2013/9/25

益子・朝露館訪問  調査・旅行・出張

近現代史研究者のKさんといっしょに、栃木県益子町へ行ってきました。
丸木美術館の元評議員で、陶作家の関谷興仁さんの展示施設「朝露館」を訪問するためです。
1両編成の真岡鉄道に乗って益子駅に着くと、関谷さんと詩人の石川逸子さんの御夫妻が車で迎えに来て下さいました。
益子の中心街を案内して頂きながら、さっそく「朝露館」へ。

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関谷さんは1932年生まれ。81年より益子を訪れて陶芸をはじめ、88年にこの地に工房・窯を設けると、92年に工房の隣に「朝露館」を開館させたのです。

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丸木美術館でも、2003年に個展を開催して下さっています。
館内に入ると、金明植の叙事詩「漢拏山」や、石川逸子さんの長詩「千鳥ヶ淵へ行きましたか」など、丸木美術館の個展でも展示された懐かしい作品が並んでいました。

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関谷さんの作品は、光州事件や15年戦争など、社会的主題を扱った詩や文章を、陶板に彫り刻んで作られます。さらに刻んだ文字のくぼみに白い陶土を埋め込むという手間のかかる過程を踏んで、仕上げられていくのです。
それは、関谷さんの言葉を借りれば、「僕には、こうして悼むしか、今に対する対し方はない。それは僕自身を悼むことである」という作業です。

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端正に彫り刻まれた文字ではありますが、しかし、展示全体を見ると、その“過剰さ”に圧倒されます。
しかもその過剰さは、年々エネルギーを増しているように思います。

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今回の新作は、戦時中に秋田県の花岡鉱山で中国人労働者が蜂起した“花岡事件”など、中国人の強制連行をテーマにしたもの。

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強制連行された中国人の名簿を入手し、その一人一人の名前を小さな陶板に刻むという、大変な労力の結果、完成した作品です。

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「文字」を展示しているにもかかわらず、関谷さんの作品は、非常に視覚的なのが面白いところです。
それにしても、彫るのも大変そうですが、焼いて、展示するのも大変そうです。
それだけ思いが強くあるのでしょう。
作品解説をする関谷さんの話も、時間を忘れて熱が入ります。

濃密な関谷さんの作品世界に圧倒されながら、関谷さんをこれほどまでに駆り立てる戦争への思いとはいったい何なのか、そうした思いの強さを私たちがどう受け止めていけばいいのか、なかば呆然とするような思いで展示を拝見しました。
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