2010/12/5

【福井・金沢ツアー2日目】福井県立恐竜博物館/金沢21世紀美術館など  調査・旅行・出張

ゆっくり出発されるNさんたちとお別れして、2日目は朝から単独行動。
まずは福井駅からえちぜん鉄道に乗って、勝山市の福井県立恐竜博物館を目ざしました。

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えちぜん鉄道は、豊かな里山の風景のなかを1両編成の車両がゆっくり走っていくという、素晴らしい雰囲気の路線です。
遠く山々の向こうには、雪をかぶって輝く白山の頂も見えました。
特筆されるのは、乗客ひとりひとりを丁寧にもてなしてくれるアテンダント(客室乗務員)の存在。
相次ぐ列車事故により廃線の危機にあった小さなローカル線が、「人を大切にする」心を軸に鮮やかに再生を遂げたという物語は、丸木美術館にとっても決して他人事ではありません。
彼女たちの奮闘ぶりは、『ローカル線ガールズ』(2008年、メディアファクトリー)という書籍にもまとめられています。

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終点の勝山駅は1914年開業当時の駅舎がそのまま残り、登録有形文化財になっている趣きのある建物でした。

   *   *   *

勝山駅からはバスに乗り換え、およそ10分。
今年開館10年目を迎えた福井県立恐竜博物館は、日本で最初に全身の骨格が発掘された恐竜フクイサウルスや、同じく最初に全身骨格が発掘された肉食恐竜フクイラプトルなど、近年目覚ましい発掘成果を生み出している福井県の恐竜研究のシンボル的存在です。

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恐竜の卵を模したデザインの建物のなかに入り、エスカレータで地下へ下りていくと、地層をイメージした通路「ダイノストリート」。

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通路を通り抜けると、いよいよ恐竜の世界が広がります。

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まずは、今年7月のリニューアルで新たに展示されたという、カマラサウルスの全身骨格化石に圧倒されます。全身がほぼ完全な状態で発掘されたという極めて珍しい「産状化石」です。

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産状化石を見下ろしながら階段をあがると、「恐竜の世界ゾーン」。
こちらもリニューアルの際に新たに加わったという全長7mのティラノサウルスの復元ロボットがリアルに動き、迫力たっぷりの咆哮をあげます。

もちろん、恐竜の全身骨格も「竜盤目」「鳥盤目」など体系的な分類に基づいてふんだんに展示されており、まさに“等身大の恐竜図鑑”となっています。

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中央のゾーンが吹き抜けになっていて、間近で個々の展示を見た後に上階から全体を鳥瞰できるという構成は、さいたま市の鉄道博物館にもよく似ています。

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福井県内で発掘されたフクイサウルスやフクイラプトルの全身骨格も見ることができます。

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フクイサウルスは、イグアノドンの仲間の草食恐竜。日本でもっとも多くの骨が発掘されている恐竜です。

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フクイラプトルは、アロサウルスの仲間に分類される肉食恐竜。前肢や後肢の骨がほぼ完全にそろっており、肉食恐竜としては日本で初めて復元された全身骨格です。

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館内では、発掘された化石をクリーニングする作業を来館者に公開している部屋もあります。
研究者の仕事は壁の向こう側で行われ、来館者には見えないという博物館施設が多いのですが、こうした実際の研究の様子をガラス越しに見ることができるというのは、なかなか興味深い試みだと思いました。

   *   *   *

かつての“恐竜少年”として恐竜博物館を堪能した後は、福井市内に戻って福井県立図書館を訪れました。
福井市内では1952年5月に佐佳枝劇場で5日間ほど「原爆の図」展が開催されていたとの情報があり、当時の新聞記事を調べておきたかったのです。
福井駅前には、佐佳枝神社という神社が残っていて、劇場も近くにあったのではないかと思うのですが、現在、その劇場の存在を知る人はあまりいないようです。

