「密室状態なくせ」/足利事件シンポ

「足利事件」で再審開始が決定した菅家利和さん(62)を招いてのシンポジウムが24日、和歌山市小松原通1丁目の県民文化会館小ホールで開かれ、約200人が集まった。和歌山弁護士会主催。
司会者の質問に答える菅家利和さん=和歌山市小松原通1丁目
菅家さんは、90年に栃木県足利市で女児(当時4)が殺害された「足利事件」で、殺人、死体遺棄容疑で逮捕された。取り調べ段階で犯行をいったん「自白」したが、公判途中で否認に転じた。最高裁で無期懲役の判決が確定して服役。再審開始をめぐるDNA型の再鑑定で、「無実」が判明し、今年6月に釈放された。
シンポジウムのタイトルは「こうして私の17年半は奪われた」。支援する弁護士とともに演壇に現れた菅家さんは「(取り調べ段階で)刑事に被害者の写真を見せられ、『謝れ』と怒鳴られたり、髪の毛を引っ張られたりした。その責めが怖く、『やりました』と話しました」と当時を振り返った。「うその自白をさせられている人は他にもいるはず。取り調べ時に録音・録画をして、密室状態をなくしてほしい」と訴えた。
同弁護士会の月山純典会長は「やっていないなら自白などしない、というのは神話であることが、この事件からわかる。憲法38条には『不利益な供述の強要の禁止』などが書かれてあるにもかかわらず、うその自白の強要は起こっている。取り調べを可視化し、自白偏重を改めるべきだ」と話した。
この後、菅家さんや同事件弁護団の佐藤博史弁護士、朝日新聞和歌山総局の森本未紀記者らによるパネルディスカッションがあった。
2009年09月25日 asahi.com> マイタウン> 和歌山>

0