「てるてる亭こけらおとし公演・立川志の輔独演会」に行ってきた。
かつて「109」だったビルで(渋谷のあれが富山にもあったのだ)、いつの間につぶれたのか知らないが、現在の(昔から?)所有者である北陸銀行が映画館だった部分を改装して演芸場に仕立て、富山出身の落語家・立川志の輔の協力を得て「
てるてる亭」がオープンしたのである。
志の輔師匠によれば「北陸銀行は口座だけでなく高座も作る」。
先に入れ物が出来て後からあわてて中身を作っている状態なので、今日のチケットも、5月29日に案内ハガキが来て、6月9日にチケットが届いて、10日までに(!)北陸銀行の口座に振り込めという慌しさ。
2日前に高山で独演会があり、今日のスケジュールが空いていたのでこの日にこけら落としを持ってきたというのが実態だと思われる。
それはともかく、年末のPARCO富山公演がなくなって志の輔落語に接する機会が少なくなっていたので、聴くチャンスが増えるのは嬉しい。
私としては去年の9月に小杉ラポールで「ちりとてちん」と「ねずみ」を聴いて以来だ。
開口一番は3番弟子・立川志の春の「たらちね」
続いて、志の輔。
一席目は、初めて聴く相撲の噺で「阿武松」というタイトルなのかなと思って帰宅後に調べたらそうだった。
「阿武松」は相撲好きなら普通に読めるが「おうのまつ」と読む。
噺に登場する「錣山(しころやま)」や「武隈」などと同様、年寄名跡になっていて、現在の阿武松親方は「益荒雄」、錣山親方は「寺尾」、武隈親方は「黒姫山」である。
数年前に『
雷電本紀』(飯島和一)を読んで江戸時代の相撲に興味を持ち、昔ベースボールマガジン社が発売して大失敗だった(と思われる)相撲錦絵カードが欲しい私なので(どこかにコンプリートセットが売ってないかな?)、当時の香りが漂う噺は楽しめた。
ところで、益荒雄や寺尾が現役の頃の相撲雑誌で、この2人の仲間として紹介されていたのが琴ヶ梅。
名力士を輩出してきた富山県出身者(太刀山とか梅ヶ谷とか)としては(今のところ)最後の大物力士であるが、頭が悪いとの評判通り(?)年寄名跡を入手できず、借り株の手配の策も尽きたらしい今はどうしているのかと思っていたら、本名の「北山聡」として錣山部屋の師範代になっているそうだ。
粋ですな、寺尾は。
10分間の中入りがあって、舞台に座布団とマイクが2人分並べられ、何が始まるのかと思ったら三味線だった。
松永鉄九郎さんという長唄の師匠と、若い頃の中川昭一みたいな顔の
塚原勝利さん。
知らない世界を感じるのはいいもんだ。
志の輔二席目は「お菊の皿」。
珍しく(?)落ちが重要な噺だ。
16時20分頃に終了。
てるてる亭のチケットはネット販売が主力で、県外からの来客を見込んでいるので、ここでは富山弁を使わないそうだ。
「県外からのお客様がせっかく富山まで来たがになんゆーとんがかさっぱりわからんだということになったら気の毒やからここでは富山弁を使わんとこー思とるがいちゃ」と強い決意で語っておられたので、県外の落語ファンの方にも、多分東京の独演会よりもチケットが取りやすいてるてる亭へお越しいただきたいと思う。