最近、温泉で有毒ガスが発生して尊い命が失われる事故がありました。自然界で有毒ガスによる事故・・・一般の方が遭遇する可能性は極めて低い事から地質学の専門家や化学に明るい方以外、なじみが薄いと思います。地質屋でも化学屋でもない私が20歳代に経験した事を参考までに報告します。
空気の成分比率は酸素21%、窒素78%、残りの1%がアルゴンや炭酸ガスなどその他の気体で構成されている事は理科や物理で学ぶ事と思います。火山性の温泉が多い日本はこの温泉に付き物の硫化水素や亜硫酸ガスの影響を受けやすい環境にあります。硫化水素や亜硫酸ガスは空気より重く、地下から噴出しても拡散しにくく、風などの影響を受けなければくぼ地などの低い所に沈殿する性質があります。硫化水素の臭いは“腐卵臭”と言い、卵が腐ったような臭い・・・まさに温泉の臭いそのものです。反面、亜硫酸ガスは強烈な刺激臭がするため、致死量のガスを吸う前にほぼ100%の人は危険区域から逃げ出します。硫化水素ガスの厄介なところはガスの濃度が高くなると臭いを感じなくなる事です。ガスの種類によって受ける症状は違いますがいずれのガスも低濃度(約0.1%程度)で死に至る猛毒ですので頭痛や吐き気などの異変があれば速やかにそこを離れ新鮮な空気を吸う事が必要で、万一有毒ガスで倒れた人がいたら素面で救助に行く事は自殺行為です。ガスの性質を知った上で温泉を楽しんで下さい。