2016/1/30

「私戦と風景」展初日  企画展

「私戦と風景 Private war and Landscapes」展がはじまりました。
結局、展示作業は朝までかかったので、作家たちにつきあって私も美術館に泊まりました。
2011年のChim↑Pom展以来のことです。

クリックすると元のサイズで表示します

出品作家のひとり、手塚太加丸くんが企画展示室全体に高床を張り、丸木美術館の空間を一変させるような、エネルギッシュな展示ができあがっています。

キュレーターの齋藤桂太くんから展覧会のタイトルをもらったとき、ぼくが初めてこの美術館に来たときの事務局長だったSさんが「国同士の戦はダメだが私戦はいいのだ」と物騒なことを言っていたのを思い出しました。
20代のぼく(つまり、今展の出品作家と同世代でした)は、正直、いいのか!と驚いたのですが、Sさんはその後ほどなく死んでしまいました。
桂太くんの言う「私戦」とSさんのそれに通じるものがあるのかどうかはよくわかりませんが、少なくとも人にはそれぞれ、戦うべき何ものかがあるのでしょう。

彼らは幼いとき、多感な時期と2度の震災を経験するなど、もはや社会が平穏でないことを覚悟しながら大人になっています。
その彼らが、芸術を通してどんな「戦い」を見せるのか、ぼくには興味がありました。

桂太くんの企画趣旨は、必ずしも「社会の理不尽と戦う」という単純なものではないことが伝わってきました。
そうした役割を引き受けやすい丸木美術館もまた、彼らにとっての「戦い」の相手のひとつなのかもしれません。
「戦う」ということは、言い換えれば真剣に向き合うことであります。
やるだけやってみて欲しい、と思います。

クリックすると元のサイズで表示します

この空間に展示するということは、《原爆の図》と「戦う」ことでもあります。
そして、彼らがどれだけ自覚しているかはわかりませんが、《原爆の図》は「芸術」としても相当手強い相手です。真剣に向き合えば向き合うほど、そのことがわかってきます。
以前にはChim↑Pomや遠藤一郎くんのような若手の現代アートの旗手たちも、この「戦い」を経験しています。
今回の展示は、その次世代のキュレーターや作家たちです。
彼らには、Chim↑Pomたちを乗り越えていかなければならない「戦い」も待っています。

最近、文化庁の方や、美術館・ギャラリー関係者などから、「若い子たちが丸木美術館で展示したいと言っている」という話をたびたび聞くようになりました。半分はリップサービスもあるのだと思いますが、少し前なら考えられなかった話ではあります。

今展のオープニングでも、「丸木美術館で個展をしたいが、どうすれば良いか」と若い女性作家に真剣に聞かれました。
「それを機に《原爆の図》に出会うのは良いこと」と、沖縄から来て下さった美術館のM学芸員にも言われました。
美術館の背負ってきた歴史性を踏まえつつ、新たな可能性を拓く場所として、これから丸木美術館が認知されていくとしたら、やっぱり自分は嬉しいのだろうな、と思います。

個々の作家の展示については、私自身まだよくわからないところもあるので、会期中に作家の話も聞きながら、もう少し時間をかけて考えていきたいと思います。
展覧会は2月27日まで。
0

2016/1/29

芸術批評誌『REAR(リア)』“戦争を視る”特集  執筆原稿

名古屋の芸術批評誌『REAR(リア)』36号(2016年1月25日発行)が手もとに届きました。

クリックすると元のサイズで表示します

http://2525kiyo.cocolog-nifty.com/

特集は「2015 戦争を視る」。
その充実のラインナップを、以下に目次を抜き出して紹介します。
私も「原爆の図米国展」の簡単な報告を寄稿していますが、他の寄稿者の文章にも、《原爆の図》がたびたび言及されています。
戦争を主題にした展覧会が集中した2015年を回顧する上で、欠かせない文献になるのではないでしょうか。

個人的には、当初の原稿〆切から最終校正まで日が空いて、その間に開催されたニューヨーク展を踏まえて全面的に書き直そうかと迷いながら、結局、そうした時間を作り出せずに中途半端な修正原稿になってしまったことが悔やまれます。

