■思いがけず古都で雪山歩き
左はタチカンツバキ、右は寿福寺山門
ATS(アルパイン・ツアー・サービス)のスローハイク・ツアー。集合場所の鎌倉駅西口に集まった参加者は12人、ATSのツアー・リーダーKさんとわたしを加えて計14人のツアーである。前日、1月としては5年ぶりという、首都圏としては思いがけない大雪が降り、朝の鎌倉はまだ銀世界。豪雪で苦しんでいる方たちに申しわけないが、ワクワク気分で歩きはじめた。
雪で変身した源氏山山頂
源氏山には、いくつもコースがあるが、せっかくの雪をたっぷり楽しみ、山道を多く歩けるよう、寿福寺から登り、浄智寺へ下ることにする。スタートが9時前ということもあって寿福寺には人影がなく、静まりかえった参道から本堂、頼朝の妻・政子と三男・実朝の墓に詣でる。寺の裏手から山道に入り、まだ足跡がしるされていない、ふかふかの新雪を踏んで登っていく。童心に帰るひとときである。源氏山山頂は小雪原と化しており、樹間にのぞく天園方面の樹林も雪をかぶって北八ヶ岳あたりのよう。
元旦の鎌倉ハイキングの写真と比較してみてほしい。
左は幹に吹き付けられた雪。前日は風も強かったようだ。
中央上は民家の庭先に芳香を漂わせていたロウバイ、下は源頼朝像。
右は建長寺三門
山頂からひと下りすると、源頼朝の座像が建つ広場に出る。ここからは人の姿も見られるようになった。トレースがついた道を日野俊基墓、葛原岡神社に詣で、山道を下って浄智寺へ。特徴ある山門のかたわらを下って、出合った国道を少し歩けば、鎌倉五山の第一位である建長寺に着く。境内に入り、総門、三門、仏堂、宝塔、日本庭園と拝観、見学して奥へ進んでいく。石段を登りつめ、半僧坊に立つと相模湾が見えて、鎌倉が海辺の古都であることを思い出させてくれる。雪は融けはじめているが、山道はまだ雪に覆われている。おおむね樹林の道だが、ところどころで右側に海、左側に横浜方面が望まれ、春を告げるキブシの花も一輪だけほころんでいた。
上は大平山からの展望。奥に三浦半島の山々が見える。
下左は七草がゆ、右はランドマークタワーなど横浜方面。意外に近く見える
急坂を登り切って大平山山頂に着くと展望が開ける。すぐ下の広場で七草がゆをつくり、賞味するのも今日の目的のひとつである。春の七草はセリ、ナズナ、ハハコグサ(七草ではごぎょう。以下同)、ハコベ(はこべら)、タビラコ(ほとけのざ)、カブ(すずな)、ダイコン(すずしろ)。ナズナ、ハハコグサ、ハコベ、タビラコは、いわゆる雑草なので、現地で道ばたに生えているものを調達のつもりだったが、雑草もほとんど雪の下に隠れていた。なんとかタビラコだけ見つけた。そのほかにヨモギ、ヒメジョオン、ヨメナを摘んで入れ、用意してきたセリ、ダイコンやカブとともに、米から炊いたおかゆに入れ、七草がゆ鎌倉スローハイクバージョンのできあがり。野草の香りが立ち上る熱々のおかゆは好評だった。
天園からの展望。富士山は見えなかったが、
雲間から海に差す陽光が美しかった
茶店がある天園から獅子舞へ下る。小規模ながら、切通しの谷がちょっとした秘境の趣を見せる。永福寺跡手前から市街地を縫い、鎌倉宮を経て鶴岡八幡宮へ。八幡宮の源平池にはオナガガモとともにユリカモメやウミネコが群がっていて、鎌倉が海に面していることをまたもや実感した。八幡宮の石段下で解散。上宮に参拝した後、参加者5人とKさん、わたしは小町通りの「みつは志」に寄り、そばを肴に乾杯して帰宅した。雪が降った翌日、しかも理想的に雪化粧したときにタイミングよく出かけるのは、なかなかむずかしかったりするが、今回は1年前からの計画にもかかわらずジャストタイミングで雪の山と古都の散策を楽しむことができ、参加されたみなさんにも喜んでいただけた。よい一日だった。(おしまい)
左は獅子舞の谷。中央は鶴岡八幡宮の源平池に舞うカモメ。
右上は鶴岡八幡宮上宮、右下は「みつは志」のカレーそば

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