◎ 単純温泉
泉温は摂氏25度以上で、固形成分、及び遊離炭酸の含有量が水1Kg中100mgに満たないものをいう。刺激が少なく、無色透明で無味無臭のものが多く、石けんの効きがよい。また、湯が柔らかく(刺激が少なく)入り心地がよい。神経痛、リューマチ性疾患のほか、骨折や外傷の療養に効果がある。また、脳卒中や外傷、手術後の回復、ストレス病など、効果が広く万人向き。飲用すれば胃粘膜に弱い刺激を与えるため、軽い胃炎によい。また、利尿作用もある。山梨の下部(しもべ)、静岡の伊豆長岡、長野の鹿教湯、栃木の川治温泉、神奈川県の箱根湯本温泉などの温泉が単純温泉の名湯として知られる。
◎ 単純炭酸泉
日本には数少ない泉質。水1Kg中に、遊離炭酸1000mg以上を有し、固形成分は1000mgに満たないものをいう。この温泉は冷鉱泉や低温泉に多い。泉温が上がると炭酸が気化して炭酸ガスとして遊離するためである。無色透明、わずかな酸味と清涼味があり、石けんの効きはよい。入浴すると溶けている炭酸ガスが無数の泡となって身体につく。また、ビンに入れて栓をしておくと、溶けているガスの圧力で栓が吹き飛ばされるほどである。炭酸ガスは毛細血管を拡張させる作用があるので、血液の循環をよくし、血圧を下げる特徴がある。高血圧や心臓病に効くのはこのためである。また、飲用するとサイダーのような感じがあり胃腸活動を盛んにし、利尿作用、便秘に効果がある。福岡の船小屋(ふなごや)、岐阜の湯屋(ゆや)、栃木の塩原本湯、長野の角間温泉などが単純炭酸泉として知られている。
◎ 重曹泉
水1Kg中に固形成分1000mg以上を含み、陰イオンはヒドロ炭酸イオン、陽イオンでは80%以上がナトリウムで、これが結合して重炭酸ナトリウムを構成するものをいう。無色透明で石けんの効きがよい。入浴すると皮ふの表面を軟化させる作用があり、また、皮ふの脂肪や分秘物をよく乳化して洗い流すため、皮ふ病や火傷・創傷によいとされている。皮が滑らか(ツルツル)になるので“美人の湯”ともいわれている。飲用すると「胃散」という薬のように胃酸を中和する。また、胃の中心で炭酸ガスを発生させ、胃の活動を促進させる作用がある。慢性胃炎、胃酸過多、胃液の少ない人などによく効く。群馬の磯部温泉、佐賀の嬉野(うれしの)温泉、宮城の鳴子温泉、長野の小谷温泉などが重曹泉の代表的温泉。
◎ 食塩泉
食塩を含む温泉で、わが国の温泉の中でも最も多い泉質。口に含むと塩辛い味がするのですぐわかる。水1Kg中に固形成分1000mg以上を含有し、塩素イオンとナトリウムイオンが主成分であるものをいう。また、泉水1Kg中に食塩1500mg以上含むものを強食塩泉、500mgに満たないものを弱食塩泉という。さらに、重曹、芒硝(ぼうしょう)、臭素、ヨウ素などを含んだものもあり、食塩泉の種類は多い。石けんは効かない。入浴すると皮ふに塩分が付着して汗の蒸発を防ぐため保温効果がよい。身体の芯からポカポカ温まることから、慢性関節リューマチ、腰痛、神経痛、筋肉や関節の痛み、手足の冷え、捻挫、婦人病、疲労回復などによく効く。弱食塩泉を飲用すれば胃腸の活動が活発となり、便秘、慢性胃カタル、胃酸減少症によい。ただし、高血圧、心臓病、胃臓病、身体にむくみがある時に多量 の飲用はできない。温泉地名で「塩」の付くところが全国各地にあるが、それらのほとんどは食塩泉の温泉地である。栃木の塩釜、山梨の塩ノ沢などである。このほか福井の芦原(あわら)、兵庫の城崎、新潟の越後湯沢、静岡の熱海なども食塩泉の名湯として知られている。
