Y: あと、普段、波の立たないポイントが、この湘南近辺にもあると思うんだけど。そういったポイントのシェアは、太郎さんどう思う?
太郎さん: うーん、やっぱりそれはぁ、上手い、下手じゃなく、そのポイントに対するぅ、その人の想いだと思いますね。だって、何年もそこで待ってるわけですから。
Y: その、色んなポイントがあってぇ、ローカルと言われてる人達がいるでしょ?で、当然、若いヤツラの方が早く乗れるし、っていうのがあるんだけど、どぉしても、全国色んなポイントがある中で、まぁ、ポピュラーに、誰もが「いいよ」って言うポイントもあるけどぉ、そぉいう、色んな条件が合わないと立たない波、っていうのが、あると思うの。その波って、逆に言うと、そのエリアに住んでるヤツしか知らないと思う。うん、実際。そんな雑誌にも載らないし。で、そぉいうところでは、上手い下手じゃなくって、そこにどれだけ、何十年居るかっていう方が、実は、平野太郎の方が技術的には上かもしれんけど、実はその人達の方がぁ、上だったりする、っていうのがぁ、今はホントに、ちょっとこぉ、薄れてるっていうかぁ、分かっとらんっていうかぁ。それはねぇ、多分ねぇ、四国行こぉが、あのー、僕らのエリアで言うと、えー、○○っていう方とかぁ、色々あるんだけど、そぉいうとこでもみんなあるからぁ、そこが今の人達は分かってない。
太郎さん: まぁねぇ〜、僕なんかも割とどっか行くじゃないですか。地方行って、そこで入らせてもらったり。そのぉ〜、入らせてもらう時の、アプローチの仕方がぁ、「そこの波に、乗りに行く」じゃなくて、「乗らせてもらいに行く」っていう。
太郎さん: でモチロン、そこの波をずーっと待ってる人がいるんだからぁ、その人達が全員乗った後、最後に来た一本、に乗れればいいし。もしそれが無ければぁ、やっぱそこには入っちゃいけないし。
Y: うん。
太郎さん: 10人、そこでやってる人がいたらぁ、1人も居ないとこを探してやった方がいいしぃ。
Y: うん。
太郎さん: だからなるべくこぉ〜、「そこの、メインのポイントに入りたい」ってやらないでぇ、まぁそこに行って、自分の波があるかどぉか?「空いてる波が、あるかどうか」ですよね。
Y: そぉ、そぉ。
太郎さん: で昔ってこぉ〜、波情報ないじゃないですか?
Y: うん。
太郎さん: だから例えば、湘南で波が無ければぁ、千葉に行こうか?それとも、静岡の方、御前崎の方へ行こうか?っていうのは、天気図見ながら考えるじゃないですか。
Y: うんうん。
太郎さん: で、天気図見ながら考えて、行ってあれば、いいし。行ってあんだけど、波は、風がグチャグチャで全然ダメとか。そぉいうのも、何回も経験して、そぉいう中で自分が、自分達の知識も上げてくじゃないですか。
Y: うん。
太郎さん: で逆に、そぉいうとこに行った時は、誰も居ない波に当ることもあるし。
Y: あーん、シメシメなんだわ。そぉいう時は。
太郎さん: でも昔ってやっぱり、どこの人達も、基本は動かないじゃないですか。
Y: うーん。
太郎さん: あんまり動かないで、「自分達のホームでやる」、っていうのが、ほとんどだったから。そのホームから、色々出だして、色んなとこに動き出したっていうのはぁ、多分あのぉ、NSAとかぁ、コンテストを色んなとこ回すよぉになって、上の人達。。。上の人っていうのは言い方が変だけど、コンテストで一緒にこぉ、顔を合わせたヤツラで、「ここも波イイぞ」っていうよぉな。「あっちはあるぞ」「こぉいう時、こぉだった」っていう情報交換がされるよぉになってぇ。
Y: なってぇ、色々動くよぉになった。
太郎さん: ねぇ?で、そこん時っていうのはやっぱり、まぁモチロン、そこに居るローカルの人数も少ないんだろぉけど、行く人達同士と、そこの人達が「うまくやろう」っていう。
Y: 意識は、あった。だから、今でも、違うエリアで入ってる時は、「この辺の方ですか?」って、こっちから聞くもんね。
太郎さん: で後はぁ、全体にオフリミットで、「来るな」っていう強い意志表示するようなヤツラもいたから。
Y: うん、いた!
