よみがえった!
久保田152キロ2回5K

紅白戦でMAX152キロを計測し復活の兆しを見せた久保田(撮影・田崎高広)
守護神復活に光が差し込んだ。阪神の高知・安芸キャンプ打ち上げを前にした2月28日、ラスト紅白戦で久保田智之投手(26)が152キロの直球を見せた。紅組の3番手として6回裏から登板し、2回を1失点も5奪三振。全28球中、150キロ台を5球計時し、力強さも戻った。キャンプ中の実戦では制球に苦しんできたが、勝利の方程式であるウィリアムス、藤川、久保田とつなぐ「JFK」の再構築が見えてきた。
邪心を超え、無心になった。久保田が自慢の直球で攻める。6回裏、先頭の赤松をカウント2−2と追い込む。最後は外角への152キロ直球だった。空振り三振で、久々の奪三振ショーは始まった。高橋勇、藤原と、この回すべてのアウトを三振で取る。縛られていた心の鎖を、解き放つかのようだった。
2イニング目の7回も中村豊、清水を三振に仕留め、2回で計5奪三振の快投だった。150キロ台は5球計時。「今までで1番良かったと思います。真っすぐで(三振を)取れたのが大きかった。思い切っていこうと思っていました」。長いトンネルの先に光が見えたことを笑顔で実感していた。
苦しみ抜いた。昨季の故障離脱から、抑えの座を奪い返す戦いがあった。沖縄・宜野座でのキャンプでは連日のブルペン入りでトータル2000球を軽く超えた。だが実戦では結果が出ない。ヤクルトとの練習試合では四球を連発。反省のために行ったブルペン投球では、捕手後方の高さ2メートルのネットを越えてしまうことさえあった。
疲労もあった。安芸にキャンプ地を移ってから、投げ込みを控えた。「この5日間で1回しか投げなかった。こっちに来てからは500球も投げてない」という。ノックや走り込みに重きを置き、この日を迎えた。「休んでもボールが行くんだ、と思った」と苦笑いするが蓄積した投げ込みがある。バックスイングを早くする新フォームを手に入れていた。
岡田監督も目を細めた。「力があったどころやない。152キロ出とったらしい。これぐらい投げられる投手。やっと元に戻ったということや。今日だけで合格とは言わんが、こういう形になればジャンも先発で使える」。抑え復活へ太鼓判を押した。久保田が投手編成だけでなく、チームの精神的な安定感を運んで来た。【今井貴久】
[2007年3月1日9時49分 日刊スポーツ 紙面から]

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