2010/3/4

桜と梅と茶杓  来客・取材

現在開催中の企画展「没後10年 丸木俊展」に軸作品を2点出品して下さっている歌人のK氏が来館して下さいました。
先日はご自宅の梅の枝を持ってきて下さいましたが、来館者の方々にとても好評だったので、今度は桜の枝を持ってきて下さったのです。
美術館入口ロビーに飾られた梅と桜の枝。
館内が明るく華やいだ雰囲気になりました。

クリックすると元のサイズで表示します

クリックすると元のサイズで表示します

もうひとつ、今回お持ち下さったのは、「茶杓」。
ただの茶杓ではありません。
丸木美術館のとなりには、栃木県野木町から1970年に移築してきた江戸期の農家「野木庵」があります。15年ほど前に茅葺屋根をやめて瓦葺になったのですが、Kさんはその際に不要になった屋根の古竹をもらい受け、知人の職人に依頼して茶杓に仕立てたのです。
しかも竹筒には俊さんによる銘が記されています。

クリックすると元のサイズで表示します クリックすると元のサイズで表示します

時代の経過とともに不要になった素材を、このように再利用して保存する方法もあるのですね。
Kさんの豊富な知識と着想の妙にはいつも驚かされます。
0

2010/3/4

広島市立飯室小学校  作品・資料

北海道からは1951-52年の「原爆展」情報が次々と舞い込んできますが、西の広島では位里さんの少年時代の調査が進んでいます。

『丸木美術館ニュース』第101号(4月10日発行予定)に、位里さんの小学生時代についての文章を書くため、位里さんの母校である広島市立飯室小学校(当時は飯室西尋常小学校)に資料調査の電話をしたのは2月18日のことでした。
電話を受けて下さったのは、事務職員のNさん。自らも絵の勉強をされていて、位里さんの絵が大好きだという彼女は、こちらが驚くほど丁寧かつ精力的に資料調査に協力して下さいました。

昨年夏に広島を訪れた際、旧飯室村にも足を運んだのですが、バスの本数が少なく、時間もなかったために丸木家のあった油木という集落を見ただけで帰らなければなりませんでした。
現在の飯室小学校は、その油木から約2kmほど離れた古市という場所にあります。
位里さんが通っていた飯室西尋常小学校は、古市ではなく、そのやや西側の上畠という集落にありました。
当時の飯室村の小学校は東西に分かれていて、小学校令の改正(1907年に、それまで尋常小学校4年・高等小学校4年だった学制が、尋常小学校6年・高等小学校2年に変わった)にともない、両校を統合して古市に「飯室尋常高等小学校」ができたのが1914年。ちょうど位里さんが尋常小学校を卒業した年でした。

『飯室小学校百年誌』(1975年刊)の口絵には、「大正はじめごろの飯室小学校」という位里さんの水墨画が見開きで掲載されています。

クリックすると元のサイズで表示します

山のなかののどかな分教場、とでも言えそうな風情です。
実際、位里さんの回想によれば、「先生がオーイ、と声をかける。こっちが返事しても、先生はそのまま学校へ行ったよ。学校へ行かんでも文句は言わなかった」(『遺言―丸木位里・俊の五十年』菅原憲義著、青木書店、1996年刊)という牧歌的な雰囲気だったようで、位里さんの成績は学年が上がるたびに落ち、最後は後ろから2、3番目だったそうです。
位里さんには最初から上の学校へ行く気もなかったようですが、型にはまった学校教育ではなく、五感を通して存分に自然の理を学んだ少年時代の体験は、その後の画家としての人生において貴重な財産となったことでしょう。

現在の飯室小学校の校庭には、位里さんの筆による「誠心」という石碑が建っています。

クリックすると元のサイズで表示します

校長室の廊下の壁には、石碑のもとになった位里さん直筆の書もかけているそうです。

クリックすると元のサイズで表示します

この小学校には、ほかにも位里さんが《山》を描いた水墨画や、同じく飯室小学校を卒業した妹の大道あやさんの神楽の絵も展示されています。

クリックすると元のサイズで表示します

クリックすると元のサイズで表示します

写真撮影はすべてNさんです。
あやさんの絵は、提灯の中に筒賀神楽団と書かれていて、Nさんのご教示によれば筒賀は加計の近くの地名とのこと。絵の登場人物から演目の推察が可能であり、飯室周辺で神楽を演じる際には定番となっている「ヤマタノオロチ」にほぼ間違いないそうです。
アクリル板が反射してちょっと見えにくいですが、画面にはオロチと戦うスサノオノミコトと、戦いを見守るクシナダヒメ、右下端にクシナダヒメの両親アシナヅチ、テナヅチが描かれています。

自然の恵みと豊かな伝統文化のなかで、位里さんもあやさんも、きっと伸びやかな子ども時代を過ごしたことでしょう。
「ぜひ飯室小学校にもおいでください」とNさんは言って下さいましたが、お二人の絵を今も大切に守ってくれている小さな学校を、いつか必ず訪れてみたいと思っています。
2



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