2017/5/11

もう一つの日本文化(「文部科学省に関する問合せについて・第2弾」)  
 本日(5/11)、木村さん・私(連名)の国への問合せ・第2弾が文部科学省に到着した(日本郵便からの配達完了メール通知があった)。提出に至った経緯は次のとおりである。

 ここ数回、このブログで開催記録(講演録)を紹介しているが、木村二三夫さんと平取町議会議員の井澤敏郎さんお二人が共同代表である[平取「アイヌ遺骨」を考える会]の学習会【先人たちの遺骨をふるさとの地・平取へ】が3月18日、平取町で開催された。

 その中の植木哲也さん(苫小牧駒澤大学教授)のお話に、次の部分がある。

 『…いずれにせよ、遺骨について研究するには、正しい研究がされなければならないのですが、現在、「正しい研究」はどのようにしなければいけないのか。もしも遺骨を研究利用するならば、当然、最新の研究倫理に従わなければなりません。

 遺骨もDNAも人の体から採取された研究用試料です。これらのことを「人体由来試料」と呼ぶわけですが、現在は、人体由来試料を研究に使う場合、必ず本人の承諾を得なければならない、というルールが設けられています。いわゆるインフォームド・コンセント(十分な説明を尽くした上で同意を得ること)ですね。

 本人が死亡している場合は代りになれる人(代諾者)の承諾をきちんと得ることが条件です。その文書記録が残っていなければなりません。これが現在のルールです。こうしたことが、文部科学省と厚生労働省が2014年に出した「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に書かれています。

 したがって、(アイヌ)遺骨の研究をするとしても、当然この指針に従わなければいけない。問題は、だれが(すでに死亡している)本人に代わって承諾するのか、という点です。…』

 勉強会からかなりの日数が過ぎた頃、木村さん他との打合せの際、この部分が話題になった。ああでないか、こうでないかという解釈・推測はできるが、実際のところはよくわからない。

 木村さんが言った「作った人に聞いてみるべ!」で結論は出た。「作った人=文部科学省」へ質問状を出すこととなった。
 質問項目の検討では、当該倫理指針以外にも若干広がったが、最終的な項目は木村さんが仕切った。

 問合せ文書は次のとおり。前回同様、文部科学省の誠意ある回答を期待したい。

<文書1>

                                           平成29年5月9日


 文部科学省大臣 松 野 博 一 様
 
                     北海道沙流郡平取町●●●●●●●●●●●
                       木 村 二 三 夫
                     北海道札幌市中央区●●●●●●●●●●●
                       ● 馬 ● 晶
 
     人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年文部科学省・厚生労働省
     告示第3号)他に関する問合せについて

 平素より科学技術・学術研究の振興等行政に誠意取組まれていることに感謝申し上げます。
 昨年12月27日に問合せしました案件では丁寧かつ誠意あるご回答(平成29年2月22日付け28受振学機第3号)をいただきありがとうございました。
 さて、政府(内閣官房)からの正式発表は未だ無い様ですが、3月末から4月上旬にかけて複数の新聞で「政府のアイヌ遺骨返還方針の見直し」が報じられるなど、アイヌ遺骨をめぐり様々な動きが出てきております。
 先の問合せの際も申し上げましたが、私、木村二三夫は、北海道平取町に住むアイヌであり、先祖は100年前の1916年、当時の新冠御料牧場内にあった「姉去(アネサル)コタン」(日高管内新冠町)から50kmほど離れた上貫気別(カミヌキベツ)(日高管内平取町)への強制移住を強いられました。
 更に、その地で埋葬されたアイヌは、北大による違法な発掘により遺骨6体が収奪されたまま現在に至っております。
 新聞報道によれば、貴省調査で全国の大学で保管しているアイヌ遺骨は1676体との事でありますが、今後も研究に用される可能性があることに、私は仲間のアイヌとともに心を痛めております。
 また、国内外の博物館等保管を含めるとさらに多数のアイヌ遺骨が人としての尊厳が失われた状態にあると言われておりますが、私は理解ある日本人達の協力を得ながら、「アイヌ遺骨を人として再埋葬する事が、先人達へのせめてもの供養、償いである」と考えております。
 ふとした事から、貴省が作成した標記指針を知りました。その前文では、人間の尊厳及び人権が守られなければならないことが記されており、私はとても共感を憶えました。
 ついては、貴重HPに掲載されている標記指針等の実施時の取扱いについて確認いたしたく、よろしくお取り計らい願います。

                      記
1 質問
(1) 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針について
 研究者等がアイヌ遺骨を用いた医学系研究を実施するときは、この指針に基づいたインフォームド・コンセントを受けなければならないと考えますが、この考えの適否。また、否の場合はその理由をお伺いします。

(2) (1)の研究を実施しようとするときにインフォームド・コンセントを与えることができる代諾者等は、当該遺骨が発掘されたコタンの子孫と考えますが、この考えの適否。また、否の場合は誰が代諾者等になるべきか、その考えをお伺いします。

(3) 指針第5章ー第12ー1ー(2)ーアについて
 自らの研究機関において保有している人体から取得された試料が、その保有の過程において、例えば入手方法等に違法の可能性があるとき、また、入手時記録が不完全でその保有(入手)過程における合法性が担保できないもの等は、この規定の対象外になると考えますが、この考えの適否。また、否の場合はその理由をお伺いします。

(4) 「人を対象とする医学系研究に関する指針」は、医学系研究における遵守事項を定めたものであり、その前文で、人を対象とする医学系研究は、様々な倫理的、法的又は社会的問題を招く可能性があること、また、人間の尊厳及び人権が守られなければならないことが記述されていますが、これらは医学系研究に限らず、人を対象とする全ての研究分野(貴省所管分野の研究分野に限る。)にも該当するものと考えますが、この考えの適否。また、否の場合はその理由をお伺いします。

