックバックのより詳しい説明へ



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