ともあれ、発行・編集者の皆さまの奮闘に、心から敬意を表したいと思います。

==========

○特集「2015 戦争を視る」
・戦後71年からのための準備としての、戦後70年  土屋誠一
・何を可視化するのか 戦争と芸術‐美の恐怖と幻影  飯田高誉
・褐色の時代に抗いながら戦争の核心に迫る表現の交響─広島県立美術館での「戦争と平和展」を見て─ 柿木伸之
・戦後70年、海を渡った《原爆の図》 岡村幸宣
・「戦後70年」「被爆70年」を記念した美術展の多様さと今後の課題 小勝禮子
・「20世紀日本美術再見 1940年代」―1940年代美術への一つのアプローチ 毛利伊知郎
・「画家たちと戦争:彼らはいかにして生きぬいたのか」展を終えて 山田 諭
・「画家たちと戦争:彼らはいかにして生きぬいたのか」展の思想 石崎 尚
・「もうひとつの歴史」への問いかけ―栃木県立美術館「戦後70年:もうひとつの1940年代美術―戦争から、復興・再生へ」展 小沢節子
・実在への視線―「戦後日本美術の出発1945‐1955」展 天野一夫
・板橋区立美術館のコレクションと「近代日本の社会と絵画 戦争の表象」展 弘中智子
・白川昌生「消された記憶」に寄せて 金井 直
・「衣服が語る戦争」を開催して 村上佳代
・「美術」にとって戦時期とは何であったか―戦後70年美術展をたどって 長田謙一
・〈報道写真〉の連続性―「戦争と平和―伝えたかった日本」展についての覚え書き 小原真史
・映画『野火』が放つ“肉体の死”と戦争 対談:塚本晋也×松江哲明
・映画『野火』を見て 会田誠
・戦後70年の夏を考える―うろ覚え戦争映画みてある記 尾辻里音
・実験映画、ビデオ・アートにおける社会的主題について 越後谷卓司
・「佐喜眞美術館のスタンス」展 杉山章子
・日韓近代美術家のまなざし―「朝鮮」で描く 平瀬礼太
・《Pour Kimiyo》レオナール・フジタからの贈り物―戦後70年目の藤田嗣治展 廣江泰孝
・70年目の夏におくる展覧会。「イマジン─争いのない世界へ」 ラワンチャイクン寿子
・戦後70年特別企画展「ニシムイ―太陽のキャンバス―」 前田比呂也
・戦後70年沖縄美術プロジェクト「すでぃる」について 翁長直樹
・野見山暁治 講演会「還らぬ友人たち」 採録:野見山暁治
・熊本県立美術館「戦後70年記念 浜田知明のすべて」井上正敏
・八月十七日の浜田知明さん インタビュー:浜田知明
0

2016/1/28

『図書新聞』に『《原爆の図》 全国巡回』書評掲載  掲載雑誌・新聞

岡村幸宣著『《原爆の図》全国巡回』(新宿書房)を読む
 ――武居利史、『図書新聞』3241号(2016年2月6日)

クリックすると元のサイズで表示します

『図書新聞』の1面トップで、府中市美術館学芸員の武居利史さんによる『《原爆の図》全国巡回』の書評が掲載されました。

武居さんは、たびたび展覧会や講演会などでお会いする、尊敬する先輩学芸員のひとり。
教育普及担当をつとめてこられた学芸員ならではの視点から、拙著を「一九五〇年代の文化運動を知る入門書」として、そして《原爆の図》の受容史研究という面も含めて紹介して下さっています。
他紙に比べてもたいへん文字数の多い書評なのですが、以下に後半部を抜粋します。

==========

 近年、一九五〇年代の文化運動を見直す研究が盛んになりつつある。職場のサークル運動など戦後民主化の流れの中で、新たな文化活動の広がりが生まれた時代だ。戦後文化人が多く関与した共産党が、レッドパージや内部分裂で混乱するなど政治的に複雑な面はあった。だが、平和運動や労働運動など、社会運動は全般に高揚し、政治的視点のみでは把握しきれない、民衆を主体とした文化的空間が生み出されていた。専門家と大衆が結びつき、ジャンルを超えた共同が生み出された。当初は作品だけだった《原爆の図》も、科学者や学生の運動と結びついて「綜合原爆展」へと発展する。作品は映画や幻灯にもされて上映が進められた。本文中には、観客の率直な感想も紹介され、巡回展の受けとめや支えた人々の息遣いが伝わってくる内容になっている。