(5) 人を対象とする医学系研究以外の研究分野(貴省所管分野の研究分野に限る。)における「人体から取得された試料」に係る取扱指針が策定されていない現時点において、当該研究を実施するに当たってのインフォームド・コンセントの実施は、「人を対象とする医学系研究に関する指針」に規定する手続きを準用すべきと考えますが、この考えの適否。また、否の場合はその理由をお伺いします。

(6) 個体特定(遺骨の一体化)に係る基本的な考え方(平成29年3月23日 大学が保管するアイヌ遺骨の返還に向けた手続き等に関する検討会)について
 先の問合せに対する貴省からの回答(平成29年2月22日付け28受振学機第3号)では、「…文部科学省で検討を行っているのは、現在大学が保管しているご遺骨について、尊厳ある慰霊の実現を希求する観点から、一体として特定されていないアイヌ遺骨の特定にDNA鑑定技術を活用する場合であり、…一体として特定する作業へのDNA鑑定技術の活用は、ご遺骨の尊厳の回復を希求することが大前提であることから、アイヌの方々の心情を考慮することが重要であり、一体として特定する作業を行うに際しては、記録による確認等できうる限り遺骨を損なわない方法での作業を行った上で、それでも難しいものについて必要最低限の範囲においてDNA鑑定技術を用いるかどうかを含めて検討することを考えています。また、用いるかどうか検討する際には、あらかじめアイヌの方々に対し、十分に説明し、その理解を得ることが必要だと考えています。」とされていますが、当該【基本的な考え方】においては、ご回答いただいた趣旨が一言も記述されておりません。これについて、その理由をお伺いします。
 また、当該【基本的な考え方】の公表後、先述のとおり複数の新聞で「政府のアイヌ遺骨返還方針の見直し」が報じられております。【政府のアイヌ遺骨返還方針の見直し】が決定した場合には、当該【基本的な考え方】も改正する必要があると考えますが、この考えの適否。また、否の場合はその理由をお伺いします。
 加えて、その改正の際は、平成29年2月22日付け28受振学機第3号の内容が盛り込まれるものと考えますが、この考えの適否。また、否の場合はその理由をお伺いします。
 なお、当該【個体特定(遺骨の一体化)】は、尊厳ある慰霊の実現を希求する観点から、DNA鑑定技術を活用するものとされております。このことからは、その鑑定結果情報(データ)の目的外使用はないものと考えますが、この考えの適否。また、否の場合はその理由をお伺いします。

(7) 研究者が一般的に人類史等の解明のために研究を行う際にアイヌ遺骨を用いたDNA分析技術を利用することについて、貴省管轄の団体である「日本人類学会」及び「日本考古学協会」他がその研究の在り方検討を進めておりますが、貴省は監督官庁として、今後、どのような指導(関与)を行っていくお考えかお伺いします。

2 提出期限
  平成29年6月15日(木)必着
  *貴省の当該事務の標準処理期間は承知しておりませんが、おおよそ1ヶ月と推定いたしました。
  *質問項目が多岐にわたっております。一部項目の回答が提出期限を超える場合は、提出期限までに提出される回答文書に、遅延する項目、項目毎の遅延の理由及び提出予定期日を付してご提出ください。

3 提出先
  北海道札幌市中央区●●●●●●●●●●●
  ● 馬 ● 晶

4 参考
(1)人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年文部科学省・厚生労働省告示
   第3号)のアドレス
   http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/0000153339.pdf
(2)個体特定(遺骨の一体化)に係る基本的な考え方のアドレス
   http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shinkou/043/gaiyou/1383614.htm

                                                以上


<文書2>

                                            平成29年5月9日


文部科学省 大臣官房総務課広報室庶務・企画係 ご担当者 様


                     北海道沙流郡平取町●●●●●●●●●●●
                       木 村 二 三 夫
                     北海道札幌市中央区●●●●●●●●●●●
                       ● 馬 ● 晶


   文部科学省に関する問合せについて

 平素より科学技術・学術研究の振興等行政の広報・普及促進に誠意取組まれていることに敬意を表しますとともに、昨年12月27日の問合せ案件では、丁寧かつ誠意あるご回答をいただきありがとうございました。
 先の問合せの際も申し上げましたが、私、木村ニ三夫は、北海道平取町に住むアイヌであり、インターネット環境にないため、今回の問合せについても前回同様、紙ベース(文書)によるものになる事をご容赦願います。
 さて、新聞報道によれば、貴省調査で全国の大学で保管しているアイヌ遺骨は1676体との事でありますが、今後も研究に用される可能性があることに、私は仲間のアイヌとともに心を痛めております。
 また、国内外の博物館等保管を含めるとさらに多数のアイヌ遺骨が人としての尊厳が失われた状態にあると言われておりますが、私は理解ある日本人達の協力を得ながら、「アイヌ遺骨を人として再埋葬する事が、先人達へのせめてもの供養、償いである」と考えております。
 ふとした事から、貴省が作成した「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を知りました。その前文では、人間の尊厳及び人権が守られなければならないことが記されており、私はとても共感を憶えました。
 ついては、別紙のとおり「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号)他に関する問合せについて」文書を送付いたしますので、管轄部署への回付についてよろしくお願いします。
 *なお、質問事項が多岐に渡り、管轄部署が不明だったため、大臣宛てといたしましたが、他意はございません。
                                                  以上
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