2010/9/30

【埼博連県外研修】国立歴史民俗博物館/葛西臨海水族園  調査・旅行・出張

埼玉県博物館連絡協議会の県外研修バスツアーに参加して、千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館と、東京都江戸川区にある葛西臨海水族園へ行ってきました。

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国立歴史民俗博物館は、1981年の開館。大学共同利用機関法人人間文化研究機構が運営し、日本の歴史、文化、民俗について総合的に研究・展示しています。

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2010年3月に現代をテーマにした第6展示室をリニューアルオープンさせたこともあり、個人的にぜひ観ておきたい施設でした。
博物館の方の全体説明のあと、1時間ほど見学時間がありましたが、第6展示室を観るだけでも1時間ではとても足りませんでした。

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第6展示室は、「戦争と平和」「戦後の生活革命」と大きく二つのテーマに分かれています。
その境界は1945年8月(敗戦)ではなく、1952年4月(サンフランシスコ講和条約発効)となっているのが目を引きました。

“現代”を取り上げるにあたり、その視点のひとつとして“人の移動”(戦争における移動や敗戦後の引き揚げ、高度経済成長と集団就職など)に焦点をあてているそうですが、たしかに朝鮮・台湾の植民地化、満州への権益拡大などの問題を、民の移住という視点から紹介した展示は興味深いものでした。展示には大陸の生活に夢を抱かせ、移住を奨励する案内書やポスターがならび、同時に、日本人の進出によって土地を奪われた人びとが国内に流入するという逆転現象についても(新たな矛盾や衝突が生まれた問題も含めて)解説されていました。

戦争の実相を伝える展示では、広島・長崎の原爆被害はもちろん、沖縄戦についての紹介もありました。沖縄戦の解説をめぐっては、当初「集団自決」について、日本軍の関与を示す文章が掲示される予定だったものの、展示直前に「時期尚早」との理由で取りやめになったとのこと。国立博物館ということで、さまざまな立場からの意見があったのではないかと思われます。
とはいえ、比嘉豊光さんらによる沖縄言葉で戦争の証言を記録するプロジェクト《島クトゥバで語る戦世》の映像(今年の春に丸木美術館の企画「OKINAWA展」でも紹介)が展示されていたのには、民間の人びとの証言から歴史を考察する姿勢が伝わってきて、感銘を受けました。

また、「戦後の生活革命」の展示には、高度経済成長の負の側面として水俣病の問題も取り上げられ、水俣病告発の象徴である「怨」の黒旗などの展示とともに、土本典昭監督の映画《水俣―患者さんとその世界》が上映されていました。
同じように炭鉱の展示では、長く筑豊で雑誌『サークル村』などの活動に関わっていた上野英信の仕事に焦点が当てられるなど、丸木美術館の視点と重なるような展示も多くありました。
丸木美術館に関わる立場としては、こうした民の視点からの歴史考察の場に、《原爆の図》が果たしてきた原爆/戦争のイメージ形成の役割の重要性をどのように認知してもらえるか(展示に入れてもらえるのか)という点が今後の課題なのかも知れないとも思いました。
ともあれ、たいへん興味深く、いろいろと考えさせられる展示内容でした。

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その後は成田山新勝寺の参道にある和菓子店・米屋へ移動。
豪華な昼食を食べた後は成田山境内を散策するというスケジュールでしたが、あいにくの雨なのが残念でした。

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続いて向かったのは、葛西臨海公園内にある東京都葛西臨海水族園
1989年に開園し、現在全国で5番目の入館者数という人気を誇る水族館施設です。
東京湾に浮かぶように見えるガラスドームが特徴的な建物は、谷口吉生の設計。

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この水族館の目玉は、水量2,200tのドーナツ型の大型水槽「アクアシアター」を回遊するマグロ類の展示。
たしかに群れをなすマグロの大群は迫力十分ですが、しかし、今は全国にもっと大型の水槽を取り入れた新しい水族館ができているので、それほど目新しいわけではありません。

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それでも多くの人が来館するのは、世界の海の生態の環境をできるだけ再現した状態で観てもらう「生態展示」へのこだわりと、広大な屋外の敷地を生かした人口の自然環境による「流れ」と「渓流」、「池沼」の水槽(淡水生物館)の設置という工夫があるからだと、博物館の方が説明をして下さいました。
多くの水族館ではイルカなどのショーが人気を集めていますが、ショーを行わない水族館として、この葛西臨海水族園はもっとも多くの来館者を動員しているのだそうです。
地道な研究と展示の工夫が人気の秘訣という点は、丸木美術館もぜひ見習っていきたいと思いました。

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雨のために屋外の「流れ」の展示までは観られませんでしたが、ペンギンたちの愛嬌のある生態展示には心を癒されました。

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帰りのバスは渋滞に巻き込まれ、予定を遅れてさいたま新都心へ帰着。そのまま池袋へとんぼ返りをして、来年度の丸木美術館企画展について話し合う企画委員会に参加しました。
夏から続くハードスケジュールに、少々疲れ気味のこの頃です。
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