2017/8/17

もう一つの日本文化(大英博物館から貝澤徹さんへの制作依頼、ほか)  文化・芸術
 8月10日、北海道新聞(夕刊)に【新作アイヌ木彫り、大英博物館へ 平取の貝沢さん制作 来年にも展示へ】の記事が出た。

 『独創的なアイヌアート制作で知られる日高管内平取町二風谷の工芸作家貝沢徹さん(58)が、英国の大英博物館に新作の木彫り装飾を出品することになった。・・・』(記事抜粋)

 大英博物館には、1933年から二風谷に住み医療活動を行い当地に没したニール・ゴードン・マンロー博士(医師、考古学者、人類学者)が1907年頃、二風谷など平取で収集しイギリス(スコットランド)へ送付した工芸品が収蔵されている。

 浦川太八さんが2008年に制作した写し(複製品)があるのでご紹介する。
 本歌(オリジナル)は見ていないが、すばらしい出来映えだ。

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 同博物館に現代アイヌの作品はない。今回、徹さんが制作する工芸品も負けず劣らずの素晴しい作品になるだろう。
 徹さんの作品は、来年10月の同博物館のリニューアルに合わせて展示されるという。大変楽しみだ。

 今回の話は、8月1日、前回(8/6)のブログで紹介したアメリカ人と共に徹さんを訪問した際、お聞きしていた。
 
 *このアメリカ人と共にアイヌ訪問を行ったが、彼はアイヌ及び先住民族に関する教養(知識)をかなり有している。聞けば、大学や州の仕事をしていたとのこと。

 徹さんが納める作品は、コタン・コロ・カムイ(フクロウ)が卵からふ化する場面であり、[identity]の立体版ともいえるものだ。先日の訪問では、ミニチュア版の制作中作品を見せてもらった。

 さて、今回決定した同博物館からの制作依頼だが、2年ほど前に打診があった事も当時お聞きしていた。

 徹さんの作品は、その数年前から、海外数カ所の博物館・美術館で展示等されており、特に、2013.05.17-09.02、カナダ国立美術館で開催された作品[identity]は高い評価を得ていた。
 *2013/8/29のブログ参照

 私は、2009年から、Flickrというアメリカの写真投稿サイトで浦川太八さんや徹さんなどの作品を紹介してきた。

 理由は、@英語サイトでないと、英語での検索で引っかからない、A一眼レフで撮影した画素数の多い画像でないと、作品の細部の完成度の高さが確認できないからだ。アイヌ文化を世界に発信するには、英語での発信は不可欠だ。

 参考までお二人の作品サイトを紹介する。
 <浦川さんサイト>
 https://www.flickr.com/photos/pirika-makiri/albums/72157622974401479
 <徹さんサイト>
 https://www.flickr.com/photos/pirika-makiri/albums/72157623099642792

 もし、徹さんの海外展示等に私のFlickrサイトが役立ったのであれば光栄な事だ。
 ともあれ、今回の徹さんの名誉は私にとってもおおきな喜びだ。

 さて、話は少し変わる。
 こうして、私の友人・徹さんの作品が大英博物館に展示されることになったわけだが、実は、実は我家では、妻の知人の作品が大英博物館に展示されている。

 私の妻は37年間、月2回、書を学んでいる。その師の作品が展示されている。
 その名は【小川東洲】氏、北海道深川市出身の書家だ。1982年、ボストン美術学校の教授と、ハーバード大学の客員教授を務めた。雅子妃殿下は教え子の一人である。

 *妻によれば、東洲氏は他にもオランダ・ライデン大学講師などを務めている。東洲氏が日本不在時は、高弟が指導したとの事。

 妃殿下との縁もあってか、1989年の昭和天皇崩御の際は、【天皇崩御】と【昭和天皇大葬】の題字を書いた。

 東洲氏の大英博物館への展示(4作品)は1991年。
 大英博物館においての東洲氏の書への評価は高かったらしく、1998年、大英博物館主催する初の書展【小川東洲 書の芸術展】が4ヶ月間、開催された。