◎ 硫酸塩泉
水1Kg中に固形成分1000mg以上を含有し、陰イオンとして硫酸イオン、陽イオンとしてナトリウムかカルシウム、またはマグネシウムイオンを含むものをいう。陽イオンの種類により、芒硝(ぼうしょう)泉、石膏泉、正苦味(せいくみ)泉の3つに分けられる。無色透明で、芒硝泉を除いて石けんはあまり効かない。正苦味泉は特有の苦い味がする。「芒硝泉」 ナトリウムイオンを含むもので、高血圧症、動脈硬化症、外傷によい。飲用すれば、胆汁分泌が促進され、腸の運動が盛んになることから胆道疾患や便秘に効くといわれている。また、糖尿病、肥満症、通風にもよい。「石膏泉」 カルシウムイオンを含むもので、鎮静効果がある。高血圧症、動脈硬化症、創傷、火傷、慢性関節リューマチに効く。飲用すれば通風やじんま疹によい。「正苦味」 マグネシウムイオンをい含むもので、日本では数が少ない。高血圧症、脳卒中、動脈硬化症に効く。芒硝泉では青森の蔦、石川の山代、中山、山梨の西山、石膏泉では青森の浅虫、静岡の土肥が代表的な温泉。
◎ 鉄泉
水1Kg中に鉄のイオンを10mg以上含有するものをいう。ヒドロ炭酸イオンと結合した炭酸鉄泉、硫酸イオンと結合した緑ばん泉とに分かれる。「炭酸鉄泉」湧出口では無色だが、空気に触れると酸化され、褐色の沈殿物が生じてくる。土類、食塩、重曹を含むものが多い。「緑ばん泉」強酸性で、銅、コバルト、マンガン、ヒ素などを含んだんものが多い。炭酸鉄泉同様濁ったものが多い。鉄泉はよく温まり、造血作用を促すので貧血症、水虫、更年期障害、婦人病によい。鉄泉は酸化すると効果が低下するため、湧出口に近い無色透明の湯が効果が高い。奈良の吉野、熊本の金桁、群馬の伊香保、山形の蔵王などが名湯として知られている。
◎ 明ばん泉
水1Kg中に固形成分1000mg以上を含有し、陽イオンとしてアルミニウムイオン1000mg以上、陰イオンとして硫酸イオンが主成分をなしているものをいう。実際には酸性明ばん緑ばん泉、酸性明ばん泉の形で存在している。皮ふや粘膜を引き締める作用が強く慢性皮ふ疾患など粘膜の炎症に利用されている。山形の蔵王、山梨の積寺、群馬の草津、青森の八甲田、神奈川の湯花沢などが代表的温泉として知られている。飲むと慢性消化器疾患にも。
◎ 硫黄泉
水1Kg中に硫黄1mg以上を含有するものをいう。ゆで卵の腐ったような臭いがし、湯は白濁しているのが特徴。温泉地で、最も温泉らしい湯の香りがただよっている感じがするのがこの硫黄泉である。遊離炭酸や硫化水素を含まない硫黄泉と、遊離の硫化水素、ならびに炭酸ガスを含む硫化水素泉とに大別できる。硫黄泉は療養の効果が最も顕著で、しかも応用範囲が広い。硫黄には解毒作用があるので、金属中毒や薬物中毒をはじめ、慢性皮ふ病、慢性リューマチ、間接疾患、糖尿病、便秘などによく効く。また、硫化水素ガスにより、慢性気管支拡張症(たんがからみやすい症状)や動脈硬化症、白ろう病などにもよい。硫化水素泉石けんの効きが悪い。また、鉄、銀、などの金属は硫化水素と化学反応を起こし易く、真黒になってしまうので、アクセサリーなどの身の回り品には充分に注意したい。また、硫黄泉は入浴、飲用ともに身体に対する刺激が強い。温泉療養は、この性質をうまく利用したものだが、その刺激性ゆえに、高齢者や病弱者は極力避けたほうがよいとされている。皮ふや粘膜の弱い人も同じ理由から向かないので注意したい。栃木の奥日光湯元、群馬の万座、草津、神奈川の芦之湯、長野の野沢などが硫黄泉の名湯として知られている。
