■定評ある富士山の展望台へ
左は禾生駅改札口の野菜と漬け物で1袋100円の安さ。
右は禾生駅のこぢんまりした駅舎
太平洋側の山々では豪雪に悩まされる日本海側と対照的に冬晴れの日が続く。空気が乾燥して遠望がきく日も多く、富士山周辺の低山へ展望を求めて登るのは、この時期の首都圏ならではの楽しみ。適度に雪山気分を味わえるのもいい。というわけで、
富士急行の田野倉駅、禾生(かせい)駅から直接、登れて、行程も手ごろな
九鬼山へ出かけてきた。登りは禾生駅からの愛宕神社コース。駅から山頂まで正味1時間30分ほど。下りは杉山新道で禾生駅へもどるか、札金峠から田野倉駅へ下るかすれば、実働半日行程ののんびりハイクだが、今回は東へ延びる尾根を下り、鈴ヶ音峠(鈴懸峠)へ縦走する計画である。参加者4人とわたしの計5人。できれば高畑山まで行きたいが、気心の知れた人たちばかりなので、無理せず、行程のはかどり具合で臨機応変に行動する予定だ。
天狗岩からの展望。富士山の手前、左手は杓子山と鹿留山
スタートの禾生駅は、女性の駅員さんがひとりで、
都留市が発行したハイキングのパンフレットをくれたり、改札口の前に並ぶ野菜や漬け物も売っていたりで、ほのぼのローカル線ムードが漂う。この駅は、やはり富士山展望の山・高川山の登山口でもある。標高も九鬼山が970m、高川山が976mとよく似ている。高川山に初めて登ったのは、もう30年近く前で、そのころは登山道がなく、地形図から目を付けた禾生側の沢から登り、初狩側の沢を下った。頂上も木が茂って、今のような展望はなく、当然、ほかの登山者に会うこともなかった。以来、10回ほど登っており、昨年、コナラなどの紅葉が残る11月にも行ってきた。最近、親しくさせていただいているバンドSOLのリーダーたくまさんと一緒で、彼のブログ
リーダーのひとりごとに書かれているとおり、しみじみとした山行だった。登る道々で高川山が望まれ、そんなことを思い出しながら歩いていた。
九鬼山山頂で昼食。後ろの山は大菩薩連嶺
気温は0度近いが、風がなく、落葉した雑木林では陽がポカポカして気持ちいい。登るにつれて雪が出てきたが、富士見台直下の急坂は以前の直登コースのかたわらにジグザグ道があり、トレースもそちらについている。直登コースにはウサギの足跡だけがあった。途中、往復10分たらずの天狗岩に寄ったが、ここが九鬼山の富士山展望ポイントベストワンだろう。頂上手前の富士見台は立木で前景の山や里が見えにくいが、ここは露岩上だけに大展望を楽しめる。傾斜が落ちると富士見台のかたわらで頂稜に出て、ひと登りで九鬼山山頂に着く。山頂は富士山側が植林だが、一カ所だけぽっかり窓のように空いて富士山がのぞく。北側は開けて大菩薩や奥秩父から陣馬山などが見渡せる。
左はサルトリイバラの実。右は赤鞍ヶ岳方面の道志山塊
山頂で昼食をとり、富士見台から鈴ヶ音峠への道に入る。ガイドブックにはあまり紹介されていないコースで、道も細くなるが、特に迷う所はなく、時折、指導標もある。尾根を忠実にたどり、小ピークを登り下りしていく。おおむね樹林だが、木立が切れると、右手に赤鞍ヶ岳から菜畑山など道志山塊の山々が谷を隔てて望まれる。山容は地味だが、うっすらと雪をつけた北面は静かで優美な趣があり、心ひかれる。冬至を過ぎて一カ月あまり。まだまだ寒いが、日だまりの陽光は確実に力強くなっている。さすがに花はまだ開いていないが、ふくらみ始めた木の芽もあり、春が近いことを教えてくれ、サルトリイバラ(サンキライ=山帰来)やガマズミの赤い実が彩りを添えていた。行程がはかどれば高畑山まで歩く予定だったが、当日のペースだと下りで暗くなりそうなので、高畑山はまたの楽しみにして、鈴ヶ音峠から下山。途中の朝日小沢からバスもあるが、猿橋駅まで歩くことに。行き交う車はほとんどなく、民家が点在する谷あいの好ましい道をのんびり下ると、登山者というより旅人の気分になる。日が傾いて山里は翳り始め、残照の山がピンクがかって見える。たくまさんのいう懐かしく淋しい感傷にひたった。
左は民家に設けられた郵便局。警察官立寄所でもあり地域の生活の
要にもなっているが民営化でも維持されるのだろう。
右は日没が迫り残照の山肌を見せる百倉山
※都留市ホームページに九鬼山〜鈴ヶ音峠コースの紹介があります。

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