太郎さん: そぉなると、やっぱりそこは、「じゃぁ、避けた方がいいでしょう」って。
Y: そぉそぉ、その通り。あえてそこに行って、変な事起きるぐらいだったら、行かん方が良かった。
太郎さん: だからそれがぁ、今の人っていうのは、波情報を見て、「朝はこぉだったけど、二時間後、こぉです」って、すぐ分かるからぁ、結局、いい波のところには、常に人がいっぱいいるっていう。
Y: うーん。
太郎さん: そこのローカル達の。
Y: あのね、波情報はねぇ、いい意味ではいいけどぉ、あれはねぇ、ちょっとねぇ、「まぁいい加減にしろよな」と思う時はありますよ。
太郎さん: まぁ、もぉちょっとこぉ〜、まぁどこの波情報でも、「自分のレベルに合ったところで、ルール・マナーを守りましょう」っていうのは言ってるけど、例えば10人しか入れないポイントにぃ、11人目が入った時には、その1人のせい、せい、じゃないなぁ〜。1人のその、入った事による、なんていうのかなぁ、混雑度?って、最初にいた10人っていうのは、その11人目に対して、ものすごい。
Y: そぉ、違和感がある。
太郎さん: ですよね?その11人目に自分がなっちゃうかどぉか、っていう。その境目を、判断した方がいいですよねぇ。1人しかいないポイントで、1人入ってったら、倍じゃないですか?
Y: うん。
太郎さん: それはもぉ、入ってた1人に対して、後からいった人は、その倍にしちゃうことに対するお詫びをしなきゃいけないし。
Y: うーん。
太郎さん: でもそれは、10人入ってるとこに、11人目っていうのは逆に、「10人いるから1人入ったって、変わんないでしょ」っていう、11人目の人の違和感のなさ、っていうのがあるけど。
Y: うん、うん。
太郎さん: 中にいる10人にとっては、ものすごい違和感を感じるハズですよね。だからやっぱりその、まぁどこでもそぉだけど、入っていい場所なのか、悪い場所なのかを、よぉぉ〜く見て入ることと、後はやっぱり、昨日はできたけど、今日はできないサイズなのかな?っていうのを、見極めないと。
Y: ムッチャムチャだもん。
太郎さん: やっぱり、自分なんかも、ホームを持ってるから、逆にそのぉ、人のホームに行って、「アウェイでやる」っていう時には、やっぱり気ぃ、使いますよね。
Y: でもねぇ、昔は怒鳴られたし、「出てけ」も言われたし、色々あってぇ、今は良かったなと思うよね、僕は。逆に、いや、ホントに。
太郎さん: そぉですね。だから、きっと今、やれてると思いますよ。
Y: まぁ、ムッチャクチャだったもん、ホントにまぁ。
太郎さん: 今始めた人が、30年後に、どぉいう意識でサーフィンやってるか、っていうのは、分かんないけど、僕なんか、もぉホントに、始めた時から30何年。もぉ何年やってんでしたっけ?
Y: え?もぉ34、5年、やってんじゃないの?
