捜査「可視化」先駆けのDVD、信用性を争う事態に
捜査段階の取り調べを録画したDVDが初めて法廷で再生された刑事裁判にからみ、録画のなかで「主犯格」とともに殺人事件に関与したと認めていた「共犯者」が19日、自らの東京地裁での初公判で「一切関与していません」と起訴事実を全面的に否認した。
弁護側は、被告が関与を認めたときだけ都合良く検察側が撮影した、と主張する構え。供述の任意性や信用性をめぐる争いで裁判が長期化するのを防ぐ捜査状況の「可視化」の先駆けとして注目されたDVDだが、いきなり任意性や信用性が争われる事態となった。
否認したのは、フィリピンで会社員を保険金目的で射殺したなどとして殺人罪などに問われている東京都台東区の無職山本俊孝被告(56)。
山本被告のDVDは5月に「主犯格」とされる吉井誠被告(51)の法廷で再生された。吉井被告が無罪を主張しているため、検察側が山本被告が捜査段階で「吉井被告が事件に関与した」と供述した内容が信用できることを立証する目的で証拠申請した。
この日の法廷でも同じ内容が再生され、山本被告が検察官に「共犯としてかかわっていたのですか」と質問されて「間違いありません」と答えるシーンが映し出された。
これに対し、弁護側は撮影の前、過度に長時間の取り調べを強要されたり供述を誘導されたりした可能性があるとみて捜査の行き過ぎがなかったかを確認していく方針。
2007年07月19日23時00分 asahi.com>社会>裁判> 記事

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