採血器具問題の使い回し新たに5施設
県「危機感欠如」と怒り(和歌山)
県は20日、公立病院を含む3病院、2診療所で新たに、針付き採血器具の使い回しが明らかになったと発表した。感染性が高い針の使い回しはなかったものの、10日に一斉調査の結果を発表したばかりで、県は「危機感が欠如している」と怒りをあらわにしている。
公立病院は新宮市の新宮市立医療センターと海南市の海南市民病院で、一斉調査の時点で使用していなかったため「不適切な使用はなかった」と回答していたという。新宮市立医療センターは「単純な事務方のミスで申し訳ない」と話している。
県医務課は「調査以前から危険が指摘されていた問題。特に新宮市は市保健センターの健康相談での使い回しが発覚し、佐藤春陽市長が謝罪会見も行っているのに、公的機関として危機感がない」と指摘した。
問題となっているのは糖尿病患者らの血糖値を測定するために、指先に針を刺す小型器具。他府県で複数患者への使用が表面化し、県は1277施設、30市町村を一斉調査し、120カ所での使用を確認していた。
前回の調査で「複数患者に使用した」と報告していた和歌山市の松本クリニックは、全カルテを調査したところ、1人への使用だったことが判明したため訂正した。
同課は「複数患者への使用を禁止している器具はほかにも多数あり、チェックを強める必要がある」と話している。
新宮市立医療センターが会見
新宮市の市立医療センター(三木一仁院長)は21日、会見を開き、採血器具を複数の患者に使用していたことを報告した。
使い回しがあったのは、2003年11月から08年5月まで。針は1回ごとに交換していたが、器具は複数の患者に使っていた。
センターでは、この器具で複数の患者の血糖値を測定したり、使い方を説明したりする形で複数患者への使用があったという。採血方法はほかにもあり、特定できないが、1000人以内という。
厚労省は、器具の複数患者への使用を禁止する通達を06年3月に出しているが、一部で08年5月まで使い回しがあったという。
会見で、三木院長は「通達を守っていなかったのはわれわれの落ち度。このことで感染の可能性があるとは思わず認識が甘かった」と述べた。今後、国や県の対応方針と合わせながら、検査や相談窓口の設置を進めていくという。
2008年6月21日17時2分配信 紀伊民報

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