2016/11/9

もう一つの日本文化(「アイヌ人骨の取扱いー第2弾ほか」)    文化・芸術
 昨年夏以降、木村ニ三夫さんとは様々な交流を行っているが、楽しいことも多い。

 先月でいうと、浦川太八さんのサケ漁(北海道知事許可によるサケ・マス特別採捕)の手伝いに行ってきた。

 漁に使う漁具の運搬だ。その日は、前日までの大雨に加え、満潮の時間が重なって川の水量が多く、水深があって、胴長(胸まである長靴)では向う岸まで渡れない。それでチプ(Cip、アイヌくり貫き舟)を使うことになったのだが、任されたのは木村氏と私の2人。

 このチプは浦川太八さんの指導の下、当初、浦川さんの甥、急逝した浦川修さんが手がけ、その後地元のアイヌ男性が仕上げたものだが、簡単に言えば丸太をくり貫いただけのものであり、ひどく安定性が悪い。

 いわばサーフィンボードに立つくらいの難しさでバランスを取る必要があり、初めて扱う者が使いこなすのは不可能に近い。が、木村さんと私の2人は挑戦した(やらされた)。

 私はチプ自体初の体験だ。木村氏はアイヌの風貌そのもの偉丈夫だが、やはり、チプは初体験に近い。案の定、2メートルも行かないうちに転覆した。2人とも全身ずぶ濡れだ。

 だが、再度、挑戦。今度も3メートル程で転覆だ。
 ・・・と、いうことで、その日はサケ漁断念ということいだったが、楽しい体験だった。

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 さて、今月初め、木村さんから電話が入った。
 アイヌ遺骨問題について、先月のFMピパウシの放送だけでは言い足りない。もう一回やる。ブログ掲載も頼むとのこと。

 私の都合で少々遅くなったが、次のとおり、木村さんの言葉と次回のFMピパウシ草稿を掲載する。

 私はリスナーの皆様、そして日本中、世界中の人の耳に届くようにもう一度声を大にして叫びたい。この様な愚か者達が国民の税金でのうのうと生きている事を。

 『FMピパウシのリスナーの皆さん、イランカラプテ。木村ニ三夫の言いたい放題の時間です。

 皆さんも新聞テレビ等でご存知のように、先日沖縄に派遣された大阪府警・機動隊の若い隊員からこんな発言が飛び出した。土人とかシナ人とか言う罵声である。

 今の時代このような馬鹿者達がいるのか、しかも警察官に、信じられない!
 どうして、こんな言葉が出てくるのだろう。なにを意味して、どこからの知識なのか。親の背中を見て育ったのか。それとも大阪府警の教育なのか。

 なんとも恥ずかしい。沖縄県民の苦悩の現実を我が身に置き換えてみたら、こんな暴言を吐けるはずもないが。

 他にも非人間的な「醜い者達」がいる。先日、北大から平取アイヌ協会・三役に対して遺骨問題の説明があると、平取を訪れた。最初から、白老への週骨ありきの、面倒な手続きの説明に終始した。盗掘した側が条件を付けるとは!これでは逆さまではないのかと、耳を疑った。

 これを聞き、頭に血が上った俺は、10月の言いたい放題でも述べたように大学側に「盗んだ物は元へ、自らの手で再埋葬する事が、先人達へのせめてもの供養、償いではないのか、盗掘に対する一言の謝罪もないのか」と散々悪態をついたが、北大側はなにも反論も言い訳も無しに帰ってしまった。

 あの者達は、説明したことのアリバイ作りに来ただけの様だ。

 そもそも、どこから持ち出されたか判明している遺骨を元の場所に環さず、国にとって都合の良い白老に集約するというのは、明治政府が川沿いに点々と住んでいたアイヌを国にとって都合の良い場所に移住させた「強制移住」と同じではないのか?

 アイヌは死んでからも強制移住させられるのか?「ふざけるな!」と俺は言いたい。

 静内からも大量の遺骨が持ち去られた様だが、それも警察官の護衛の下、教育委員会の者達が手先となり、集骨の手伝いをしたり、読むに耐えないことも植木さんの著書の中に。

 こんな歴史の事実があるのに、国、大学側は「いったい」。アイヌはモルモットではないのだ。

 遺骨問題に関わっている者達よ。「人である人」であってほしい。こんな理不尽がまかり通る日本国であってはならない。賢明な皆さんの声と力を貸してほしい。

 木村ニ三夫の言いたい放題でした。』

 木村さんの怒りに共感するかどうかは、人それぞれの意見があって良いと思う。だが、その前に、このアイヌ遺骨に関する歴史事実を知ってほしい。その上での人それぞれの意見は尊重すべきだと思う。

 さて、今回も、エッセイ「カムイ達 16 秋の終わり」をご紹介する。

 初霜が降り、西日を受けるヌプリ(森)が一段とまぶしい。色とりどりの美しさを、楽しませてくれる仕事帰りの一時の安らぎに、身も心も癒され、疲れもフッ飛ぶ。

 特にモミジの赤が群を抜き妖艶な美しさが見る者を虜にする。しかしこの美しさも、昨夜の雨から雪に変わり、そろそろピークを過ぎようとしている。木の葉が秋の終わりを告げるかの様に、一枚一枚レラ(風)に舞い落ちる様子が何とも寂しい。

