2012/12/14

映画「ひまわり」試写会/「実験場1950s」/会田誠展・山城知佳子展  他館企画など

午前中、有楽町朝日ホールで行われた映画『ひまわり 〜沖縄は忘れないあの日の空を〜』の完成披露試写会を観に行きました。

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この映画は、1959年6月30日に石川・宮森小学校にジェット戦闘機が墜落し、12名の小学生と近隣住民6名が死亡、210名もの重軽傷者を出したという事件と、2004年8月13日に米軍大型輸送ヘリが普天間・沖縄国際大学に墜落したという事件、そしてオスプレイ配備に揺れる現在の沖縄という3つの時間を交錯させながら、基地問題に翻弄され続ける沖縄の人びとの姿を描いた作品です。

舞台挨拶には出演者の長塚京三さん、須賀健太さん、福田沙紀さんや、監督の及川善弘さん、主題歌を歌ったCivilian Skunk(メンバーの一人が現役の沖縄国際大の学生だそうです)が立ち、それぞれ映画への思いを語っていました。
http://eiga.com/news/20121214/11/

丸木美術館では、昨年12月に石川・宮森ジェット機墜落事故を伝える演劇「フクギの雫」の東京公演に協力しました。
若い出演者の須賀さんや福田さんも挨拶で話していましたが、東京ではなかなか大きく報道されない米軍機墜落事故を「初めて知った」という方には、沖縄の基地をめぐる状況がとてもよくわかる作品なのではないかと思います。



来年、NHKの朝の連続テレビ小説でヒロインを演じる能年玲奈さんも、父親が基地で働くことに負い目を感じながら基地問題を考える大学生という難しい役を好演しています。
佐喜眞美術館で毎年5月に独り芝居を行っている女優の北島角子さんも、戦争の影を負い続ける“おばあ”役を熱演されていました。

この映画は、来年1月26日から新宿武蔵野館などで全国公開されます。

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午後からは、東京国立近代美術館で開催中の「美術にぶるっ!ベストセレクション日本近代美術の100年」(2013年1月14日まで)という企画展の第2部「実験場1950s」を観に行きました。

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現代の原点としての1950年代の意義を、ジャンル横断的な想像力をキーワードに、美術、写真、映像、デザイン、漫画を含む約300点の作品・資料によって捉え直す。」という内容で、実はTV番組などで大々的に宣伝されている第1部の「コレクション スペシャル」より、はるかに重要で深い意味を持つ必見の展覧会です。

「原爆の刻印」と題された導入部では、1952年夏公開の朝日ニュース『原爆犠牲第1号』の映像(原爆投下直後の広島・長崎の被害を撮影し、占領終結まで地下に隠し続けた日映新社のフィルムをもとに制作したニュース映画)が流され、土門拳の「ヒロシマ」、川田喜久治の「地図」という原爆を主題にした写真が対比されるように展示されていました。

会場で無料配布されていた資料には、「原爆イメージの先駆的「伝道師」丸木位里・俊」との見出しで以下の記事もありました。

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原爆投下の知らせを受けたのち、両親や親戚の暮らす広島に赴いた丸木位里・俊夫妻は、その惨状に大きな衝撃を受け、原爆をテーマにした作品を制作することに決めた。1950年第3回日本アンデパンダン展において、《原爆の図》(当時は《8月6日》と題された)を彼らは発表、大きな反響を呼ぶ。その後続編を描き連ね、全国各地に作品を展示して回った。GHQの占領下において原爆に関する情報公開は禁じられていたため、丸木夫妻が試みた全国巡回の展示活動は、原爆の実情を伝達するための先駆的な役割を果たしたといえよう。なお、彼らの活動は今井正・青山通春監督作品『原爆の図』(1953年)というドキュメンタリー映画によって紹介されるなど、さまざまなメディアによって流布していった。

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鶴岡政男の《重い手》や河原温の「浴室シリーズ」などで構成された「静物としての身体」の章を通過すると、池田龍雄らによるルポルタージュ絵画をはじめ、北関東の版画運動や花森安治の『暮しの手帖』、土門拳のリアリズム写真運動など、記録と運動体を特集する章へと続きます。
九十九里の米軍射撃運動場の反対運動を題材にした粟津潔のポスター『海を返せ』の原画、砂川闘争を描いた中村宏の《砂川五番》、山下菊二の《あけぼの村物語》もありました。映像作品では、亀井文夫の『流血の記録砂川』、野田真吉の『忘れられた土地』、松本俊夫『安保条約』などのドキュメンタリ映画も見逃せません。

先日、東京都写真美術館で観た企画展「記録は可能か。」でも感じたことですが、1950年代に隆盛となった現実の社会に介入する表現運動の意味が、いま、あらためて問い直されているのだと強く感じます。
もちろん丸木夫妻と《原爆の図》とその全国巡回展は、1950年代のこうした表現運動と相互に影響を与え合いながら深くかかわっていたわけで、そのあたりの問題も含めて、今後さらに掘り下げて考えていきたいと思っています。

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その後は、六本木の森美術館で開催中の企画「会田誠展 天才でごめんなさい」「MAMプロジェクト18:山城知佳子」展を観ました。

会田誠は、昨年丸木美術館で個展を開催したChim↑Pomの師匠筋にあたる芸術家。
「戦争画リターンズ」のシリーズなどは以前にも単発で観たことがありましたが、今回はこれまでの制作の全貌を明らかにするという試みです。
エロティックやグロテスクな表現、そして政治的、歴史的な問題など社会でタブー視されているテーマに鋭く切り込んでいく作家なのですが、ともかく一筋縄ではいかないので、森美術館も思いきったなあと感心しながら会場をまわりました。
18歳未満入室禁止の部屋がある展覧会というのは初めてでした。

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そして、沖縄を主題にした写真や映像作品で知られる山城知佳子の展覧会。
2008年に東京国立近代美術館「沖縄プリズム」展で見た《アーサ女》の印象は鮮烈でした。

今回展示されたのは、新作の3面映像《肉屋の女》。
米軍基地敷地内にある「黙認耕作地」の闇市で肉屋を営む女性を主人公に、沖縄のさまざまな現実(たとえば、日本と沖縄、女性と男性、環境と開発、あるいは生命など)を示唆する不条理な物語が映し出されます。約20分間の映像は、終わりと同時にはじまりにつながり、永遠にループを続けるかのようです。



「黙認耕作地」という人工的な境界線を侵食する民衆のエネルギーの象徴のような“無法地帯”を舞台にしているところが非常に興味深く、一切の説明のない映像にさまざまな思いをめぐらせながら、3回ほど続けて観てしまいました。
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