太郎さん: だからホントに、いい時期に始められたと思いますよ。
Y: うん。ちょうどねぇ、まだ定着しつつある頃?まぁ、すべていい訳じゃなかったけどぉ、ヤクザの出入りみたいな時もあったけどぉ、囲まれたり。
太郎さん: まぁホントにねぇ、パンチアウトされたりとか。
Y: はぁーい。
太郎さん: バット持って来られたりとか。
Y: はいはーい。板折られたりとかね。
太郎さん: まぁ、俺なんかなかったけど、ホントひどかったのが、「車のタイヤが無い!」っていうのが。車はあるんだけど、その下にブロックが積んであって、タイヤ四本、全部無い!とか。
Y: いや、それ、伊良湖でもぉ、まぁ、ある所のポイント行くとぉ、今みたいに整備されてない頃はぁ、そこに車は入って来て、ピュッと上がってったらぁ、タイヤが四つともシューッってなってって、みたいのはあったよ。ホントに。
太郎さん: ですよねぇ〜。。。まぁ、そぉいうのから考えると、どこでも気軽に入れて、誰でもやっていいよぉな感じになってるけど、まぁそれをそぉ思わないで、みんなが、みんながどこに行っても、こぉ、そこのホーム?の人達に気を使いながら。
Y: うん。
太郎さん: でも、そのホームの人は誰なのか?っていうのを、見極めようとする気持ちがないとぉ。
Y: うーん、分かりにくいね。うん、それは分かりにくい。
太郎さん: やっぱり今も、こぉ、波情報見てぇ、常に動いてる人達にとっては、『波があるところが、自分の今日の、満足を与えてくれるところ』、だからぁ。
Y: うーん、あのねぇ、受け入れられるにはねぇ、やっぱり、雨にも負けず、風にも負けず、通わなかん。そこのところに。そんで、ちょっとずつ、こぉ、なってくと思う。ずーっと来とれば、顔が分かってきて、で挨拶ちゃんとしとると、「お前、次行けばいいジャン」っていう風にぃ、してくれるし、してぇ、そのローカルがキツイところもぉ、そのぉ〜、何て言うの?はなっから、最初っから、ずーっとやろうとは、してない。昨日ミツ来てたでしょぉ?ミツなんかもまぁ、ある三重県のポイントがあるんだけどぉ、そこは結構キツイところでぇ、ある条件がそろわんと立たへんからぁ、やっぱウルサイんだけどぉ。ヤツはもぉ、10数年かけて、ちょっとずつ行って、今は「おぉー、来たかぁ〜」って受け入れられるっていうことは、そりゃぁ、絶え間ない努力はしたと思いますよ。うーん、だって、そこに住んでないしぃ、こっちから二時間、三時間かけて行く訳だから、向こうから見たら、ま、よそ者だし。ミツなんか、今でも「僕はよそ者だからぁ」って言うし。で、おる人達のまぁ、10数人をリスペクトしとるし。だからこそぉ、あいつは受け入れられたしぃ。そんなん、いきなり行ったら、「お前出てけぇ」だって。
太郎さん: ねぇ〜。やっぱり、波があるところに、人が集まっちゃうんだけどぉ、そこの人達を、こぉ、尊重して、っていう気持ちは大事ですよね。
Y: ちょっと話変えますけどぉ、兄弟揃ってプロサーファーになったじゃないですか?
太郎さん: はい。
Y: これはぁ、各自がぁ、そぉなりたいと思ってなったの?それともぉ、流れでなったの?
太郎さん: 流れかなぁ〜。
Y: あの、二人兄弟でぇ、よぉはずーっとこぉ、サーフィン30数年、まぁ40年ぐらいサーフィンをこぉ見て思うことは、単独でプロサーファーってのはいると思うのね。で、兄弟で二人でプロサーファーになってる、例えばサトシにしてもそぉだし、大野のマーんたもそぉなんだけどぉ、三人で、ってのは、居そうで居ないなぁーと思って。実は。
太郎さん: そぉですね。やっぱね、試合―、がこぉ、ある程度全国的な流れで、サーフィンやってるヤツラの中で、上手くなったら試合に出て、全日本のアマチュアを回ってく、っていう。
Y: うん、うん。
太郎さん: ある程度、定着してたんだと思いますね。ま、モチロン今でも。
Y: で、利点を、プラスとマイナスで言ったらぁ、どぉなの?マイナスの部分もあるわけ?全く無い?やっぱり。
太郎さん: 三人でやってることによって、例えば一人でやってるよりも、「覚えてもらえる」ってゆう意味ではぁ。
Y: うーん、プラスだったんだ?
太郎さん: プラスだったんですよね。
Y: でー、三人でぇ、変な話ぃ、よく分かんないけどぉ、「サーフィン談義」みたいのは、すんの?
太郎さん: 俺ぇ〜、三人いっぺんにはしないかな。
Y: 例えばぁ、こぉ、入っててぇ、「さっきの乗り方、もぉちょっとこぉでしょぉー」とかぁ。。。そぉいうのはあるの?全然変な話だけど(苦笑)。
太郎さん: 俺がぁ話する場合は、例えば杉と俺、サイコと俺でしゃべる場合はあるけども。
Y: 「乗るならぁ、先の波じゃなくて、後の波だったでしょぉー。先に手ぇ出すからぁー」とか。
太郎さん: いや、それはあんまり言わないですけどぉ〜。例えば、板、を変えていく時。うん、新しいモデルにした時とか、新しい板にした時とか。そのぉー、やってることを見るわけじゃないですか?
