2014/3/1

清野光男+加藤幸子対談「芸術と環境」  企画展

午後2時から、企画展「清野光男展 福島から/福島へ」の関連イベントとして、清野さんと作家の加藤幸子(ゆきこ)さんの対談「芸術と環境」が行われました。
あいにく小雨まじりの一日でしたが、福島県の川俣町や宮城県の石巻、大阪など遠方からの来館者も含めて、25人ほどの方が参加して下さいました。

クリックすると元のサイズで表示します

加藤幸子さんは清野さんのお連れ合いの文子さんの従姉にあたります。
北海道大学を卒業後、農林省農業技術研究所や日本自然保護協会に勤務され、1982年に幼少期に過ごした北京での体験をもとに記された『野餓鬼のいた村』で新潮新人賞を受賞。さらに1982年下半期(1983年1月)に『夢の壁』で芥川賞を受賞するなど文筆活動を行いながら、自然環境問題にも深く関わり続けてきたという方です。

80年代の柏崎原発建設の際には有識者会議にも参加し、原発推進派ばかりのメンバーのなかでひとりだけ異を唱え続けていたとのこと。
現地調査にも参加したものの、「地元の女性の声を聞きたい」と提案すると、集まった女性たちは原発についていいことばかりを話していたそうです。
おかしいなと思っていたら、後で原発関係者の家族ばかりだったという事実を知り、「あんまり人を馬鹿にしている」と怒ったところ、そのせいかすぐにクビになってしまった、との体験も披露して下さいました。

クリックすると元のサイズで表示します

「人間は複雑な生きもので、人間そのものの中に、得体の知れない怪物性がある」とかねがね感じていたという加藤さんは、清野さんの作品のなかに、その怪物性を見いだしたといいます。
清野さんは、「裏にあるのは何か、意識してものを見たいんですよ。沖縄や水俣、チェルノブイリなどの虐げられた人びとのことを知り、自分のいる現在を突き詰めていくと、こういう暗い絵ができてしまう」と応えました。

「国家はすべての人間のためにあるべきなのに、国のために何かを強いられるのは本末転倒」と憤る加藤さん。今の時代が、加藤さんが幼少期に過ごした嫌な時代にすっとつながっていく予感がする、と警鐘を鳴らしていました。

クリックすると元のサイズで表示します

会場に来られていた川俣町の方からは、「国はいま、“復興”や“風評被害をなくそう”と言っているが、15万人が避難生活を続けていることについては触れようとしない。東京オリンピックの国立競技場は着工されたが、復興住宅の工事は進まない。今も仮設住宅で暮らしている人がたくさんいる。放射能にはどんな被害があるかもわからない、その不安をどう解消できるのか、先が見えない」という切実な発言がありました。

また、地元・東松山在住の彫刻家の方からは、「人間が暮らしている大地からインスピレーションを受けながら表現活動をしていくことが大事。そうすると、福島への問題意識も自然に浮かび上がってくる。“グローバル”という考え方が一時期流行したが、西洋の文明をすべて良しとするのでなく、それぞれの場所で、自然と調和しながら、大地とともに思考していくことが必要だと思う」との発言もありました。

『東京新聞』の記事を見て駆けつけたという小川町の方の、「画面に描かれた箱が棺のように見えた。中央の柱のようなものは、想定外の人智を超えた亀裂のように見えた。作品は先行きの見えない世相を表しているのではないか。対照的に、青い色の作品には、中央に水が流れていて、生の希望を感じた。生も死も想定外という可能性を持っているのではないかという印象を抱きました」という感想も心に残りました。

来場された皆さま、そして、貴重なお話をして下さった清野さんと加藤さんに、心から御礼を申し上げます。
0

2014/3/1

『東京新聞』に清野光男展紹介記事  掲載雑誌・新聞

原発事故や戦争 不条理描き続け「故郷汚染 絶望的な怒り」福島出身・清野さんが個展

2014年3月1日付『東京新聞』朝刊首都圏版に、丸木美術館で開催中の清野光男さんの個展の紹介記事が掲載されました。

クリックすると元のサイズで表示します

以下は、記事より一部抜粋。

==========

 近年は戦争や原爆、原発事故による環境破壊をテーマにした「METAL RAIN(金属の雨)」シリーズの制作を続ける。アルミ板や鉛で表現した金属の雨が風景を貫く立体的な作品。毎年のように連作を発表しているうちに「3.11」が起きた。

 「何代にもわたって培われてきた福島の大地が、原発事故で一瞬にして汚染された。自分の肉体はフクシマの土からできている。汗水たらして働いていた父親の姿を思い出すと、絶望的な怒りを感じる」。「3.11」後、METAL RAINシリーズは「フクシマ」の連作が続く。

 清野さんは個展に「地殻変動をコントロールすることはできないが、誤った政治や科学の方向をチェックしコントロールすることは粘り強い努力によって可能であると信じたい」とメッセージを寄せた。チェルノブイリの子どもの目が、大人たちの選択をじっと見つめている。


==========

ご紹介下さった中里宏記者、どうもありがとうございます。
0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