◎ 酸性泉
水1Kg中に水素イオン1mg以上を含む温泉で、塩酸や硫酸のような遊離鉱酸を構成するものをいう。日本特有の泉質といわれ、一般に高温で、噴火口や噴気孔の付近に湧出することが多い。ほとんどが無色か微黄褐色で、酸味がある。しばしば硫化水素、緑ばん、明ばんなどを含んでいて、酸性硫化水素泉、酸性緑ばん泉、酸性明ばん泉などと呼ばれている。塩酸や硫酸などの成分が含まれているので、殺菌力が強い。湯が肌にしみるのもこの作用によるもので、高齢者や肌の弱い人はただれることもある。その時は真水で流すとよい。ただし、この強い殺菌力が、水虫や皮ふ病、さらには疥癬(かいせん)などに効果がある。草津温泉の時間湯と呼ばれる浴法は、酸性の強い刺激で湯ただれ(皮ふ炎)を起こさせ、強い変調作用を利用して慢性病を治そうとする荒療治であり、頑固な慢性関節リューマチに効く。飲用すると、無酸症の酸を高める作用があり、貧血症に効く。北海道の川湯、青森の酸ケ湯、秋田の玉川、栃木の那須湯本、群馬の草津、神奈川の箱根大湯涌谷などが酸性泉の代表的な温泉。
◎ 放射能泉
俗にラジウム泉というが、日本の多くは放射能の主体はラドンで、水1・中にラドン100億分の30キュリー以上含有しているものをいう。ラドンの溶解度は温度に反比例するので、冷鉱泉に比較的多い。ラジウムには鎮静作用があり、神経痛、リューマチ、自律神経の過敏状態に効く。飲用や吸入すると痛風や糖尿病にもよいとされている。山梨の増富(ますとみ)、新潟の栃尾又、鳥取の三塩(みささ)などが、放射能泉の名湯として知られている。
◎ ラジウム温泉
ラドンとトロンが主体。ラドンは湯をかき混ぜただけでも空気中に逃げてしまうので、温泉から出る気体を吸うだけでも効率がよい。腎臓や自律神経の働きが整えられ、通風、リウマチ、神経痛によいとされる。山梨の増富、兵庫の有馬などが名湯として知られる。
◎ 重炭酸土類泉
炭酸ガス、マグネシウム、カルシウムを多く含む温泉。アレルギー性疾患やじんましんに効果がある。飲むと、胃腸に生じた炎症を鎮め尿の排出を助けるため、尿酸過多による通風や結石、膀胱炎、糖尿病などに効果がある。新潟の赤倉、長崎島原などが知られている。
◎ 打たせ湯
高い位置から温泉の湯を落下させて患部にあてる。湯の圧注力とマッサージ効果が期待される。
◎ 蒸し湯
温泉熱や蒸気を利用して体を蒸す方法。発汗で新陳代謝を盛んにし、血行を良くして患部の回復を図るもの。
◎ かけ湯
患部に直接湯をかけ、温泉熱と微妙な圧注力で疾病をやわらげようとするもの。
◎ 泥湯
泥湯や湯の花が溶け込んだ温泉に入るもの。美肌作用が強く、外国の温泉では盛ん。
◎ 飲泉
温泉を飲む、成分を吸収することから体内の老廃物や毒素を排出させる方法。1日2〜3回、1回に酒盃1杯くらい。
※ご注意:上記内容はあくまでも参考としてご覧ください。詳しくは宿泊施設にお尋ねください。

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