 ということで、夫婦ともに知人の作品が大英博物館にあるので、今度、見に行かなければと話している。お金を貯めて見に行きたいと思う。

 さて、最後になるが、前回、今回のブログに登場しているアメリカ人が、本日、北海道を離れ東京へ向かった。昨日、お礼のメールが来ていたので紹介する。

 『Re: Konnichiw
 ○馬さん
 こんにちは。明日東京に行きます。

 私の日本語はわかりづらかったと思いますが、色々な場所に連れて行ってくれて、アイヌの人達を紹介してくれて、お陰で様々な体験ができました。

 ○馬さんには本当に感謝しています。それから、奥様に本当の茶室でお茶を入れて頂きありがとうございました。素晴らしかったです。

 そして、うらかわさん、かいざわさん、きむらさんの温かいおもてなしもとても嬉しかったです。

 ところで、先週行った居酒屋はアイヌ飾りのディスプレーや料理があり、面白かったのでご紹介します。
 料理も全て北海道産で美味しかったので今度ぜひ行ってみて下さい。
 https://kitagunino.owst.jp/

 それからYoutube で二つのアイヌプロジェクトのビデオを見つけました。あまり高画質ではありませんでしたが面白いです。
 https://www.youtube.com/watch?v=8UBJek1JVC4
 https://www.youtube.com/watch?v=aYm3N9sT-bA

 それではまたいつか会えるのを楽しみにしています。
 ○○○○○○○○に来る時には連絡して下さい。

 ○○○○』

 彼のSNSも紹介する。
 Makiri - An Ainu knife. Was able to check out a friends magnificent Ainu crafts collection in Sapporo.

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2017/8/6

もう一つの日本文化(アイヌ遺骨返還へ向けた国際メッセージ、ほか)  文化・芸術
 Nibutani
 The other day I visited Fumio Kimura in Nibutani. Mr Kimura is Ainu (aborigine people from northern, mostly Hokkaido, Japan). He is fighting for the return of ancestral bones to the Ainu people from the Japanese government. Japan continues to keep over 1600 Ainu bones for research purposes. Other Ainu bones were also taken to Australia, Europe and the US. Germany recently returned a skull stolen from an Ainu cemetery. He wanted me to share his message.

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 前回のブログ(2017/7/23)では、木村さんと私が文部科学省へ出した質問状・第2弾の回答について、文面こそ丁寧であるが、内容的にはゼロ回答であることを示した。

 また、『木村さんは、この回答文書によって、【アイヌ遺骨の「あるべき姿」を求める活動】を強める決意をしたように見える。』と書いたが、事実、木村さんは怒りまくっており、既に幾つかの強化行動を開始した。

 その一つが、上記のとおりアメリカ人によるSNSとなって現れた。
 この切っ掛けは、6月に私宛に来たアメリカ人からの次のメールだ。

 2 Jun 17, 1.48AM JST
 Konnichiwa
Konnichiwa ○○○○ma-san,
Pardom my email, I have followed your photographs on flickr for some time. I especially like your photos of Ainu arts and crafts.
I will be in Hokkaido, mostly Sapporo, this August. Do you have any recommendations of places to visit for Ainu culture, crafts and is possible festivals that may occur during this time? I have visited the Shiraoi Ainu Museum a few years back.
arigatou
○○○○

 私は、アイヌ関係の商業施設(例えば、阿寒湖アイヌコタンや鶴雅ホテルなど)を知らせてもしょうがないと考えた。それで「2日間の時間があるならば、私の知り合いのアイヌ工芸家などを案内できる。作品のほどんとは触って鑑賞することができるが、英語での解説や通訳は出来ない。それでよければ案内する」と返事を書いた。

 そういった経緯で、最終的には3日間の案内を行うことになった。2日目のメニューに木村さん宅への訪問がある。2日目の日程(最終版)は次のとおり。

 8月1日(木)07:30 JR琴似駅
→@1669年、アイヌと日本人の最大の戦いとなったシャクシャインの戦い、その城趾があるマウタ公園訪問
→A私の友人であり、アイヌ木彫り工芸家、エゾシカ・ヒグマ猟のハンターでもある浦川太八氏の工房訪問
→B私の友人であり、アイヌ木彫り工芸家である貝澤徹氏の工房兼店舗訪問
→C貝澤徹氏の店舗から徒歩2分のところにある二風谷アイヌ博物館訪問
→D貝澤徹氏の店舗から車で10分。私の友人であり、アイヌ遺骨返還運動家である木村ニ三夫氏の自宅訪問
→E恐らくJR琴似駅帰還は、21:30

 当然ながら、訪問先には事前にアポを入れる。木村さん宅訪問は16:00〜16:30頃、30分ほどお話して帰る考えだった。しかしアポを入れると、「晩飯食べていけ。焼き肉でもやるべ!」と言われ、お言葉に甘えることにした。

