春風が運んだ桜花の果て 前編1
あんなに厚く積もっていた雪たちも、何事も無かったように土へ還った。
背に暖かい陽射しを感じながら、父・柳の言いつけ道理に
華をつれて丘の先にある森へ足をすすめる。
木々が若葉を広げ、その間からこぼれんばかりの光が足元へおちてくる。
肩や、顔、手、いたるところへ落ちてきて、春が声をかけてくるようだ。
その中を、二人が駆け巡っていた。
「華、すまない。すっかり付きあわせてしまって。」
本当に、申し訳ない、そう心から古都は思っていた。
こうして、父の言いつけ道理この森の先に”人生の相手”としてある場所に報告へ向かう事。
それは、彼女を巻き込み続けている事実。
華が望んで、共犯になってくれたといっても
危機感に張り詰めて共に永久楼と闘い続けることはかなりの精神的負担だ。
「いいえ、形といっても婚姻を約束したのは事実ですから。ご報告は礼儀、気になさらずに。」
彼女は、そういうと凛とした決意を目に秘めて訴えかけた。
「そうだな、母さんに会うのも久しい。伝えておきたいこともあるしな。」
ふいっと、また視線を森の先道へもそして古都はぶっきらぼうに表情を見せまいと答える。
古都のその背中をみて、華は微笑まずにいられなかった。
そういう、不器用な優しさがやはり波久と似ている。
「いいわすれていたが、母へ参りに行くのは波久の望みだ。」
古都は、足を休めることなく話し続ける。
「いいか、父さんが波久をつれてどんな形であらわれても他言はもちろん、
平常心を保ってくれ。いいな。」
どうやって、波久を連れ出すことまで父は語らなかった。
外部に漏れることを、気にしての配慮だろう。
だからこそ、どういう手段で目の前に現われようと、乱すことなどしてはならない。
「・・・・波久様がおいでになられるのですね。
昨日お会いしたときは何もおっしゃっておりませんでしたが。」
波久が外へ出る、そのことは異例以外何ものでもない。
華は、驚きをかくせずに言葉の余韻に動揺が感じられた。
「ああ、秘密裏に父さんが運んだことだ。来るとしか聞いていない。」
古都は、自然と上ずってゆく声を抑えられずにいた。
・・・・・・・・・アイタイ。
カノジョにアイタイ・・・・。
待ち続けた時間は、彼と彼女の間を流れながらも心のうちに溜まり続けた。
古都の足は、押さえきれずに速まってゆく。
日和の眠る場所へむかって・・・・・。
春風が運んだ桜花の果て 前編1 終
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゚・*:一言゚・*:
今回、topのイラストが豪華になっております!!
Ariel Sky・水月誠二さんのご協力により実現いたしました!
波久と古都を彼らの神秘的な透明感をだして、
あの丘の景色を取り込んで描いてくれたことをとても感謝してます。
あれこれと、我侭な注文をしたのにこんなにステキに描いてくれて
小説やってってよかったな、という気持ちでいっぱいです。
Ariel Sky様
ありがとうございましたw
又機会がありましたら、よろしくお願いいたしますw