法務大臣閣議後記者会見の概要
おはようございます。
被疑者の取調べを録音・録画する等によって可視化するということについては,民主党のマニフェストにおいて掲げていますし,私としてもその実現に向けて取り組んでいきたいということを再三申し上げているところです。そこでこの度,この問題についての検討を行うため,私,そして加藤副大臣,中村政務官の政務三役と担当部局である刑事局の担当者の皆さん等によって,勉強会をスタートさせていただくことにいたしました。また,勉強会の下には,加藤副大臣を座長といたしまして,ワーキンググループを設けて,検討の成果を適宜勉強会に報告をしていただくと,そして取りまとめを進めていきたいと考えています。この勉強会及びワーキンググループにおいて,当面は検討すべき論点の整理を行い,そして調査の進め方などについてもまず議論をさせていただくということになろうかと思います。いろいろ検討すべき点はあろうかと思いますけれども,例えば取調べの可視化のメリット,そして逆に捜査に何らかの影響を与えるのかどうかと,こういう点についてもきちっと整理をしておかなければいけないかと思っています。また,更にその他にも論点があれば,そういう点も整理をして議論を進めていくということになろうと思います。また,我が国における捜査,公判の実情,そしてそれと対応する形での諸外国の制度等についても,調査をする必要があるかと思っていますので,そういう点についても,この勉強会におきまして,議論をさせていただきたいと思っています。こういう勉強会を通して,この問題についての更なる深い精査をさせていただいて,取調べの可視化に向けて着実に一歩一歩前進をしてまいりたいと思っていますので,どうぞよろしくお願いしたいと思います。
【取調べの可視化に関する質疑】
Q:勉強会,ワーキンググループの開催のペースはどのようにお考えでしょうか。
A:できるだけ詰めてやりたいと思いますが,来週あたりからスタートしてまいりたいと思っています。特にワーキンググループの方は,かなりの頻度と言いましょうか,そういう形で積極的に議論を進めていただくようにしたいと思っています。
Q:ワーキンググループは週に一回とかですか。
A:定期的ということになるかどうかは,座長の下で進め方などについて検討をしてもらうということになろうかと思います。
Q:最終的な成果物として,最終報告書のようなものを取りまとめられるのか,取りまとめられるのであれば,その期限について考えていらっしゃるのかお聞かせください。
A:当然,何らかの大きな方向性を出さなければいけないと思いますけれども,幅広くいろいろな皆さんからの意見もお聞きをすると,そういう機会も設けなければいけないかなとも思ってはいます。そういう意味では,期限というのは今直ちにいつまでということを区切っているわけではありませんけれども,これは御約束の事項でもありますので,できるだけ適切な時期に一定の成果を得ることができるように努力をしていきたいと思っています。
Q:半年以内とか一年以内とかですか。
A:そこまでは今の段階では申し上げる状況にはありません。
Q:最終的に取りまとめられた結果を受けて,法制審議会に諮問されるという流れでしょうか。
A:法制審議会に諮問をさせていただくというのも,一つのあり得る形であろうとは思います。
Q:以前から中井大臣と千葉大臣の間で話し合いをするということになっていたと思うのですけれども,中井大臣との交渉と勉強会との関係というのはどういうふうになるのでしょうか。例えば,その勉強会において何らかの方向性を打ち出すまでは,千葉大臣と中井大臣との間での具体方針みたいなものも決定されないと受け止めてよろしいのでしょうか。
A:今回は,可視化の最も基本的な責任担当でもありますので,まずは私の下でしっかりと勉強をさせていただくということです。いずれかで必要であればお話をすること自体は全く否定するものではありませんけれども,まずは部内できちっとした検討をするということからスタートするということです。
Q:かねがね話題にもなっていますが,捜査の新しい手法というか,司法取引であるとか,通信傍受であるとか,そういった捜査手法についてもこの勉強会で検討課題に入ってくるのでしょうか。
A:私は,最初からそういう問題をこの勉強会で検討するとは考えていません。ただ,議論をする中で,そういう問題にも言及と言いますか,そういうことはあり得るだろうと思いますけれども,この勉強会はあくまでも可視化ということを実現をする,その方向に向けた議論を進めていくということです。
Q:そうすると,大臣の方から,ワーキンググループなり加藤副大臣の方に,この勉強会は可視化の問題オンリーでやるという指示を出されているということですか。それともワーキンググループの方で,新手法についても言及が必要であるという内容が出てくるかこないかとか,そういう話にはならないのですか。
A:基本的には可視化を実現するという方向に向けて,いろいろな課題を議論していくということです。だからその中で,例えばそういう問題も関連すると,そういうことで議論があるかどうかは私は別に否定するところではありませんけれども,基本的には可視化ということを基本にした勉強会ということです。
Q:基本的には可視化に関するものオンリーだけれども,議論の流れでどうしてもそれが必要であるということになればということですか。
