本日(12月16日、後期第12回)の「大阪と文学」では、大阪の芸能を取り上げました。
なぜ関西では「お笑い」が盛んなのか、「お笑い」はなぜ「笑い」ではなく「お(御)笑い」なのか、など。
特に上方漫才の発祥の地が東大阪であり、現代の漫才につながる漫才の開祖が東大阪の人であることなど、私たちの「この場所」が上方芸能や漫才と深く関わりあうことについて話をしました。
本日が年内最終の講義となりますので、後期のプリントを改めて配布し、年末恒例となった(ただし今回で終了する)「M−1グランプリ」の優勝者を予想してもらいました。
100枚の出席用紙が提出されましたが、この期に及んで1人で2枚書いて出した人がいましたので、98枚を有効とします。
1位 笑い飯(42票)
2位 ピース(14票)
3位 ジャルジャル(10票)
4位 ナイツ(8票)
5位 ハライチ(8票)
6位 銀シャリ(5票)
7位 敗者復活組(3票)
8位 カナリア(2票)
9位 スリムクラブ(1票)
(注)ナイツとハライチは同じ8票でしたが、複数回答の数がナイツは3票、ハライチは1票(他は、ピース1票・敗者1票)でしたので、ナイツを上位としました。
その他は、興味がない・わからないが計3票でした。
【追記(所感)】
おおかたの予想通り、第10回(最終回)のM−1グランプリは笑い飯が制しました。
ずっと関心を持って見てきた者としては、笑い飯の受賞にほっとした部分と、釈然としない思いが、こもごも残りました。
というのも、笑い飯4票(松本人志・南原清隆・大竹一樹・渡辺正行)、スリムクラブ3票(島田紳介・宮迫博之 中田カウス)を獲得した最終決戦では、第9回までのM−1の趣旨に則るならば、明らかにスリムクラブが受賞者にふさわしかったからです。
松本仁志のコメント「笑い飯はがんばってきたから」が、第10回の最後の最後に至ってM−1が変質してしまったことを、何よりも明確に物語っています。
M−1は、「がんばってきた人たち」に与える賞なのではなく、あくまでも、その時点で「いちばんおもしろかった人たち」に与える賞のはずでした。
それが最終回に至って変質してしまった事実は、この賞の権威をおとしめるとともに、これまでの9回のM−1の価値をも一気に褪色させました。
いかにも破壊者・松本仁志らしい選択であったとは思いますが、失望は隠せません。
その意味でも、今回で終了するという島田紳介の選択は、妥当であったと思いますし、むしろ破壊の破壊、すなわち「M−1の復活」への目を島田紳介はその瞬間につかんだのではないかと想像できます。
もちろん一筋縄では行かない人たちですから、シンプルな「復活」などあるわけはなく、何かまた別の形をとるに決まっているのですが。
それは、彼らに感知させる時代の空気が決めることでしょう。
第10回M−1以前から決定していた笑い飯の最初の冠番組が始まりました。
一方でスリムクラブにはM−1終了後に160件の出演依頼が殺到しました。
10回に及んだM−1グランプリの終了が、「大団円」ではなく、「何かの始まり」であることを期待します。
ただし、10年前に比べて「お笑い」への風向きはずいぶん変わっていますから、楽観視はできないのですが。