貸金の一括返済求める特約
超過金利分は無効 最高裁
利息制限法の上限(15〜20%)を超える利息で貸し付ける契約の有効性をめぐる訴訟で、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は13日、契約の中に「分割返済の期日までに支払わなければ、直ちに一括返済を求める」という条項がある場合、「債務者に対し、本来は義務のない制限利息を超える分の支払いを事実上強制することになる。この特約の下で払った制限超過分は、自由意思で払ったとは言えず無効」とする初判断を示した。
消費者金融などほぼすべてのローン会社は制限利息を上回る金利で貸し付けているうえ、契約で同様の条項を使って支払いを促している。
今回問題となったのは、ローン会社「シティズ」(京都市)が00年、鳥取県の男性に、年29%の利息で300万円を貸した契約。
貸金業規制法上、制限利息を上回る金利が有効とされるのは、「債務者が任意に払った場合」に限られる。シティズ側は「債務者は自分の意思で契約に応じており、任意に支払ったと言える」として、契約は有効だと主張。29%で計算し、既済分を差し引いた残金約189万円の返済を男性に求めるとともに、遅延損害金の支払いも求めた。
一方男性側は、「支払いを怠れば、一括返済を求める」という契約の条項に着目。「条項によって支払いを強制された。任意に払ったとは言えない」などとして、法定利息で計算し直し、残高は約109万円だと主張した。
一、二審はこの契約を有効とし、業者側の請求通りの支払いを男性に命じた。
これに対し第二小法廷は、男性側の主張を支持。「任意に制限超過分を払ったという判断には、明らかな法令違反がある」として二審判決を破棄し、審理を広島高裁に差し戻した。
asahi.com 社会 > 裁判 2006年01月13日20時21分

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