Y: うん。
太郎さん: で、「あー、これ、もぉちょい後ろ足が後ろの方がいいかもしんないねー」とか。
Y: ふーん。
太郎さん: で、「前の板よりも、この板はこぉいう風になるハズだからぁ、そぉいう意識でやってみな」っていうのは、言いますよね。
Y: それは、太郎さんが言うの?
太郎さん: そぉ。
Y: ねぇねぇねぇねぇ、それはさ、板を作る側の、いわゆるシェイパーじゃんねぇ?
太郎さん: うん。
Y: の板をぉ、杉にしてもサイコにしても、乗ってよとか、あと他のアマチュアの上手いヤツとかもみんなそぉなんだけどぉ、ある意味さぁ、野球のコーチなわけじゃん。技術コーチみたいな。まぁ、何て言うのかなぁ〜。
太郎さん: 技術コーチって言うよりかはぁ。
Y: 技術コーチって言っても、ヤツラもそれなりの技術は持ってるわけじゃん、もぉすでに。
太郎さん: いや、もぉ、乗れば分かる。だけど、「この板をこぉ変えた」っていうのは、乗ってる本人達はよく分かんないから、「こぉいう風にするためにぃ、例えばテールをワイドにしてある」とか、「小波でいいよぉにぃ、真ん中のぉ、幅と厚みを増やしたからぁ、もっと上からプッシュする」とかぁ。
Y: をー、例えば岸から見ててぇ、海入らず。
太郎さん: いや、「入らず」ってことはなーい。一緒に入ってる中でぇ、もぉ、普通にサーフィンしながらぁ、「いーじゃん、板ぁ〜」みたいな。
Y: 例えば全体図を見るには、海ん中入ってたら見えないじゃん、サーフィンって。
太郎さん: いや、それはねぇ、ま、モチロンそのぉ、出たり入ったりしてるっていうのは。
Y: じゃぁそれは、ゲットしてくる時でぇ、乗ってくる時に、自分がアウト出る時の、乗ってくるラインを見た時にぃ、例えば「足をもぉあと半歩後ろに下げるとぉ、こぉだから、こぉした方がいいんじゃねぇ?」みたいな話をするわけ?
太郎さん: ですねぇ。
Y: 要は。
太郎さん: もぉ、「こぉいう風に動くはずだから、こぉいう風にやってみればいいんじゃないの」みたいな。
Y: うーん。
太郎さん: 「こぉいう風にした方がいいよ」とは、言わない。「こぉいう風にしたら、変わるかもね」、とか。
Y: なるほどね。
太郎さん: 大体、こぉー、板の動きっていうのはぁ、「こぉいう風に、ワイドにした」とか、「モデルを作る時にウィング、もぉ一個入れた」とか言うんで。昔とかって、今思えば、やっぱりあんまりこぉ、分かってない?昔ってぇ、こぉー、板について、モチロン分かったつもりでやってきてるけどぉ、今の方がぁ、もっとこぉ、具体的に細かくこぉ、“削ったものが自分のライディングに反映する”っていうのがぁ、やっぱ、より明確に分かってきてるのかな、って思う。
Y: うん。
太郎さん: ただ、これがあのぉ〜、ねぇ、あとぉまた5年ぐらいしたら、「まぁ、あの時はあんな事言ってたけど、まだまだ分かってなかったな」っていうー、のかもしれないし。
Y: あとさぁ、変な質問するよ。自分が板作るじゃん。
太郎さん: うん。
Y: で、今まぁ、『TRUE』っていう名前のブランドにして、こぉしてやってるでしょ。よその板もぉ、誰かから借りたりとかして、乗ったりする?