 戦後間もない時期の出来事は、生きている当事者も少なくなり、一般的に忘れられてしまっている事柄も多い。そこで本書では、初めて読む人にもわかるように、キーワードに解説のための註が豊富につけられている。一九五〇年代の文化運動を知る入門書としても役立つはずだ。また巻末には、今井正らが監督した映画『原爆の図』(一九五三年)のシナリオが採録され、国内巡回展のデータも収録されている。このような戦後民衆が支えた新しい文化の歴史は、地道な調査によって掘り起こさなければ見えて来にくい。よく知られているはずの《原爆の図》を、創作者の側からだけでなく、受容者の側からとらえることで、新たな魅力を生きいきとよみがえらせる。戦後社会における美術受容の問題に光を当てた研究としても注目されるべき本である。


==========

丸木夫妻は「大衆が描かせた絵画」とたびたび語っていますが、この本の隠れた主役は絵の前に立つ「人びと」であったので、こうした言及をとても嬉しく思います。
0

2016/1/27

最後の「鎌倉近代美術館」へ  他館企画など

今月いっぱいで幕を閉じてしまう神奈川県立近代美術館鎌倉、通称「鎌倉近代美術館」へ。
最後のお別れに行ってきました。

クリックすると元のサイズで表示します

受付からぐるりと裏に向かって入場券を求める人の行列ができています。
人びとに愛された美術館であることをあらためて感じました。

クリックすると元のサイズで表示します

この日本最初の近代美術館ができたのは、1951年のこと。
まだ占領下の時代、《原爆の図》全国巡回のまっただなかです。
その頃は丸木夫妻も鎌倉に近い藤沢に住んでいたので、同じ時代に同じような空気を共有していたことを、あらためて考えました。

クリックすると元のサイズで表示します

ル・コルビジェの弟子であった坂倉準三の名建築。
「鎌倉近代美術館」としての最後に、青い空の下で池に映る美しい姿を見ることができたのは良かったです。

クリックすると元のサイズで表示します

60年を超える長い歴史のうち、私が実体験として知っているのは90年代以後、たかだか20年ほどなのですが、思い出に残る展覧会はいくつもあります。
やっぱり一番は、まだ学芸員になっていなかった20代の頃に観た「モボ・モガ展」でしょうか。
自分にとっては、原点のひとつとも言える展覧会でした。

美術館がその役割を終えて閉館するとはどういうことか。
しっかりと記憶に留めておきたくて、じっくりと館内を見て歩きました。
0

2016/1/22

KENにて壷井明《無主物》を見る  他館企画など

午後、世田谷美術館へ「フリオ・ゴンザレス展」を観に行き、学芸員NさんとTさんに近況報告とご挨拶。

その後は三軒茶屋のKENへ。
KENでは、壷井明《無主物》を中心に、過去の作品も展示中でした。
どうやら、ドキュメンタリ映像を撮っているようです。

クリックすると元のサイズで表示します

以前、丸木美術館のアートスペースで展示したこともある《無主物》は、その後もシリーズが増え続けて、川俣町で一時帰宅中に焼身自殺をされた渡辺はま子さんを主題にした新作ができていました。

クリックすると元のサイズで表示します

途中でとどまることなく福島へ足を運び続け、人の声に耳を傾け、そして手を動かしながら思考してきた壷井さんの持つ説得力。

クリックすると元のサイズで表示します

壷井明を受け入れない日本美術界の現状に対する粟津ケンさんのアジテーションも絶好調で、つい帰宅が遅くなってしまいました。
0

2016/1/22

放射能影響を考える談話会のお知らせ  他館企画など

私も共同研究員に名を連ねている共同研究プロジェクトからのお知らせです。
関西方面の方、ご興味のある方はぜひご参加ください。
以下、代表の中原聖乃さんからの告知です。

