2016/10/18

Chim↑Pom「また明日も観てくれるかな?」展  他館企画など

紀伊国屋ホールの後は、たぶん15年ぶりくらいに歌舞伎町に足を踏み入れました。
すっかり変わった様子に驚きながら、Chim↑Pom「また明日も観てくれるかな?」展にたどり着きます。大規模個展は広島以来とのこと。

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会場は老朽化した歌舞伎町商店街振興組合ビル。
とにかく入口がわかりにくいのですが、手書きの案内に沿っていけば受付があります。

受付にはエリイちゃんと林くんがいました。
まずは、会場内の事故は自己責任であるとの同意書にサインをします。
すぐにリーダーの卯城くんも出てきて、各フロアをまわりながら解説案内をしてくれました。
卯城くんは「監視員のバイト代が出せないんで・・・」と言っていましたが、それぞれのフロアには稲岡くん、岡田くん、水野くんとChim↑Pomメンバーが1人ずつ、ちょっと退屈そうに監視をしていて、展示を巡りながらメンバー全員と久しぶりの再会ができたのは、何だか嬉しかったです。
こうしたユーモラスでDIYな感じは、彼らの持ち味だと思います。

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写真は4階、中央部分が切り抜かれたフロア(周囲に柵なし)と、監視員の稲岡くん。

「たんなる廃墟での展覧会だったら、珍しくはないのでやらなかった。歌舞伎町商店街振興組合というのが面白くて、ここでやろうと思ったんです」と卯城くんは言っていました。
ここは日本で一番古い振興組合で、歌舞伎町の「青写真」を描き続けてきた場所だそうです。
その場所の持つ意味や歴史性を、現代と結びつけようとする志向が彼らにあることを、あらためて認識しました。

4階は振興組合事務所の痕跡が青焼きで提示されています。
3階には歌舞伎町のジオラマとスーパーラットや「Black of Death」の映像が流れ、2階では掃除ロボットが延々とペンキで床を汚し続けます。
1階にはすべてのフロアの中央部分を切り抜き、積み重ねた「ビル・バーガー」の巨大彫刻がそびえています。
戦後の焼け跡から立ち上がった歌舞伎町の歴史を、「青写真」と「スクラップ&ビルド」をキーワードにしながら展開しています。
その意識の先には、復興幻想の象徴とも思える「東京オリンピック」があります。
最後の映像では、完全にルーティン化した「国威発揚」を延々と垂れ流し続けていました。

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「歌舞伎座の誘致などの都市計画がありながら頓挫して、結果的にこの街は、さまざまな意味でのマイノリティが共存する稀有な場所になった」と卯城くん。
その歴史を見続けてきた廃墟ビルで、6人組の美術家集団と1匹の生きたネズミ(ここで捕まえたらしい)が来場者を待ち受けています。

会期は10月31日まで。会期終了後には、展示ごとビルが解体されるそうです。
その残骸を使って、第2弾の展覧会を予定しているというから、この展示はまだ序章に過ぎないのです。
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2016/10/18

『静かな海へ -MINAMATA-』  他館企画など

昨日は、斉藤とも子さんからご案内頂き、紀伊国屋ホールで上演中の『静かな海へ -MINAMATA-』を観ました。
水俣病を最初に発見し、チッソ水俣工場付属病院長という立場でありながら、原因究明の実験を行った細川一医師をモデルにした舞台。

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丸木夫妻は初めて水俣を訪れたとき、患者の姿を目の当たりにして「原爆よりも衝撃を受けた」と語っています。
それほどの苦しみを受けた人びとを前にして、自身の勤務する会社が原因ではないかと気づいたときの気持ちは、どんなものだったか。
実験結果を公表できない立場であることの苦悩、退職後に裁判で証言する決意をするまでの心の動きを、丁寧に描いています。
その主人公の医師を永島敏行さん、妻を斉藤とも子さんが演じています。

トム・プロジェクトの「採算を度外視した公演」(斉藤とも子さん談)は、以前に松下竜一をモデルにした『かもめ来るころ』も、とても良かったです。

利便性を求める近代社会の不条理や悲劇に直面し、次第に深く関わっていく主人公の苦悩と葛藤を、平穏な日常を望む家族の視点を交えながら描いていくので、ところどころ、身につまされたりもします。

もちろん、自分にできる範囲のことを少しずつでもがんばっていこう、と背を押される作品なので、とりあえずは〆切をとうに過ぎながら遅々として進まない原稿を書き上げようと、心を新たにしたのでした。

上演後は斉藤とも子さんにご挨拶して、いつも良いお芝居にご案内頂くことに御礼を言いました。
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