県立図書館で当時の新聞の閲覧を申請したところ、地元の『福井新聞』のマイクロフィルムを見ることができました。限られた時間の調査ということもあり、残念ながら「原爆の図」の記事にたどり着くことはできませんでしたが、佐佳枝劇場の広告は掲載されていました(1952年5月15日付)。

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たしかに、1952年5月に佐佳枝劇場という劇場が存在していたことがわかりました。
どうやら「劇場」という名ではありますが、映画館だったようです。
映画館で「原爆の図展」……ロビーに展示されたということでしょうか。
ますます謎は深まります。どなたか、当時の佐佳枝劇場での「原爆の図展」をご覧になったことがあるという方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報ください。

   *   *   *

調査の後は急ぎ足で福井駅に戻り、特急「しらさぎ」に乗って金沢駅へ。
すぐに石川県立図書館へ向かい、再びマイクロフィルムの閲覧を申請しました。
今度は、やはり石川県の地元紙『北國新聞』の調査です。
そして今度は……ついに記事を発見しました。

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1952年5月24日付の『北國新聞』4面に掲載された〈思い起せ“広島の悲劇”片町大和で「原爆の図」展覧会〉という見出しの記事です。
記事によれば、展覧会は5月23日から3日間金沢市片町大和5階ギャラリーで開催され、第1部から第5部までが展示されたとのこと。この記事は、今井正・青山通春監督による記録映画『原爆の図』(1953年、新星映画新社)のなかにほんの一瞬映っているのですが、丸木美術館には記事が現存せず、いつ、どの新聞に掲載された記事なのか、ずっとわからなかったのです。
貴重な発見に、やはり現地に行って調べてみるものだとあらためて実感しました。
ちなみに片町の大和(だいわ)というデパートは、現在も金沢市の中心の商業施設としてたいへんな賑わいを見せています。

   *   *   *

最後に訪れたのは、「ミュージアムとまちとの共生」をコンセプトに、2004年の開館以来、新しい美術館のモデルケースとして注目を集めている金沢21世紀美術館

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金沢の町の中心、兼六園や市役所に隣接するという立地条件を生かし、円形に設計された美術館は企画展を行う「展覧会ゾーン」と、さまざまな人が気軽に立ち寄ることのできる「交流ゾーン」によって構成されています。

「交流ゾーン」と呼ばれる無料のエリアにも現代美術が恒久展示されています。
そのひとつが、ブエノスアイレス生まれのレアンドロ・エルリッヒによる《スイミング・プール》。

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美術館の中庭にあるのは、一見、ただのプールのようですが、よく見ると水中を服を着た人たちが歩いています。
実は強化ガラスに深さ10cmほどの水を張り、その地上と地下から作品を眺めることで、別の鑑賞者との“出会い”が生まれるという、とても面白い作品なのです。

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水面下から見ると、こんな具合。こちらは入場料を払わないと中に入ることができません。
ほかにも身体の感覚を使って楽しめる展示作品があり、小さな子どもを連れた親子連れが歓声をあげて遊んでいる光景が見られました。

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「展覧会ゾーン」で現在開催中なのは「ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス」。

写真、立体、映像などのメディアを柔軟に操りながら、日常的な素材を使って、皮肉とユーモアを織り交ぜながら人間社会の本質を浮き彫りにするチューリッヒ生まれの2人組の活動を紹介する企画展です。
日曜日ということもあり、会場には若者を中心にたくさんの人が訪れていました。
こんな美術館が町の中心にあれば、一般的に“難解”と思われがちな現代美術が“楽しい!”と身近に感じることができるのだろうなと、うらやましく思いました。
ヨーロッパの現代美術館に、ちょっと雰囲気が似ているような気がします。

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21世紀美術館を出る頃には、周囲はすっかり真っ暗。
夜景もなかなか開放的な雰囲気です。
ちなみに「展覧会ゾーン」は午後6時に閉館しますが、「交流ゾーン」は午後10時まで開館しているそうです。

夕食は金沢駅で美味しい海鮮丼をいただき、夜のバスで東京に戻りました。
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