*****

放射線影響を考える談話会「放射能汚染に立ち向かう―測定と生活の場から」開催のご案内

広島・長崎の原爆やチェルノブイリ原発事故をはじめとして、放射線影響に関する調査・研究は数多くおこなわれてきました。
しかしながら、その結果や評価は一様ではありません。その不確定な放射線影響はどのような問題を引き起こすのでしょうか。
今回の放射能影響を考える談話会では、福島大学環境放射能研究所の青山道夫教授をお招きし、長年測定に携わってきたご自身の経験を軸に、海洋放射能汚染の歴史についてお話いただきます。
東日本大震災後、当時青山先生が所属されていた機関が行った放射線測定については、朝日新聞の「プロメテウスの罠」でも大きく取り上げられました。福島での市民による測定活動や核実験被災地の生活に関する話も交えながら、参加者のみなさんとともに、放射能の測定とその影響に関する知識を深めていくことができたらと考えます。
どなたでも事前予約なくご自由に参加いただけます。また興味のある方にもお声がけいただければ幸いです。 
皆様のご参加をお待ちしております。

■日時: 2016年2月7日(日) 13時00分〜16時00分

■会場:国立民族学博物館 2階 第4セミナー室
(所在地 〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1 代表電話:06-6876-2151 )

■講演者: 青山道夫 氏(福島大学環境放射能研究所教授)

■プログラム:
13:00-13:05 ご挨拶
中原聖乃(中京大学社会科学研究所特任研究員)

13:05-13:35 放射線影響の現場から 
島明美(ふくみみラボ)「福島の生活と市民測定」 
中原聖乃(中京大学) 「マーシャル諸島核実験被害地のいま」

13:35-14:40 講演「海洋の人工放射能汚染の歴史――核実験および原子力発電所事故」
青山道夫 氏(福島大学環境放射能研究所)
      
14:40-14:50 (休憩)

14:50-15:00 質疑応答

15:00-16:00 総合討論

■参加費:無料(事前申込不要)

■主催:国立民族学博物館 共同研究プロジェクト
「放射線影響をめぐる『当事者性』に関する学際的研究」

■共催:日本文化人類学会 課題研究懇談会「災害の人類学」

■問い合わせ先
場所等に関する問い合わせ 
国立民族学博物館 06-6876-2151(代表)
内容に関する問い合わせ 
中原聖乃 E-mail: nakaharasatoe@yahoo.co.jp

■会場へのアクセス 
会場は万博記念公園内の北に位置する国立民族学博物館です。
会場へのアクセスは主に2通りあります。わかりやすいのは、大阪モノレール「万博記念公園駅」から万博公園の中央ゲートを通り、公園内にはいり、北方面に向かう方法です。徒歩15分です。この場合、公園の入場料250円が別途必要になります。
もうひとつは大阪モノレール「公園東口駅」から行く方法です。
こちらは駅から大きな橋を渡り、東口から入り西方面に歩きます。徒歩15分です。こちらは入場料は不要です。いずれの方法も国立民族学博物館ホームページに写真入りで記載されていますので、以下のアドレスでご確認ください。
http://www.minpaku.ac.jp/museum/information/access
当日は、国立民族学博物館正面玄関から建物内にお入りいただき受付にて会場をご確認ください。

みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
1

2016/1/19

『中国新聞』にヨシダ・ヨシエさん追悼文掲載  執筆原稿

「原爆の図」に新たな命 ヨシダ・ヨシエさんを悼む
 ―2016年1月19日付『中国新聞』

クリックすると元のサイズで表示します

『中国新聞』の依頼で書いた追悼文が、掲載されました。
実はその他にも、共同通信の依頼で書いた別の追悼文が『長崎新聞』や『熊本日日新聞』、『新潟日報』、『福島民友』、『信濃毎日新聞』など各地の地方紙に掲載されているのですが、そちらは訃報を聞いたその日に急いで書きあげたので、少し時間を置いてから書いた中国新聞の方が「出来が良い」と担当のD記者もおっしゃってくれているため、こちらの方を紹介しておきます。

写真は2010年、都内の女子中学校に向けて丸木美術館で講演したヨシダさんのお姿です。
0

2016/1/19

次回企画展「私戦と風景」のお知らせ  企画展

前日の休館日に降った雪が残り、まずは雪かき仕事に励んだ一日。

現在、美術館奥の竹林には、次回企画展「私戦と風景」展の出品作家のひとり、手塚太加丸くんが小屋を建てて泊まり込んでいます。

クリックすると元のサイズで表示します

屋久島出身、沖縄在住の彼は、初めて間近に感じる大雪にとても興奮していたようです。
美術館前の雪かきも、自分から進んで手伝ってくれました。
昨年末から小屋暮らしで、大掃除を手伝って忘年会まで参加したリ、近くの建設会社に仕事を手伝いに行って展覧会の材料を調達してきたり、なかなか頼もしい若者です。