 実際に木村さん宅を訪問したのは16:30、お暇したのは20:30、4時間にも及ぶ滞在となった。
 屋外での焼き肉は、木村さん夫婦と彼(アメリカ人)、私以外に「平取アイヌ遺骨を考える会」の井澤共同代表やスタッフも参加して賑やかなものになった(木村さん主催の食事では毎度の事である)。様々な話が出た。当然、アイヌ遺骨の研究、返還の話も出た。

 彼は本業ではないが、アメリカ西海岸で日系人グループなどのエスニックグループのイベント支援を行っている。先住民族は彼のテリトリーではないが、彼の一般教養は深い。

 私が「木村さんはアイヌ(先住民族)の遺骨返還の活動をしている」と説明した際、彼は戸惑ったように言った「先住民族の遺骨は、先住民に還すことは決まりではないのか?」。

 私は「それが世界の先進国の常識だ。だが日本はそうなっていない。国際常識の先住民族人権を理解できない【シノダ】という分子人類学者がいる。この無教養な男が「THE ANTHROPOLOGICAL SOCIETY OF NIPPON(日本人類学会)」のボスだ。とても残念な事実だ。」と説明せざるを得なかった。

 木村さんから彼への熱い語りかけもあり、彼は全面的に協力する旨表明した。


 札幌までの帰路、彼(アメリカ人)は上機嫌だった。アイヌはカルフォルニア人と同じ。「going easy」だと言う。

 さて、本当に木村さんは怒っている。悲しむべき現実として、国、北大、具体的には篠田氏や常本氏などからはアイヌ遺骨の取扱いに係る考え方の変化、誠意などは感じられないという。

 木村さんは所定の期日までに変化がない場合を想定しての訴訟の準備に入った。このことについては常本氏側には伝えてあるという。


 木村さんの怒りが増していることは、私も感じる。
 一昨日(8/4)の電話では、当日、北大でアイヌ遺骨のイチャルパがあり、木村さんは初めて参加したとの事。

 木村さんは多くを語らなかったが、【良いイチャルパ】ではなかったようだ。木村さんは遺骨に対し【いつか、きちんとした形で迎えに参りますから】と詫びたそうだ。

 また、木村さんは、このイチャルパに【何故、篠田が来ているんだ!】と怒っていた。心が籠っていない行動ほど相手を侮辱するものは無いということなのだろう。
 木村さんは純真だ。「人である人」でない行動に対しては怒る。



 さて、今回もアップしようとしていたところに木村さんからのFAXが届いた。FMピパウシの「木村ニ三夫の言いたい放題」の草稿だ。ご紹介する。
*草稿段階のものですので、若干変更となる可能性があります。

 『ホロケウカムイではないが、これまで何度吠えただろうか。盗んだ遺骨は元へ還せ。あるべき姿に戻すべきと。

 FMピパウシ・リスナーの皆さん、イランカラプテ!木村ニ三夫の言いたい放題の時間です。

 冒頭申し上げた「ホロウケウカムイ」とは何の事?と思っている方がほとんどでしょう。少し説明をさせていただきます。「ホロケウカムイ−狩する神」とは明治の初め頃まで北海道に3000頭程分布していた「エゾオオカミ」の事です。

 呼び名を「ユクコイキカムイ−鹿を狩る神」、「ウオッセカムイ−吠える神」ともアイヌ達は言っていました。アイヌには危害を加えず、アイヌとは共存共栄で、鹿の居場所を吠えて教えてくれるという最高のパートナーだったようです。

 しかし、このパートナー達に悲劇が訪れます。明治5年(1872)年、この日高の地域に御料牧場「天皇の牧場」が開場されることになり、全道から沢山の道産子(馬)は集められ、そこに住むアイヌ達には何の相談もないまま、牧場とされた場所に放牧されました。

 そして、明治12年春先(1879年冬)、北海道は何十年に一度という大雪に見舞われ、「ホロケウカムイ」の主食であるユク(鹿)がほぼ全滅という事態となった。ホロケウも生きる為に、狙うは近くの牧場の馬だったようで、牧場側の被害も相当だったようです。

 牧場作りの指導者としてアメリカから招いていたエドウィン・ダンの提言で、ストリキーネという猛毒を外国から取り寄せ、餌に混ぜ絶滅させるという人間の手で自然の崩す取り返しのつかない事をしてしまったのです。

 「誰かのために犠牲になった」ホロウケウカムイ達が今現存していたら、どうだったろうか?現在全道で40万頭とも言われている鹿たちによる食害に頭を悩ませる事も無かっただろう。これも人間が蒔いた種、自然のバランスを崩した付けが今回ってきている。

