見るもの全て疑わしかった。
偉そうに吠える占い師も、あいつの涙も、この空の青ささえ信じることができなかった。
目を開けばくだらないものばかり飛び込んでくるので、目をつぶることにした。
きっと、シンは疲れてしまったのだ。
人間ごっこを演じることに。
右のポケットからタバコの箱を取り出し、残っていた最後の一本を咥えた。
左のポケットをまさぐってライターを探したが見つからなかった。
尻のポケットにも胸ポケットにも、ライターは見つからなかった。
「・・・」
シンは咥えたタバコを箱に戻すと、左手でそれをクシャッと潰し道端に捨てた。
バイクに跨り、ヘルメットを被った。
午後の太陽は、盛りの猫のような勢いで照らしつけている。
シンはそれから逃げるようにエンジンを蒸かすと、海へ向かってバイクを走らせた。

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