札幌地方裁判所平成11年11月17日判決
要 旨
大規模小売店の雪で凍った店外階段において、顧客が転倒受傷した事故につき、右施設の所有会社及び管理会社には、右階段につき、歩行者が足を滑らせないように安全性を確保して管理すべき注意義務があったにもかかわらず、設置したロードヒーティングの温度管理を十分行わないまま、氷を付着させて右顧客に利用させた過失があったと認められた事例。
大規模小売店施設の雪で凍った店外階段で、転倒受傷した顧客には、事故当時収入がなかったことから、入院治療期間中の休業損害は認められないとされたが、慰謝料の算定においては考慮された事例。
大規模小売店の雪で凍った店外階段において、顧客が転倒受傷し、翌日の病院の診断では、約2週間の通院・安静加療を要するにすぎないものであったにもかかわらず、11日間通院しても、症状は改善されず、約4か月間の入院、74日間の通院によっても、症状の改善・変化はうかがえなかった事案で、被害者の症状に心因的要素や体質的要素が影響している可能性は否定できないとして、最初の通院と、入院については、約2か月余りの治療の範囲で事故と相当因果関係はあるとして、治療費、入院雑費、通院交通費の賠償が認められた事例。
大規模小売店の雪で凍った店外階段において、顧客が転倒受傷した事故につき、右施設の所有会社及び管理会社には、右階段につき、歩行者が足を滑らせないように安全性を確保して管理すべき注意義務があったにもかかわらず、設置したロードヒーティングの温度管理を十分行わないまま、氷を付着させて右顧客に利用させた過失があったとして、顧客に生じた損害につき連帯して責任を負うとされた事例。
大規模小売店施設の雪で凍った店外階段において、転倒受傷した顧客につき、通院・入院期間、事故当時収入がなかったために休業損害が認められなかった等の諸般の事情を考慮して、100万円の慰謝料が認められた事例。
大規模小売店施設の雪で凍った店外階段において、顧客が転倒受傷した事故で、顧客にも大きな過失があったとして5割の過失相殺が認められた事例。
平成11年(ワ)第591号 損害賠償請求事件
裁判結果 一部認容、一部棄却
上訴等 控訴
裁判官 小林正明
参照法令 民法709条/710条/722条
出典 判例時報1707号150頁
判例タイムズ1063号147頁
判例評釈 鬼塚賢太郎・法令ニュース35巻10号44〜45頁2000年10月
國井和郎・私法判例リマークス〔22〕2001〔上〕〔平成12年度判例評論〕〔法律時報別冊〕58〜61頁2001年2月

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