太郎さん: あのぉー、ちょっと気になるのを、もし誰かが乗ってたらぁ、乗る場合はあるけどぉ、乗るのはぁ、僕が乗りたいな、って思って乗ったのがぁ、まぁ、アルメリック。
Y: うーん。
太郎さん: ラスティー。
Y: うん。
太郎さん: ロスト。
Y: うん。でもやっぱり、するよね?ちゃ、何でこんな事聞くかっていうとさぁ、自動車の開発をする人達。はぁ、例えばトヨタの車を作る人、開発者がいるじゃん、絶対に。エンジンから何から。じゃ、トヨタで仕事してるから、当然普段もトヨタの車に乗るんだろうけどもぉ、よその車もやっぱり、乗るんだよね、っていうのをぉ、ある雑誌にぃ、あぁいう自動車関係の読んでると、当然出てきてぇ、例えば、日産のスカイラインに乗って、スカイラインの良さもあるわけじゃんねぇ。で、トヨタの例えばじゃぁ、マークUならマークUでいいや、の良さっていうのもあるように。ってするからぁ、実際作っとる側?、メーカーじゃん。メーカーとしてぇ、そぉいうのはどぉなのかな?と思ったからぁ、聞いてみた。
太郎さん: やります。あとはぁ、その乗ったことあるっていう、まぁ、信用が置けるヤツ?まぁライダーのヤツが、誰かの借りて乗ったとか、したら良かったと言ったら、「あ、じゃぁそれ、乗らせてよ」とかっていうのは、やったりする場合もある。
Y: うん。
太郎さん: ただ今はぁ、色んなタイプのモデルがあるからぁ、逆にそのぉ、何て言うのかな。自分とこのモデルを、こぉ追求してく?っていう上でぇ、あんまりよそのモノをぉ、見ることによって、頭ん中に自分のアイディアだと思ってたものが、実は「あの時のー、あの板じゃん!」っていう事が起きないよぉにぃ。
Y: うん、うん、分かる!
太郎さん: あんーまり他のモノをぉ。
Y: 鵜呑みにはしない、ってことだよね。
太郎さん: チェックは、しないようにしてる。
Y: あともぉ一個質問。今現在、これ進行形。じゃぁ、15年前の板。
太郎さん: うん。
Y: 当時の。例えばTRUEを出したの80何年にブランド起こしたけどぉ、その頃の板を乗るってことは?
太郎さん: んー、ない。
Y: それはぁ、車で言うと、昔の車のぉ。
太郎さん: うーん、もっと古いのは、逆にありますね。
Y: おーん。
太郎さん: 10何年前のはねぇー、ほとんど無いですねぇ。
Y: でもその時の板は、その時の板で、波乗りできてたじゃん。
太郎さん: できてた。
Y: 実際乗ってたもん。うーん。で、それをもぉ一回引っ張り出してきてぇ、まぁ、色がまっ茶っ茶になっとるかもしれんけどもぉ、持ってきてぇ、乗ってみて、っていうことは、しない?
太郎さん: あんまりやんない、僕は。
Y: やんない。
太郎さん: やってる人もいるけどぉ、ま、現在進行形っていう〜中にいるとしたら。
Y: うん。
太郎さん: ま、あんまり過去のモノっていうのはぁ、基本はやっぱり、その時にベストだと思って乗ってたの、の、焼き増しをする必要もないし。ただ、データとしては全部残ってますよ。
Y: うーん。
太郎さん: 例えば今の、クアッド、っていうものが流行り出す時にはぁ、昔の4フィンのデータ。引っ張り出してきて、でー、その4フィンとかは乗ったりした。
Y: うーん。
太郎さん: あまぁ、そぉいう意味じゃぁ、乗ってんのかな。
Y: 乗ってんじゃない。
太郎さん: ね。4フィンも乗ったしぃ、ツインザー。今、バタフライフィッシュってやってるけどぉ、そのツインザーも、80年代に造ったヤツを引っ張り出してきて乗った。
Y: っていうことはさぁ、これー、あのぉ〜。。。この前YUとしゃべった時に、「前の板を見ると、やっぱりヤなんだよね」って言ったわけ、あの人。で、「何で?」って聞いたらぁ、「やっぱり、日進月歩だし、今の板は、前の板を通過して、今のシェイプに繋がってて、で、昔は昔で、その時は良かったと思った」って言ったの。もぉ、正直にしゃべってくれた。で、「でも、それよりやっぱり、今の方がいいから、今のモノを、僕はすすめてるんですよ」って言って、ま、YUなんかは言うけど、そこはやっぱり、一緒?どぉ?
太郎さん: モチロンそぉですね!
