あいにくの雨模様の中、ようやく山頂の肩にある山小屋に辿り着いた。雨具を干して、荷物をまとめて一段落。そそくさと食堂にあるストーブに近寄る。
5分もすると、すっかり冷えきった体がようやく火照ってきた。ストーブから目を上げて部屋の全体を見回した。天井からはランプがたくさんぶら下がっている。そう、ここ大日小屋はランプの宿として有名であったことを思いだす。目線を下ろしていくと木目の壁にはピッケル、その横にはギターが場違いな雰囲気を醸し出しながら飾ってある。そしてさらに目線を下ろすと、驚いたことに南国リゾート風のワンピースを纏った若い女性が異空間から現れたかの如く、微笑みながらこちらを垣間見ていた。

わけのわからん、前文失礼しました。これは、9月下旬にオヤジが山仲間と大日小屋に行った時の実話です。推理小説の書き出しのようにアレンジしてみました。(笑)
ともあれ、正直なんじゃっと思いました。スカート姿の綺麗な女性が食堂にいるわけですから。小屋の人に尋ねたところ、アート雑誌「
エスクァイア」の取材とのことでした。彼女はカメラマンのようで、中型カメラを小屋の中で何度か構えていました。
そして今月その雑誌が発売されました。特集名は「美しき日本の山々へ」。この大日小屋の取材の他にも、加瀬亮が北穂に登った際の対談などが載っています。ヤマケイや岳人では載せにくそうな、山の常識の否定的な発言もあったりして、普通の人が山に対し正直に感じていることが伝わり目新しかったです。(いい悪いは別にして...) 機会があったら、ぜひ書店で手に取ってみてください。
大日小屋での食事風景→