 人間たちよ、これまでどおり欲望の限りに生き、異常気象で悲鳴を上げている地球の破滅を待つか、それとも、ライフスタイルを変えるか、大事な局面ではないだろうか。

 さて話が私の趣旨とは違う方向に向いてしまったが、その話とは、研究の為、大学等に盗掘、違法に持ち去られた「アイヌ遺骨問題」です。国は地域返還というガイドラインが固まらず、いまだにハッキリしないでいるが、当事者である大学側も「国の方針待ち」という無責任かつ反省、誠意の無い態度を見せる。なんとも恥ずかしい。

 オーストラリア政府のアボリジニーの遺骨返還に対する取組や丁重に返還する姿勢、そしてラッド首相がアボリジニーに対して「アイム・ソーリー、アイム・ソーリー」と何度も何度も謝罪する感動的なシーンを見せてくれたが…。それは2008年、もう10年も前の事だ。

 日本国、大学、学者達はどうだろう。世界に向けてどんな顔をするのだろうか。もう一度言う。盗掘、違法に持ち去ったアイヌ達の遺骨、人権、尊厳を一日も早く地域に返してほしい。盗みは何処の国でも犯罪なのに日本には当てはまらないのか。全く恥ずかしい。

 木村二三夫の言いたい放題でした。イヤイライケレ。

 話は変わる。
 今月はここで終わろうかとも思ったが、SNSをアップしてくれた彼(アメリカ人)がとても上機嫌だった理由について、いくつか紹介する。

 この訪問日の夕食は木村さん宅であったが、昼食は浦川太八さんが振舞ってくれた。主菜はユクオハウ(具沢山のエゾシカ肉のスープ)だ。骨付きのアバラ肉がゴロゴロ入っている。もちろん、このエゾシカ肉は浦川さんがライフルで仕留め、ご自身で捌いたものだ。

 実は彼はシカ肉を食べるのは何十年ぶりなのだ。彼はケンタッキー生まれ・育ちで、今はアメリカ西海岸に住んでいる。ケンタッキーではシカ肉を食べるが、西海岸(都会)ではシカ肉を食べないという。彼にとっても久々のシカ肉だったという訳だ。

 彼は日高地方を訪れるのは初めてだ。ご承知のように日高門別を過ぎると、浦河までは軽種馬(競馬用の馬)の牧場だらけだ。実はケンタッキーも軽種馬の牧場だらけらしく、とても親近感を感じると言っていた。

 彼と木村さんの最初に対面が面白い。木村さん宅の玄関前で私と彼が呼び鈴を押すと、木村さんが出てきたわけだが、彼を見ての第一声は「お前はどこの(地域の)アイヌだ?」だった。

 確かに彼は、アイヌにいてもそうおかしくない風貌をしている。アイヌに混じっていても目立たないだろう。木村さんは彼を自宅に入れる前に20メートルほど離れた木村家のヌサ(祭壇)へと案内した。

 そして、数本あるイナウについて、これが「ワッカ・ウシ・カムイ」、これが「ポン・ナイ・カムイ」、これが先祖・・・と解説していく。まるで本当に遠方から訪ねてきたアイヌに対する振る舞いのようだった。

 彼はこの数日前、刺繍をしているアイヌ女性訪問の際にも、「髪の毛さえ黒ければアイヌね」と言われ、彼女が作った刺繍入りのマタンプシ(ハチマキ)を締めされられ、「ほうら、アイヌになった」とか言われていた。

 今回、彼は5人のアイヌ個人宅を訪問したが、何処でも「また来いよ」と言われた。彼は、アイヌはカルフォルニア人と同じ。本当に「going easy」だと言う。

 今回の彼のアイヌ訪問は、彼にとってもアイヌにとっても良いことだったと思う。
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2017/7/23

もう一つの日本文化(国への質問状・第2弾の回答、ほか)  文化・芸術
 「この回答は、・・・国はアイヌ遺骨研究をやるって事だな。・・・俺はガッカリした。・・・」

 7月15日(土)17:00、平取町の二風谷生活館で、木村さんが共同代表を務める[平取「アイヌ遺骨を」考える会]主催の[ドキュメンタリー映画「聞こえない声」の上映会&藤島保志監督講演会]が開催された。
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 主催者側の共同代表の井澤さんと木村さんを筆頭にスタッフは15:30頃から机・椅子等を並べるので汗だくだ。その準備が一段落した頃、私はその前日(14日)に国から届いた回答文書を木村さんに渡した。
 木村さんは、10分ほど読んでいたが、その直後の発言が冒頭の記述だ。