Y: モチロンそぉだよね。
太郎さん: モチロンそぉ。そのノウハウが全て、今に反映してるっていう。
Y: うーん。
太郎さん: まぁ、明らかにその、「通過点だった」っていう意味ではぁ、それが、いいとか悪いとか否定はしないけどぉ、例えばホントに、昨日のシェイプより今日のシェイプの方がカッコイイって思ってやってるし、「カッコイイ」っていうのは何か?って言ったら、「乗ったらイイ」っていう。
Y: うん、うん。そりゃぁ、そぉだよなぁ〜。やっぱり、変わってくるもんねぇ。
太郎さん: 昨日より今日の方がイイと思ってやってるってことは、10年前よりも、今の方がイイと思ってるしぃ。
Y: うん。
太郎さん: ただその時の、データとかノウハウが、全て今に反映されている。だから、トランジッションボードとか、今すごい流行ってきて、急に作ってる人達いるけどもぉ、「あー。。。カッコだけで作ってんだな」っていうの、見れば解るしぃ。
Y: あ、それはぁ、あのね、ずーーーっっとやってる人達は、みんな言う、やっぱり。その時の、ホントにそこのところを知ってる人とぉ、全く知らずしてぇ、ただこぉ、「世間がそぉなったから、そぉだよね」ってしてるのではぁ、全く内容が違うってことは、やっぱり言ってる。
太郎さん: だから、ホントにイイ時期にやれたっていうのは、シングルフィン、ツインフィン、トライフィンになってきて、そっからマルチフィン。クアッドになったり、もぉ6本ぐらいまで立てたこともあるし。
Y: うん、うん。
太郎さん: で、ツインザーもあるしぃ。そぉいう色んなものを、今までテストしてきたっていう、『自信』にもなってますよね。
太郎さん:そぉいう自信があるからー、今の、こぉ、色んなモノを作る上では、あのぉ〜、他の人達よりは色々なデータもあるし、乗り方に関しても、自分として、まだこぉ、ちゃんと乗れてるっていう。で、乗って見せてあげられる、っていうのが、ま一番今、シェイパーとしてやってて良かったのかなぁ〜、って思いますけどねぇ。
Y: も一個、変な質問していい?七里ガ浜とか峰が原とかが太郎さんにとってのまぁ、メインポイントになってくるでしょぉ?絶対に。俺なんかは、たまぁに来て入れさせてもらうんだけど、その、波質の『質』?いわゆる、まぁ、波は味付けって言って、味付けが違って、僕らのホームポイント伊良湖っていうところが、ビーチブレイクがほとんどでぇ、で、どぉしてもあそこ(七里ガ浜)って、歩いてくと分かるけど、下に棚があって、まぁちょっと、サンドバーとリーフの融合型の、波なのね。で、どっちかって言うと、一度立つと、前がビューッと伸びてぇ、キレーにこぉ、回りこんでくるよぉな波なんだけどもぉ。シェイプをする中でぇ、例えばよく、オーダー用紙にリーフだとかビーチだとかってこぉ、丸つけるとこあるじゃんねぇ?それによって、そのモデルの、例えばレールとか、エッジとか、のあれを配合。配合って言い方は変だなぁ。こぉ、変えてぇ、やっぱり提供をしてってるの?あとは、仮に同じ板を、例えばバルーンフィッシュを作ったとしてぇ、で、そこが七里ガ浜でぇ、もぉ「90%は七里ガ浜で入る」っていう人とぉ、たとえば伊良湖のぉ、サリマノっていうポイントで入る場合はぁ、それは、変えるわけ?
太郎さん: 変えます。
Y: 変えるよね、やっぱりねぇ。
太郎さん: そのぉー、変える要素の中にぃ、モチロンそのぉ〜、やってる人が、何年間やってるとか、そぉいうのも見た上で、どこで何年間やってれば、「あ、きっとこのぐらい乗れてるんだろぉな」っていう想像はやっぱり。
Y: なるほどね。いや、俺はそぉでなけなアカンと思ってるからぁー。
太郎さん: そぉでないとしたらばぁ、もぉ俺のモデルをぉ、コンピューターシェイプでぇ。
Y: うん。
太郎さん: 大量生産でぇ。
Y: うん。
太郎さん: 常に、もぉ、ストックボードとして置いとけば、済んじゃう。って話だからぁ。
Y: でしょ?でないと俺ねぇ、カスタムっていう意味が、全く無いと思うの!