「私戦と風景」展は、20代の若者たちが中心となってキュレーション、展示を行います。
どんな展示になるのか、まだ全体像はわかりませんが、キュレーターの齋藤桂太くんの文章はなかなか刺激的です。

==========

アーティストは、自分が目の前に見据えた、戦うべき相手とのみ、じっくりと対峙する。 目を逸らさず、自分の目の前に存在している、 もしかしたら世界中でたった一人、自分にとってしか重大な敵ではないかもしれないものに対して、 ただ黙々と格闘を続ける。

そして我々は、全くもって現実の社会から抜け出し、あるいは現実の世界を諦める訳ではない。 我々の目的は、我々の作品の鑑賞者が、社会に存在する風景を経由して、全く予想しなかった角度から、社会の枠組みを揺るがすことである。 それは既存の法則とは全く異なった論理体系から、鮮やかに現実世界へと介入する可能性を探索すると いうことだ。 私戦と風景は、そのような鋭利な作品を携え、風景から現実世界へと飛び込むような展示として行われる。


==========

これは「私戦と風景」展概要文からの抜粋。
全文は以下のウェブページで読むことができます。
http://www.aya.or.jp/~marukimsn/kikaku/2016/2016privatewar.html

バブル崩壊、阪神大震災の頃に生まれ、20歳前後で「3.11」を経験した彼らの世界への対峙の仕方がどのようなものであるのか、私自身が非常に興味を持って見ています。
「社会の枠組みを揺るがす」という彼らの「私戦」は、もしかすると、展示場所である丸木美術館をも「重大な敵」のひとつとみなして格闘する覚悟なのかもしれません。
それもまた面白い、と個人的には思います。

彼らなりの「私戦」の行く末を、じっくり見届ける一ヵ月になりそうです。
0

2016/1/18

『美術手帖』に『《原爆の図》全国巡回』紹介  掲載雑誌・新聞

『美術手帖』2016年2月号「BOOK」欄に『《原爆の図》 全国巡回』が紹介されました。

クリックすると元のサイズで表示します

読者プレゼントつきですので、ぜひご応募ください。
特集は漫画家の浦沢直樹。世田谷文学館で展覧会も開催中です。
0

2016/1/16

今日の反核反戦展企画『首相官邸の前で』上映会  イベント

「今日の反核反戦展2016」最終日。
招待作家のイルコモンズ(小田マサノリ)さんも出演されている映画『首相官邸の前で』(小熊英二監督、2015年)のトークシェア上映を行いました。

クリックすると元のサイズで表示します

会場には30名を越える方が集まりました。
歴史社会学者の小熊英二さんの初監督作品とのことですが、映画の作りが面白かったのは、ネット上で見られる自主撮影映像を、撮影者の賛同と協力にもとづいて多数使用しているという点。
「大手メディアが報じない」と言われ続けてきた脱原発デモの現場を、無数の撮影者たちの映像によって記録するという試みは、「3.11」後の状況をよく表しているようにも思えます。
映画の中でインタビューを受けているのも、「世代・国籍・出身・地位、全てがちがう」8人であり、デモを組織する「全体のリーダー」ではない点が象徴的でした。

クリックすると元のサイズで表示します

その8人のうちのひとりである小田さんは、上映後のトークで、「すべてを語りつくしていないから、描かれていないことが観客の話題になるという意味で、開かれた映画」と評していました。
実際、この映画上映の条件は、必ずトーク・ディスカッションをすること、というのです。

