2012/4/11

NHK FMラジオ「丸木俊展」紹介  TV・ラジオ放送

白熱する名人戦を一旦抜け出して、午後6時から30分ほど、NHKさいたま放送局のスタジオで、埼玉県内向けのFMラジオ番組「日刊!さいたま〜ず」に生出演させて頂きました。
お相手をして下さったのは、野田亜耶奈キャスター。今年からさいたま局に入られた新人さんで、この日が初めてのラジオ放送担当だそうです。
そのため、スタジオには滝島雅子アナウンサーも付き添い、温かく放送を見守っていました。

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初々しくも、しっかり落ち着いて番組を進める野田キャスター。
これは私も丁寧に応えなければ、と気を引き締めて、予定の時間を数分越えてしまうほど、たっぷりと「生誕100年 丸木俊展」について紹介させて頂きました。

事前の電話での打ち合わせで、野田キャスターが俊さんの“アクティブ”な性格にかなり惹かれている様子だったこともあって、今回の放送では、若い頃に外交官の家庭教師としてモスクワに滞在したり、当時の「南洋群島」ミクロネシアに一人旅に行ったりという、俊さんの外国体験を中心に話すことになりました。
さまざまな土地を訪れながら、現地の人たちと出会い、同じ人間として心を許しあう俊さんこそ、本当の意味での“グローバル”な人間なのだろう、と話をしながらつくづくと思いました。

ともあれ、記念すべき野田キャスターのデビュー放送にごいっしょできたことは、とても嬉しく思います。これからも、埼玉の魅力をたくさんお伝えして下さい。応援しています。
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2012/4/11

第70期将棋名人戦第1局観戦  他館企画など

娘の幼稚園の入園式や病院通い、NHKさいたま局のラジオ出演などの合間を縫って、この2日間は東京・目白の椿山荘で開催されている第70期将棋名人戦第1局を観戦しました。
A新聞社のO記者の御厚意で、控室や終局後の対局室にも入れて頂き、貴重な体験をすることができたのです。

今回の名人戦は、ともに永世名人の資格を有する森内俊之名人と、挑戦者・羽生善治二冠の対局。将棋界の最高峰である名人の座は、過去10年間、同い年のこのお二人によって独占されていて、まさに現在を代表する見応えのある顔合わせとなりました。

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すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、結果は139手で森内名人の勝利。しかし、最後まで優劣がわからない白熱した内容でした。

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20畳という広い対局室の床の間には、今回、関西将棋連盟から運ばれてきた三幅の書がならんでいました。

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右から、木村義雄十四世名人の「天法道」(天は道に法る)、大山康晴十五世名人の「地法天」(地は天に法る)、中原誠十六世名人の「人法地」(人は地に法る)。
この三幅の書が関西を離れたのは、今回が初めてのことだそうです。
本当はこの他に谷川浩司九段(十七世名人有資格者)の「道法自然」(道は自然に法る)という書も並んでいるそうですが、今回は谷川九段は立会人として対局に列席。森内名人は十八世、羽生二冠は十九世の資格を有しているので、十四世以後の歴代の名人が一堂に揃う豪華な景色が実現しているというわけです。
もちろん対局中は入室禁止なので、写真は終局後の感想戦のときに撮影したものです。

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対局中、控室では大勢のプロ棋士の方々が集まって、盤を囲んで賑やかに勝負の検討をしていました。
それをじっと見ているだけでも非常に面白かったのですが、せっかく控室に自由に出入りできる機会を頂いているので、思い切って棋士の方に話しかけて“将棋と美”について考察を深めることにしました。

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まず最初にお話を聞かせて下さったのは、屋敷伸之九段。
不躾な質問にも関わらず、屋敷九段は「強い人の将棋というのは大抵自然で美しい」と丁寧に答えて下さいました。
将棋というのは、「自然な手を重ね、美しさを構築していく中で、優劣が生ずる」もの。とはいえ、従来美しいとされていた形から逸脱する新しい形もあります。そんな新しい形には「はじめは違和感を覚えるけれども、優秀さが証明されていくと、それもまた美の形になる」というのです。何となく、やはり芸術と通じる話を聞いているような思いがしました。