太郎さん: だから今のぉ、一番僕が思ってるのは、今のサーフィン業界の中で良くないのはぁ、まぁ、いわゆるパッコンボード。いわゆる“プロダクションボード”っていうものが、あふれ過ぎちゃって、で、あのプロダクションボードに乗ることによって、「ここまでは行けるだろう」っていう安心感があるのかもしんないけどぉ。
Y: うん。
太郎さん: 逆に、誰でもが、同じよぉに、乗れちゃう。
Y: うん。
太郎さん: 「はずだよ」っていう。それっていうのはぁ、その人に合ってる合ってない関わらずにぃ、同じモノに乗るわけじゃないですか。
Y: うん。
太郎さん: で、サーフィンやってくのにぃ、同じモノでいい、ってことは、まず無いわけじゃないですか。
Y: 無い。
太郎さん: みんな例えば、自分のこぉ、服を選ぶ時にも、靴選んで、靴下選んで、ズボン選んで、上、Tシャツ選んで、ジャケット選んで。ってそれは自分の、全部アイデンティティーがそこに出てくる、ってことをやってるわけじゃないですか。
Y: うん、うん。
太郎さん: 何か自分で、「今日着たけど、気に入んねぇな」っていう日は、気分乗んなかったり。
Y: うん。
太郎さん: 「やっぱ同んなじのばっか着ちゃったり、するよねぇ〜」みたいな。
Y: うん。
太郎さん: それが板に、モチロン出てきて、いいハズじゃないですか?
Y: うんうん。
太郎さん: マネキンが着てんのそのまんま着て、また次の日も、違うマネキンが着てんのを、そのまま着てるっていう、人もいるかもしんないけどぉ。どっちかって言うと、そのプロダクションボードは、まぁ、カップラーメンじゃないけどぉ。
Y: うーん。
太郎さん: 三分間で、誰でも同じ味のができちゃう、っていう。
Y: でしょぉ?こぉいうのをねぇ、俺ねぇ、ホントに雑誌でね、書いてほしいけど、雑誌は書かないからぁ、ダメチンだと思う、実は。いや、ここが一番聞きたかったー。僕はだから、造り手じゃないからぁ、あくまでも、どこまでも、自分の分をわきまえとるもんでぇ、うん。でもぉ、やっぱりいい形ですすめたいじゃないですか。サーフィンをぉ、嫌いじゃないから何十年も続けとると思うしぃ、決して上手くないけどぉ、その、それに対する何て言うのかなぁ、熱みたいなものはぁ、表歩いてる人よりは、絶対持ってると思うしぃ。。。
太郎さん: 地道にやれる、スポーツですよね、サーフィンって。だから嬉しいのはホントに、今はまぁ、ウェットも良くなって、板も良くなって、すごい上の人がぁ、サーフィンを続けてるっていうのが、やっぱり今、50歳になって、上の人達に対するリスペクトが、より増してきたっていう。自分より一個でも上の人が、やってるっていうことは、自分にとっても物凄い励みになるし。昔から考えりゃぁ、50でねぇ?サーフィンってぇ。
Y: いなかったよ。
太郎さん: いないですよね?
Y: いないいない!
太郎さん: 海ん中にいてぇ、まぁ30代真ん中ぐらい?が、きっと一番上ぐらいで。
Y: 一番上だったと思う。
太郎さん: ただ逆言やぁ、子供もいなかったから。昔はそんな、子供でサーフィンていうのはいなくてぇ、ま、いわゆるドロップアウトの不良、みたいなぁ。
Y: そぉそぉ。
太郎さん: そぉ、その辺が、多かったからぁ。そぉいう意味では、年齢層がすごい広がって、子供もいるしぃ、オジイちゃんもいるしぃ、で、みんながそれで楽しんでやってるっていう。
Y: ちょっと、もぉ一個、質問していい?
太郎さん: はい。
Y: 影響されたサーファーって、誰?
太郎さん: 影響されたサーファー?やっぱり、今で言えばぁ。
Y: あの時代?やっぱり。
太郎さん: 俺はぁ、一番最初に好きになったのは、マイケル・ホー。
Y: あぁー!
