和歌山市に障害者介護のサービス時間拡大義務付け
地裁「短縮は裁量逸脱」
介護サービスの時間増を義務付ける判決を受け、和歌山地裁前で喜ぶ原告側支援者ら=17日午後
脳性まひのため重い障害がある和歌山市の男性が、「障害者自立支援法に基づいて決められた介護時間の短縮で生活が困難になった」として市を相手取り、訪問介護の24時間化などを求めた訴訟で、和歌山地裁は17日、「大幅な短縮は市の裁量権を逸脱している」として、1日あたり約3〜11時間のサービス時間増を義務付ける判決を言い渡した。
原告代理人の長岡健太郎弁護士によると、同法に基づき市町村が決める介護サービス時間について、拡大を義務付けた判決は全国初という。
高橋善久裁判長は判決理由で「市が介護時間を短縮した決定は、男性の心身の状況などを十分考慮していない」と指摘し、決定に裁量権の逸脱があったことを認定。一方で「1日24時間でなければ、生命身体に重大な侵害が生じるとはいえない」とした。
判決などによると、原告の石田雅俊さん(42)は1人では車いすで移動することも食事をすることもできない。自立生活をめざして1人暮らしを始めた平成16年には月535時間の介護サービスが認められ、終日介護を受けていたが、17年に478時間、19年には377時間に削減。判決は現在約407時間のサービスを、月約500時間以上744時間以下にするよう義務付けた。
市側は「1人暮らしに慣れ、特別に考慮する必要がなくなった。尿パットを利用し、夜間は巡回介護で対応が可能」などと主張していた。
判決後の記者会見で石田さんは「市には判決を認めてほしい。自分の言い分がある程度通ったことはうれしい」と話した。
和歌山市の大橋建一市長は「判決文を確認し、対応を検討していきたい」とのコメントを出した。
2010.12.17 19:54

0