2013/2/22

KEN「沖縄女性アーティストの現在地」  他館企画など

午後から都内に出て、豊島区立熊谷守一美術館で開催中の「寺田政明展」を観た後、東中野のポレポレタイムス社で夏に予定している「山本作兵衛展」の打ち合わせ。
午後7時からは、三軒茶屋のKENに沖縄県立博物館・美術館の豊見山愛学芸員をお迎えして、「沖縄女性アーティストの現在地」と題するトークイベントを行いました。

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豊見山さんのお話は、沖縄の戦後美術の出発点とされているニシムイ美術村、沖展や沖縄女流美術展、沖縄県立博物館・美術館の設立経緯など、今日にいたるまでの沖縄の美術の状況を丁寧に説明して下さり、「私が“わたし”であるために」――つまり、人がさまざまな環境に左右されながらも、どう自分らしく生き抜くか、ということをキーワードにしながら、福岡、沖縄を経て現在、栃木県立美術館で開催中の「アジアをつなぐ 境界を生きる女たち」展と沖縄の女性作家を紹介するという内容でした。

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今回紹介された沖縄のアーティストは、宮城和邦、宮城明、安谷屋正義、名渡山愛順、渡嘉敷唯選、山元恵一、儀間比呂志、儀保克幸、照屋勇賢といった男性作家、そして久場とよ、山元文子、石川真生、中島イソ子、宮良瑛子、阪田清子、山城知佳子、ローラ・キナといった女性作家たちでした。
戦前から名渡山愛順によって沖縄の女性に対する美術教育がはじまっていたという話などは、きちんと聞いたのは初めてだったので、たいへん勉強になりました。

個々の作家の紹介も興味深かったのですが、とりわけ印象に残ったのは、沖縄県立博物館・美術館で「アジアをつなぐ 境界を生きる女たち」展が開催された際に行われた二つのワークショップの話でした。

ひとつは「はじちワークショップ」。
沖縄古来の風習で、既婚女性が魔除けとして手の甲にする入墨を「はじち」と言います。
薩摩藩に連れ去られそうになった姫が入墨を施して免れたのがはじまりだそうです。
野蛮な風習として日本政府によって禁止令が出され、今では行われていないのですが、豊見山さんは「はじち」によって、沖縄の女性たちが代々母から娘へと受け継いできたものがあったのではないかと考え、「はじち」の写真を撮り続けていた写真家の山城博明さんや、陶芸家の赤嶺善雄さんたちと、「はじち」のマークを実際に手に施し、「はじち」について考えるワークショップを開催したのです。
http://www.museums.pref.okinawa.jp/UserFiles/1(4).pdf

もうひとつは「The Philippines×Okinawa Day!@世界一小さな美術館」。
フィリピン出身のアーティスト、アンマ・キルトさんによる、糸満市で開催されたワークショップです。
アンマ・キルトさんは、布を使う作品をつくりながら、DVや性暴力、虐待などの被害を受けた子どもたちや女性と語りあい、人は何度でも生きなおすことができるという気づきを促す活動を世界的各地で展開されている方だそうです。
沖縄にはフィリピンから嫁いできた女性が多く、慣れない環境のなかで苦しい人生を余儀なくされている方も多いとのこと。
そうした問題に対し、アートによって相互理解の糸口を探ろうという試みです。
http://www.museums.pref.okinawa.jp/UserFiles/alma%20Japanese.pdf

お話を伺いながら、豊見山さんが美術館の学芸員として非常に熱心な仕事をされていながら、決してアートの世界だけに閉じられていない、アートによって社会を良くしていこうという思いを持ち続けている方なのだということを、強く感じました。
その意味でも、KENという場所は、豊見山さんのお話をうかがうのにふさわしい場所だったのではないかと思います。

会場には、沖縄在住のアーティストで「アジアをつなぐ 境界を生きる女たち」展の出品作家でもある阪田清子さんも来場して下さいました。
イベントが終わった後には、豊見山さんや阪田さん、ケンさんたちと近くの中華料理店へ。そこでもまた、興味深い話が聞けて、とても充実した夜でした。
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