2013/11/24

Ring-Bongリーディング「闇のうつつに 我か我かは」in KEN  館外展・関連企画

午後4時から、三軒茶屋のKENにて、演劇集団Ring-Bongのリーディング公演「闇のうつつに 我か我かは」が行われました。

この作品は、Ring-Bongを主宰する文学座女優・劇作家の山谷典子さんがラジオドラマのために執筆した朗読劇です。
丸木美術館のロケーションや原爆の図第12部《とうろう流し》をモデルにしつつ、原爆を東京大空襲に置き換え、登場人物もすべて架空の人物として、丸木夫妻の作品とはまったく別の物語に仕上げています。
もともとジャーナリスト志望だったという山谷さんは、台本執筆の前に綿密な資料調査をすることでも定評があり、今回は私も池袋モンパルナスや戦争画に関する資料をいくつか彼女にお貸ししていました。

出演は《とうろう流し》を描いた女流画家・恩田さき役を演じた山谷さんをはじめ、小笠原良知さん(美術館を訪れる謎の老人役)、辻輝猛さん(美術館の学芸員役)、福田絵里さん(美術館のボランティア役)の4名。演出は丸木美術館の近くにご実家があり、以前からたびたび丸木美術館を訪れていたという小笠原響さんが手がけてくださいました。

戦争の時代と現代を行きつ戻りつしながら、《とうろう流し》の絵の謎を解き、それぞれの登場人物の抱えている悩みや葛藤を重ね合わせていく濃密な50分間。
リーディング公演終了後の会場からは、「朗読劇で涙を流すとは思わなかった」「一度きりの公演ではもったいないから、ぜひ再演をやって欲しい」という声も聞こえてきました。

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休憩をはさんで第2部では、私が聞き手をつとめながら、山谷さんをはじめ出演者の皆さまとのアフタートークを行いました。
トークのはじめには、これまでにRing-Bongが行ってきた公演―2010年の『櫻の木の上 櫻の木の下』、2011年の『名も知らぬ遠き島より』、2012年の『あとに先立つうたかたの』という3本の作品のダイジェスト映像も紹介しました。

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いずれも山谷さんが執筆を手がけた作品で、いずれも過去(戦時中または戦後すぐ)と現在を行き来するという共通点があります。

「私の中で、ひとつの問題を考えるときに、そのことだけ考えても答えが見つからないという思いがあるんですね。社会という大きな問題を考える上では親子や家族から見ていった方が答えが見つかるのではないか。現代は過去から照射したらどうなるのか。逆のものを眺めたいっていう思いがありますね」と語る山谷さん。

そうした思いが、困難なテーマに向き合いながら、人間の普遍性に迫る瑞々しい感覚の作品につながっていくのだということを、あらためて考えさせられました。

ご来場くださった皆さまをはじめ、会場提供・運営にご協力くださったKENのスタッフには、本当に御礼を申し上げます。
そして、最後に会場から感動的な挨拶をしてくれた、劇中人物のモデルにもなった丸木美術館ボランティア/文学座演出助手の神田成美さんにも、心から拍手を送ります。彼女が山谷さんを引き合わせてくれたことで、今回の素晴らしい作品が生まれてきました。
きっと彼女にとっては、深く思い出に残る作品になったのではないかと思います。

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次回のRing-Bong公演『しろたへの春 契りきな』は2014年1月18日から26日まで、小竹向原のサイスタジオコモネAスタジオにて。
ソウルにある西大門刑務所の受刑者の記録写真を撮影する写真技師の家族を主人公に、1940年代の日本統治下の京城、1970年代のソウル、現代の東京を舞台にした物語です。
日本と韓国のあいだに困難な問題が横たわる今の時代だからこそ、ともに考え続けていきたい、見逃せない内容の作品になるのではないかと期待しています。
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