元裁判員「疑問と不安が錯綜」
=初判決から2日
−選ばれれば「またやりたい」・東京
全国初の裁判員裁判で、裁判員を務めたアルバイト男性(61)が判決から2日後の8日、東京・霞が関の司法記者クラブで取材に応じ、「判決に正解はない。あれで良かったのか、疑問と不安が錯綜(さくそう)している」と複雑な心境を明かした。
当初は補充裁判員だったが、審理3日目の朝、裁判員の1人が体調を崩して欠席し、開廷直前に裁判員になった。「質問するならきょうしかない」。実質審理はこの日で終わるため、「タイムリミットを感じ、何を質問すべきか緊張した」という。被告に救急通報をしなかった理由を問うたが、「自分ならどうしていたか、世間一般の行動に照らして考えた」と説明した。
判決の日は約2年ぶりに黒いスーツを着用した。裁判長が懲役15年を言い渡す際は「一つの責任」と思い、被告を見詰めた。この瞬間、「被告には15年間自由がないんだというリアリティーを感じた」という。
審理や評議については、「今思えば、もう少し被告や被害者の人となりの情報が欲しかった」と指摘。弁護人には「どの程度の刑が適当と考えているのか具体的に知りたかった」とした。裁判長が示した類似事件の量刑資料については「犯行の状況が分からず、参考にならなかった」と述べた。
4日間の審理を「ボディーブローを打たれたように疲れた」と振り返ったが、再度選任されることがあれば「積極的にかかわりたい」とも。男性は「勤めがある人も参加できるよう、社会の理解が必要だ。選ばれたらぜひ参加してほしい」と訴えた。
時事ドットコム(2009/08/08-20:19)

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