クリックすると元のサイズで表示します

作品の英題は「Tell the Prime Minister」。
その名の通り、映画のラストシーンは、小熊さんや小田さんらが、野田総理大臣(当時)と面会し、脱原発を直接要求する場面でした。
そこで小田さんは、「野田首相は『Never, never, never, never give up』(1月4日年頭会見)とおっしゃいました。この言葉をそっくり野田首相に申し上げたい。私たちは決して、決して、決して、決してあきらめません。あきらめないだけではありません。3月11日に起こったあの事故と、それによって失われたもの、それを絶対に決して忘れない。そして、だから原発を絶対に決して許さない。政府が原発をやめますとはっきりと言わない限り、ぼくらはこの抗議を決してやめない」と発言していました。
この発言が、もしかすると映画全体のハイライトになっているのかもしれません。

上映会のトークの中で、今まで動き続けていた原発の数と比較すれば、原発ゼロからいくつか原発が動いただけで脱原発運動を「失敗」と思ってはいけない、かならず脱原発の時代は来る、との確信を語った小田さん。
最後に、「良いことは蝸牛のペースで進む」とガンジーの言葉を引用されていたのが、とても印象的でした。
0

2016/1/15

『週刊読書人』に『《原爆の図》全国巡回』書評掲載  掲載雑誌・新聞

全国170ヵ所の巡回展記録 《原爆の図》が動かしたものは何か
 ――『週刊読書人』2016年1月15日号

クリックすると元のサイズで表示します

美術・文化社会批評のアライ=ヒロユキさんが、書評を書いて下さいました。

==========

 言論統制という不自由さはあったが、砂に染みこむ水のように本作を受容し、感動し、衝撃を受け、ときに金勘定をする逞しい人々の姿があった。いまはこのようなパワーを美術は社会的に持ち得ない。現政権下で再び言論表現は強い統制を受け始めている。当時の人々のように私たちは自由に振る舞えるだろうか。

 岡村は全国巡回展がもうひとつの再制作絵画によっても担われたことを本書で明らかにした。近代的個性の発露とされる美術作品は、創造という奇跡の瞬間を保証する唯一性に大きな価値を置く。だが拝むように鑑賞する人々など、近代絵画の性格と異なる受容の様子が本書から窺える。それこそが本作の稀有な価値であり、現在の美術のありようを再考する上でも有益な示唆を与えてくれる。

(一部抜粋)

==========

戦後前衛美術、そして社会と芸術との関わりについて造詣の深いアライさんならではの、見事な内容です。本当にどうもありがとうございます。
0

2016/1/13

飯坂温泉伊勢屋旅館より作品寄贈  作品・資料

福島の奥座敷・飯坂温泉の伊勢屋旅館が昨年末に閉館し、所蔵されていた丸木位里の絵画を寄贈して下さるというので、若手ボランティアM山くんの運転で、引き取りに行きました。

クリックすると元のサイズで表示します

前日から現地入りして、農学部出身のM山くんのリクエストで、江戸時代から続く豪農であった旧堀切邸を見学。

クリックすると元のサイズで表示します

それから、松尾芭蕉も訪れたという飯坂温泉発祥の地である共同浴場・鯖湖湯、飯坂温泉のシンボルで、1915年建設の歴史的なアーチ橋である十綱橋など、のんびりと観光しました。
今年一番の寒さの中、昼間から温泉に入り浸っているのはいい気分ですね。

クリックすると元のサイズで表示します

伊勢屋旅館は1947年創業。少なくとも1960年代から、丸木夫妻はたびたび滞在し、位里さんは87年、95年(死の半年前)の二度にわたって竹や梅の襖絵を描いています。

クリックすると元のサイズで表示します

伊勢屋さんの名前の入った色紙は、こちらで持って頂くことに意味があるので、寄贈を受けずに置いていくことにしました。

クリックすると元のサイズで表示します

寄贈作品のなかには、火焔山や鵜を主題にしたなかなか良い作品もありましたが、残念なことに題名や制作年は不明。

クリックすると元のサイズで表示します

飯坂温泉は、70〜80年代の最盛期には車が通れないくらい道路に観光客があふれたそうですが、近年は全体的に営業が厳しくなり、そこへ3.11の打撃が大きく重なったとのこと。
やるせない思いで作品を梱包し、お預かりしました。

