芋の天ぷら  

妻、息子とさぬきうどん屋へ行きました。

それぞれうどんを頼み、
別にごぼうのかきあげの天ぷらを頼もうとしたところ、
秋の野菜かきあげにしようと妻。

食べるとなるほど。
茄子に南瓜、秋の味覚が揃い踏み。
もう1つ箸を止めたさつま芋の味。




どうしてそうなったか思い返す。




僕は物心ついてからしばらく母と二人暮らしだった。



小学校に上がった僕に母は毎日千円渡してくれた。
小学一年にしては大きい金額だ。
母はいつも遅くまで働いていたので、
僕はそのお金を手に家の近所の二八そば屋に行く。

「月見うどん下さい」

店主は小さい僕に他の大人のお客さんと同じ様にうどんを出してくれた。
僕はそれがとても嬉しかった。


ある雨の日にサービスだと月見うどんにのっていたのは、
さつま芋の天ぷら。


僕はあの時きちんとお礼は言えていただろうか。



芋の天ぷらの美味しさはきっと一生忘れない。
それは店主が育ち盛りの僕を思ってくれたものだからである。



人に勧められないと出会えないものも数多い。



二八そば屋なのに月見うどんばかり頼んでごめんなさい。
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