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続いて控室で寡黙に座っていらっしゃった谷川九段にも、お話を伺ってみました。
「自然な手、美しい手は八割が正しいが、時には例外もあって、違和感のある不自然な手が最良手になることもある」と谷川九段。やはり、勝負の世界は最良手が美しい、ということなのでしょうか。冷静に言葉を選びながらお話しされる谷川九段には、深みとともに鋭さを感じました。
「将棋における常識・伝統美とは、もっぱら格式や儀式にあり、対局の内容に関しては常に変化・革新美を追求していると考えていいのではないか」というお話や、将棋には「守破離」や「名人に定跡なし」という言葉が昔からあり、あまり保守的だと新しい発想が出てこないというお話も聞かせて下さいました。
21歳で史上最年少名人の座を勝ち取り、50歳を越えてもなお第一線で活躍されている谷川名人の言葉の余韻に浸りながら、こちらがじっと沈黙していると、最後に、「強くなるといろいろなことがわかってくる。知識や経験を取り入れながら、どれだけ自由でいられるか。遊びの境地というのか、自由である、まっさらな心境を持つことが重要」という重みのある言葉を聞かせて下さり、それには本当に心を打たれました。

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感想戦の後、控室に戻って、最後にお話を伺ったのは門倉啓太四段。
門倉四段は今回、BS放送の解説にも抜擢された有望な若手棋士です。
朗らかな話しやすい方で、将棋が大好きだという気持ちがひしひしと伝わってくる内容でした。
「最善を追求していけば、必ず美しい結果が出る。でもそれは人間だからありえないし、不完全な面白さこそ将棋の魅力」と門倉四段。
たとえば、チェスやオセロは局面が進んでいくと、だんだん選択肢の幅が狭くなってくるけれども、将棋は一度とった駒をもう一度使えて、しかもどこに置いてもいいというルールがあるので、無限に可能性が広がっていくのが魅力だと、わかりやすく教えてくれました。

門倉四段の話で非常に面白かったのは、「将棋の対局は作品だと思う。でも、良い作品を作るには一人ではできない」という意見でした。
「今日対局した森内さんや羽生さんは、作品という意識を持って指しているはず。特に羽生さんは、勝負として将棋を指すというより、お互い最善を尽くして作品をつくるという気持ちが強いように思う。だから勝っても、相手が羽生さんの高みについてこられないとがっかりすることがある。今日の対局は、負けてしまったとはいえ、作品として深いものだったので、ある程度の満足感は残っているのではないか。対局は相手との共同作業。二人が調和しながら作品を作りあげていくもの。羽生さんの相手が森内さんだからこそ、ここまで見事な勝負が生まれて、そこに周囲が感動する」と熱っぽく語って下さったので、最後に何だかとても爽快な気分になったのでした。

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名人戦は、この後、次の日程でどちらかが先に4勝するまで行われます。

第2局 4月24日、25日(新潟県長岡市)
第3局 5月8日、9日(福島県いわき市)
第4局 5月22日、23日(静岡県静岡市)
第5局 5月31日、6月1日(京都府京都市)
第6局 6月12日、13日(福岡県北九州市)
第7局 6月26日、27日(山形県天童市)


森内名人、羽生二冠には、名人400年そして第70期という節目の年にふさわしい、素晴らしい勝負を期待したいと思います。

最後に、滅多に味わうことのできない体験をさせて下さったA新聞社のO記者はじめ、企画事業本部のKさん、文化くらし報道部のM記者、S記者、そして貴重なお話を聞かせて下さった谷川九段、屋敷九段、門倉四段に心から御礼を申しあげます。
本当にありがとうございました。
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