2011/7/12

埼玉近美「エル・アナツイ展」/東近美「パウル・クレー展」/シンポジウム打ち合わせ  他館企画など

美術館の休みを頂いて、久しぶりに一日がかりで他館の企画展などをまわりました。
午前中は埼玉県立近代美術館で開催中の「彫刻家エル・アナツイのアフリカ」展へ。

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エル・アナツイ(1944年生)はガーナ出身・ナイジェリア在住の現代美術家です。
アフリカの分断や奴隷制度の歴史を感じさせる木彫作品から、アルミ製のボトルキャップを銅線でつなぎ、巨大なタペストリ状に編みあげたインスタレーション作品など、とても見応えのある展示でした。

とりわけ、ライトに照らされて不思議な輝きを見せる金属製のタペストリ状の彫刻作品の数々は、アフリカの伝統的な民俗織物の豊かな色彩感覚を感じさせ、それだけでなく、廃品のボトルキャップという素材から植民地支配の歴史により消費文化が流れ込んできたアフリカの社会背景も連想させるという素晴しいもので、非常に心を打たれました。

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午後は東京国立近代美術館の企画展「パウル・クレー おわらないアトリエ」を鑑賞。

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クレー自身が詳細に記録した作品資料やアトリエ写真をもとに、彼の作品が具体的にどのように作られたかを検証する企画展でした。
「油彩転写」「切断・再構成」「切断・分離」「両面の作品」という4つのプロセスに分け、約180点の作品を展示するという展示構成は新鮮で、図録も充実していましたが、個人的には1993年にBunkamuraなどを巡回した「パウル・クレーの芸術」展の圧倒的な印象が強く、今回の展示は作品の質という点ではやや物足りなさも感じました。

東京国立近代美術館を訪れた際には、いつも所蔵作品展を観るようにしています。
現在は「緊急企画 東北を思う」という興味深い試みを行っていました。
東北出身の画家やモデルの作品、東北の風景が描かれた作品など、会場に点在する全39点のそれぞれの作品に、青いキャプション(書き下ろしの解説)を掲載するというちょっとした工夫なのですが、それだけで展示がいつもとまったく違うように見えました。
東北ゆかりの作品をめぐりながら、被災地を思い、同時に日本近代美術史における東北の位置を考えるという、貴重な機会になりました。

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夕方からは銀座へ移動し、7月30日(日)に開催される「3.11以後のアートとアトム」というテーマのシンポジウムの打ち合わせを行いました。
このシンポジウムは、東京現代美術画廊会議主催による「新世代への視点2011」という企画の一環として、若い学生たちが中心になって立ち上げた意欲的な企画です。

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詳細は以下の通り。ぜひ多くの方にご来場頂きたいと思っています。

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シンポジウム「新世代への視点2011」
テーマ「3・11以後のアートとアトム」
7月30日(土)午後3時−午後6時(先着120名)
銀座会議室2階(東京都中央区銀座3-7-10)

予約受付:contact@galleryq.info
電話予約:Tel.03-3567-8777(藍画廊)

スチューデント・キュレーターズの企画によるシンポジウム
原田裕規、鈴木廉、和田怜子(武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科3年在籍)

〈主催コンセプト〉
この度、武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科の学生たちの企画主導のもとによるシンポジウムを開催いたします。
ここ数年若いアーティストや現役の学生の活動も多く活発に行われております。
こうした現況下にて美術系大学の教育の場が大学内に留まることなく、積極的に社会へと活動を広げることも希求されている中で、学生たちによる「新世代への視点」として、芸術文化学科の学生たちにも参加して頂き、共に彼らを取り巻く環境、彼らの視点を皆様と語り合うことができたらと思います。

パネリスト:岡村幸宣(丸木美術館学芸員)、沢山遼(批評家)、石黒敦彦(“来るべき芸術”のためのワークショップ代表、武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科非常勤講師)

アドバイザー:上田雄三(ギャラリーQ、多摩美術大学芸術学科非常勤講師)、岡部あおみ(美術評論家)

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