   *   *   *

実は、伊勢屋旅館の作品は、すべて丸木美術館に寄贈されたわけではなくて、菩提寺の円蔵院八幡寺にも寄贈されています。

クリックすると元のサイズで表示します

ご住職にお話を聞いたところ、円蔵院八幡寺は、源義経の家臣として知られている佐藤継信・忠信兄弟とも縁があり、源氏の八幡信仰と神仏習合の産物とのこと。

クリックすると元のサイズで表示します

位里さんの梅の絵は、あまり見たことのない縦長の画面で、とても良い作品でした。

クリックすると元のサイズで表示します

もうひとつの水墨画は三陸の海でしょうか、やはり、どちらもタイトル制作年ともに不明です。

帰りは東北自動車道を途中で降りて、白河のアウシュビッツ平和博物館・原発災害情報センターに立ち寄りました。

クリックすると元のサイズで表示します

T理事長やO館長には、平和のための博物館ネットワークでお世話になっていますが、私はこの博物館を訪れるのは初めて。

クリックすると元のサイズで表示します

茨城県旧玉里村より移築した江戸中期の古民家の本館をはじめ、アンネの展示があるレンガ棟、「子どもたちの目に映った戦争」展示がある貨車など、手作りの良さをうまく生かした施設に、心温まりました。

クリックすると元のサイズで表示します

写真は、M山くんの撮影で、薪ストーブを囲みながら、T理事長、O館長と談笑しているところ。
冬に寒いところを訪れるのも、いいものですね。

クリックすると元のサイズで表示します

O館長は、「3.11」以後、原発問題にも深く関わりながら、原発災害情報センターを立ち上げています。

クリックすると元のサイズで表示します

あまり見学の時間がなくて残念でしたが、いずれ再び訪れて、じっくりと展示を見てまわりたいと思います。
M山くんの安全運転のおかげで、予定通り閉館前に、無事に丸木美術館に帰着しました。
0

2016/1/10

ヨシダ・ヨシエさんの葬儀・告別式  分類なし

この上ない晴天。
美術批評家ヨシダ・ヨシエさんの葬儀・告別式の前に、ご自宅近くの雷電池(かんだちがいけ)に立ち寄りました。

クリックすると元のサイズで表示します

この池には龍蛇が棲み、干ばつのときに池のほとりの雷電社に祈ると必ず雨が降ったという言い伝えが残っています。

クリックすると元のサイズで表示します

4年に1度、巨大な龍蛇が練り歩く雨乞の祭りがあり、ヨシダさんはこのいわれが大好きで、「龍のフェスティバル」というアンデパンダンのアート祭を企画されていました。
のどかに鴨の群れが泳ぐ池のほとりで、しばし、ヨシダさんを偲びました。
そういえば今年は、雨乞祭りの年です。

クリックすると元のサイズで表示します

式場には、重村三男さんによるヨシダさんのブロンズ像が屹立していました。
ヨシダさんのご自宅の玄関前にあった彫刻です。

クリックすると元のサイズで表示します

昨日の通夜の小沢節子さんの弔辞の一節が、とても心に残りました。
「アヴァンギャルドな青年、ヒッピーな中年、パンクな老人」
たぶん、ヨシダさんが一番、喜んでいたのではないでしょうか。

クリックすると元のサイズで表示します

70年代、80年代のヨシダさんの活動について調査研究を続け、このたび、UCLAのヨシダ・ヨシエ文庫設立にも尽力された嶋田美子さんが、ヨシダさんのお宅にあったという赤松俊子(丸木俊)のデッサンの存在を教えてくださいました。

1950年夏といえば、ちょうどヨシダさんが原爆の図第2部《火》のモデルになっていた頃です。
0

2016/1/10

『東京新聞』に『《原爆の図》全国巡回書評掲載  掲載雑誌・新聞

芸術表現 流布の力学
 ――2016年1月10日付『東京新聞』朝刊

クリックすると元のサイズで表示します

「もう一冊」として、小沢節子さんの『「原爆の図」ー描かれた〈記憶〉、語られた〈絵画〉』(岩波書店)も紹介されています。
評者は、立命館大学の福間良明さんでした。どうもありがとうございます。
2

2016/1/10

共同通信が『《原爆の図》全国巡回』紹介  掲載雑誌・新聞

新刊紹介『《原爆の図》全国巡回』
 ――共同通信配信 2016年1月10日(『日本海新聞』、『山形新聞』、『長崎新聞』、『山梨日日新聞』)

クリックすると元のサイズで表示します
0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