太郎さん: マイケル・ホー。何でかって言うとぉ、ハワイアンって、結構小柄じゃないですか。
Y: うーん。
太郎さん: ま、今デカイけどぉ。あの当時はぁ、あのぉ〜、白人とかあの辺がすごいデカくてぇ、でそぉいう中に、マイケル・ホーっていうのが、体格が、僕なんかと横に並んでも、そんなに変わんない?まぁ、モチロン胸の厚みとかはね、そぉいうのは倍くらい違うけどぉ。背丈が変わんない人がぁ、パイプラインでやったりぃ。
Y: あーん。
太郎さん: 手が折れてんのにぃ、優勝したわけじゃない?
Y: うん、優勝した!
太郎さん: あぁいうのを見ると、「あ、俺なんかでもぉ、そぉいう風にイケルんだ!」っていう。
Y: なるほどね。
太郎さん: それが白人の、すごいデカイやつが、やってるのを見ても。
Y: サイボーグみたいなヤツだとね。
太郎さん: そぉ。サイボーグみたいなヤツがやってるのを見ても、「あ、サイボーグだからできるんじゃん!」と、思っちゃうわけじゃないですか。
Y: あぁ〜。
太郎さん: そぉいう意味ではぁ、もぉ、ずーっとこぉ、頭ん中にあったのは、マイケル・ホー。
Y: なるほどねぇ〜。そっか、まぁ、人が出来ることは、頑張りゃできるって言うでね。
太郎さん: そぉ。でそれはやっぱり、こぉ〜、今になって、この歳になってくるとぉ、やっぱり、ジェリー・ロペスが書いてる本とか、あとは、ケリー・スレーターが書いてる本とか。
Y: 「パイプドリーム」とかね。
太郎さん: もぉ、ケリーの本とかも、読み進めながら、涙出るシーンとかあるし。
Y: うん、あるある!トッド・チェイサーんとこなんか、結構きたなー、俺。
太郎さん: だからホントに、そぉいうものを、自分が見て感じ取れる、『開いた心』を持っていたいっていうか。多分、若い頃はぁ、そぉいうの、あんまり読みたいと、思わないじゃないですか。
Y: 思わない。いや、活字読むと眠たくなったもん。ホホホホホ。
太郎さん: 今だから読めるし、読んだものが自分の中でこぉ、響いてくれるっていう。それが、自分の中にあることが、嬉しいですよねぇ。
Y: そっか。まぁ、じゃぁ、こんな質問はいいけど、まぁ、「太郎さんにとってサーフィンは?」っていうこの質問は、みんなに聞くんですけど。
太郎さん: サーフィンは。ま、「サーフィンがあったから、今がある」っていう。まぁ、自分のサーフィンをやりたいから、自分で板を削ってる、っていう。そしてまぁ、今の生活が成り立ってるから、まぁ良かったかなぁ〜っていう。
Y: じゃぁ、生まれ変わったら、仮に死んじゃって、また生まれ変わるとしても、やってみたいですか?
太郎さん: やってみたいですね。
Y: はい、分かりました。
太郎さん: やってみたいしぃ、まぁ、ホントに、最高の職業だと思いますね。ハワイのあるシェイパーが、話てたら、ウチの親父が学校の先生だったんです。「あぁ、ティーチャーか。それはグッドジョブだ」って言ってて、「でもシェイパーは、ベストジョブだ」って。
Y: なるほどねぇー。
太郎さん: 『ベストジョブ』。でもやっぱり、今になって思うと、「あぁ、そぉなんだなぁ〜。。。」って。その頃はぁ、サーフィンやって、シェイプやって、食ってけるとは思わないじゃないですか?
Y: うん、うん!
太郎さん: ねぇ?今んなったから、今、こっから先分かんないっすよ。来年無いかもしんないしぃ。
Y: 分からんね?
太郎さん: 跡形も無くなってるかもしんないけどぉ、ま、今までやってこれた事を考えれば、まぁ、食えてきたんで、まぁホントに、「ベストジョブだな」っていう。
Y: 僕もあれですよ、来年生きとるかどぉか分からんもんで、出逢えて良かったですよ。太郎さんとか、杉にも、彩子にも。
太郎さん: いやぁ〜、ホントに。
Y: 生きとるウチに伝えとかなかん、言葉はちゃんと。いやホントに、今日はどうもありがとうございました!
太郎さん: ありがとうございました!最高でした。

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