A:必要であるということかどうかは別として,そういう問題も全然触れないということでもないと思います。そういう意見があるわけですから,そういうことについてはどうだろうと,こういうことくらいは別にあってもおかしくはないのではないですか。
Q:先の通常国会で民主党が可視化の法案を提出して,参議院で可決していますが,あの法案はこの勉強会においてはどのような扱いになるのでしょうか。
A:やはり,一つの議論をする材料と言いましょうか,そういうことには当然なるだろうと思います。
Q:先ほどのお答えの中で,中井大臣との話というのは,まずはこちらで勉強をしてからというような御発言だったと思うのですが,基本的にまずこちらの考え方を勉強会で詰めた上で,その上で警察庁と更に調整を進めていくという考え方だと伺ってよろしいのでしょうか。
A:途中の段階で中井大臣からもどんな考え方かというお問い合わせとか,あるいは話し合いをしましょうということがあれば,それはその時点で決して話をすることを否定するものではありません。両方が共同して何かするという段階ではないと思っています。
Q:勉強会をまずやって,報告書なりをまとめて,その後法制審議会への諮問も視野に入れていくとなると,スケジュール的に来年の通常国会に可視化の法案を出すというのは今のところ難しいという御認識ですか。
A:なかなか簡単ではないなと思います。
Q:大臣は幅広くいろいろな皆さんの意見を聞く機会をとおっしゃっていたのですけれども,皆さんのという中には,例えば現職の警察官とかそういう人たち,弁護士とかも入るのでしょうか,どういう人たちの意見を可視化の議論の中に入れていきたいとお考えなのでしょうか。
A:これは,いろいろな関係の方とかがあると思いますので,ワーキンググループなりの議論の過程で意見をお聞きをするということもあろうかと思います。
Q:今週にも政策会議を行うというお話でしたが,この可視化の問題もその政策会議で報告なりテーマなりにされるのでしょうか。
A:これはまだ政策会議で特段に御意見を頂戴するという状況にはないかと思っています。こういうことをスタートしましたということの御報告はあるかと思います。
Q:勉強会の中で法務省刑事局の担当者から全面可視化に踏み切れば,大変捜査にデメリットというか大変大きな影響があって,メリットよりもデメリットが大きいというような非常に強い反対意見が多数寄せられた場合,大臣なり副大臣なりは,どのような方向でそれをまとめていくおつもりなのでしょうか。
A:多分それぞれの当局の方も十分に理解をしつつあるのではないかと思っていますので,そのようなデメリットばかりを挙げて議論をするということにはならないと私は確信をしています。
【補正予算に関する質疑】
Q:9日に二次回答をされたと思うのですけれども,その時点で最初の307億円からの上積みというのはあったのでしょうか。
A:ぎりぎり,絞ってもなかなか水滴も出てこないということではありますけれども,御指示をいただきまして,努力をしてみました。
Q:そこから更に削減を求められていると思うのですけれども,その回答を来年度の概算要求の出し直しの期限である15日までには,3回目の回答をなされるということになるのでしょうか。
A:これは副大臣の下で,昨日,財務省,古川副大臣のところとだいぶやりとりをしていただきまして,最終的な,最後の詰めをさせていただいているところです。
【概算要求に関する質疑】
Q:今,概算要求の見直しを進められていると思うのですけれども,マニフェストに盛り込んだ部分で,ここだけは要求したいという部分があるかどうかという点が一つと,もう一つ全体の見直しに向けて,大臣から事務当局に方針の指示みたいなものがあるのかどうか,その2点について伺いたいのですが。
A:私どものところは,マニフェストの工程表とは直接かかわらないわけですけれども,大変一人一人の権利義務にかかわる,あるいは安心,安全にかかわるというところばかりですので,そこをしっかり念頭に置きつつ概算要求をまとめていきたいと思っています。
Q:全体的な方針について削減しろという指示ですけれども,その辺については大臣からどのようにされていますか。
A:それは鳩山政権としての大きな全体としての方向性ですので,それはきちっと重く受け止めつつ,しかし申し上げましたような性格ですので,そこも十分に,問題を残さないように努力をするしかありません。
【選択的夫婦別姓に関する質疑】
Q:先週9日,選択的夫婦別姓についての質問で,1996年の答申をベースにされるという御発言があったのですけれども,1996年の答申ですと子供の姓を統一することになってしまいまして,民主党がこれまで出してきた法案とは違った形になってしまうと思うのですが,なぜ今あえてこの姓を統一するという方の答申をベースにするとお考えになったのか,その理由をお聞かせ願えますか。
A:姓を一つにする,あるいはそれぞれが選択をすれば良いと,両論あると思います。別々にするというのを否定しているわけではありませんが,ただ法制審議会という大きな諮問機関で一定の方向を出されたということは,それなりに重いものだと思っています。別々な姓でも良いという考え方も私は十分あり得るとは思っています。
(以 上)
2009年(平成21年)10月13日(火)

0