 ウパシキリリ(雪虫)が消え、天気予報も雪だるまのマークが出る。そんな季節がやって来た。しかし、ヌプリのカムイ達は皆元気だ。今朝もチカップ(鳥)、チカッポウタラ(小鳥達)が楽しくカワイイ歌声で、イランカラプテ(ようこそ私達の森へ)と言っているかの様に迎えてくれた。俺もエイワンケヤー(元気だったか)と答えたくなる。そんな爽やかな朝だ。

 さて、今ヌプリで一番燃えているカムイがいた。それはユク(オス鹿)達であろう。メス鹿の発情が最終局面を迎えているのか?声を「枯らし」大声でメス鹿に最後の願いをアピールしている「オス鹿」達、人間社会のどこかの選挙区と似ている。頑張れ、ピリカオッカイボ(いい男)!

 そんな思いで仕事の持ち場へ向かう途中、いい物を見ることが。昨夜の雨で湿きった土の上を32センチ位の生々しいキムンカムイの通った足跡が道路を横切っていた。250キロ以上はありそうなオスのカムイだ。これだけ大きくなるには相当用心深く警戒心が強いのだろう。

 しかし「なぜ」この食べ物のない針葉樹(とど松林)の中にいるのか、広葉樹林へ向かう途中なのか?それともユク(鹿)を追っているのか。他のキムンカムイ達はどうしているだろうか。昨日の現場ではドングリが沢山落ちているのが確認できたので一安心。キムンカムイも「頑張れ」。

 「今回は」ユク(鹿)、カムイチェプ(鮭)を紹介しよう。「ユク、カムイチェプ」は、アイヌにとって大事な食料だった。ユクは、発情期以外はメス、オス、別々の群を成し行動をとる。今北海道での生息数は何十万頭とも言われている。昔のアイヌ達はユクを無駄なく利用、いただいていたようだ。

 内蔵はチロンヌップ(きつね)、パシュクル(からす)達、カムイに分け与え、肉は保存食、川はチセ(家)の中の敷物、骨は家庭用具、釣り針等に、余す事なくカムイに感謝し利用していたと聞く。しかし、今はどうだろう。食害獣として鹿柵を張り巡らし行き場の無くなったユク達を性能の良いライフルで撃ちまくり、そして足ワナを仕掛ける。

 この足ワナ程残酷なものがあるだろうか。痛みと恐怖に怯え何時間、時には何日もハンターが来て撃たれるのを待つのである。また、中にはハンターに見つけられず、痛みと恐怖に暴れ回り絶命している鹿の骨を何度か見たことがあるが、なんとも残酷ではないか。

 ここまで鹿が増えた要因の一つにはホロケウカムイ(えぞオオカミ)の絶滅、食物連鎖の頂点に立つキムンカムイ(ヒ熊)の激減があるのではないか。これも皆人間が自分達の欲望の為に自然のバランスを崩した事が原因である事を忘れてはいけない。

 「カムイチェプ」は、産卵後孵化し、川を下り海へ、そして4年後生まれた川へ戻ってくる。
 あの広い海、太平洋、日本海、世界の海を回遊して生まれた川に戻って来るというのだからなんとも凄い。8月後半、アシリチェプ(走り、先発隊)が河口付近で淡水に体を慣らす為に海、川を何度も往復して淡水に慣れた頃、一気に上流に向かって遡上して来る。

 先発隊は、メス鮭の産卵に適した小ジャリの多い場所をもチェックしているのか。メス達は一斉にその場所へ向かう。メスが先頭に立ち、オスが5〜6匹後に続く、適する場所に到着後、直ぐに産卵の為のホリを掘り始める。

 その間、オス鮭達のバトルが始まる。当然のことだが、強い者だけが、大きく強い子孫を残す為にメス鮭とペアーを組み、営みを。その後一週間程で役目を終え、疲れ果てた体を浅瀬で腹を見せ、川の流れに身を任せる。

 それをまた、カムイ達が食す。シバレル冬を越すための大事な食料なのだ。これもまた自然の摂理。=楽園のようなアイヌモシリ、「アイヌの国」だったこの地で、いにしえ人アイヌ達が見慣れたシーンだったろう。俺も一度でいいから外(そと)人が入ってこなかった、この時代にタイムスリップして見たい。「一度でいいから」。カムイ達よ頑張ってくれ。

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2017/1/6  17:58

投稿者:北欧研究家
本日、初めて拝見しました。大変掘り下げた内容となっており関心しました。世界的に少数民族は、軍事・経済等の力学により、どこかの大陸の国のように情報発信すらできない場合もありますが、本ブログのように文化の多様性に視点を据え支援しつつ鋭い考察を行うことは、今後の日本の発展にとっても、国際的に非常に重要であると思いました。

2016/11/10  23:36

投稿者:t260arima
APWI 様

今回の記事の主役/木村二三夫さんは『日本中、世界中の人の耳に届くようにもう一度声を大にして叫びたい。』と言っています。
喜んで、転載を了承いたします。

http://fine.ap.teacup.com/makiri

2016/11/10  1:30

投稿者:APWI
こんばんは。

部分的に転載させて戴きますことをご許可願います。


http://don-xuixote.hatenablog.com/entry/2016/11/10/012500

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