 その前日である7月14日(金)、私が仕事から帰宅すると国からの回答文書が届いていた。
 直ぐに木村さんへ電話し、FAX送付をしようとしたが、木村さんは「明日、渡してもらえばいい」との返事だった。何か思うところがあったのだろうか。

 国からの回答文書は、次のとおり。
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 木村さんの発言(感想)については、私も全く同じ見解だ。そうとしか読めない内容だ。
 木村さんは、この回答文書によって、【アイヌ遺骨の「あるべき姿」を求める活動】を強める決意をしたように見える。

 あるべき姿】とは、アイヌ遺骨(人)が「人」として取り扱われる事だ。
 木村さんが考える【あるべき姿】とは、【遺骨研究そのものを反対する】事ではない。

 木村さんの行動の原点は「盗んだものは返せ!」という単純なものだ。

 国は、このアイヌ遺骨問題を、まるで「返還」か「研究」かの2者選択の問題にすり替えているが、それは「誤魔化し」であり「インチキ」だ。

 木村さんは【アイヌ遺骨返還がなされて、初めて、アイヌ遺骨研究をどう考えるかのスタート地点になる。】という考えだ。

 また、【アイヌ遺骨返還後に、アイヌ遺骨研究に理解のあるアイヌが協力することは何の問題もない。】そうも表明している。

 【人である人】、人の心を持った研究者が、アイヌに敬意を払った(アイヌの尊厳を尊重した)上で、研究するならば、木村さんは反対しない。

 現実の動きが、あるべき姿と大きな隔たりがある為に、まるで木村さんがアイヌ遺骨研究に反対しているように見えるだけだ。

 日本人が過去に犯したアイヌ遺骨盗堀を是正する行動は、本来は、日本人自身が行うべきものだ。だが現実は、それを是正しないどころか、その違法行為に上塗りする形で、アイヌ人権を無視した研究を将来的に行おうとしている。

 当事者である日本人、アイヌ以外の第三者、例えば外国人から眺めた場合、日本人は恥知らずに見えるだろう。


 さて、7月15日の上映会・講演会は、盛会裏に終了した。
 参加人数でいえば、上映会等が約60名、会場での懇親会が約30名、木村さん宅での打ち上げ会が約10名と小規模であるが、どれも本当に意義のある会合だった。

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 ほとんどの参加者が、皆当事者意識を有しているのだ。動員人数のみを競い合うイベントに慣れている人には、逆に新鮮に映ったかもしれない。
 
 木村さん宅の打ち上げ会など、私は翌日から旅行に行く為午前1時前に失礼したが、午前3時頃まで盛り上がっていたとの事だ。

 *翌日からの旅行の為に、このブログ報告が遅れました。誠に申し訳ありません。

 さて、この上映会では、井澤共同代表が取りまとめた[本年3月前後からの「アイヌ遺骨」新聞記事の見出し集]が配付された。
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 この見出しを見ただけでも、「アイヌ遺骨」に関しては様々な問題があることがわかる。
 近年、日本、世界を問わず、社会には様々な問題が増しているような気がする。

 そのような問題の中で自分が関われる身近な出来事で、理不尽であると思われるものには、個人レベルで、可能な範囲で、何らかの意思表示・行動を示すことが、以前よりも求められているような気がする。
 
 そういった意思表示・行動は、一見、短期的には対立を増すように感じられる部分もあるが、長期的には「話し合いによる調和」につながるものと考えたい。

 こういった考え方は世界の色々な所にあると思うが、「アイヌのチャランケ」はそのものだ。

 さて、最後に、フリーライターの平田さん、木村さんへのお詫びを表明しながら、3月18日の勉強会での「木村さん挨拶」を掲載する。

 *平田さんからは、2ヶ月近く前にメール送付を受けていましたが、見落としていました。ごめんなさい。

■学習会「先人たちの遺骨をふるさとの地・平取へ」開催記録(その6) 
 F閉会のごあいさつ  木村二三夫(平取「アイヌ遺骨」を考える会共同代表)


 「過去に目を閉じる者に未来はない」といった言葉を先日、耳にする機会がありましたが、まさに今かと思います。海外でも注目されていますこの遺骨問題、今日は多くのみなさまが関心を寄せてくれたことに、心より感謝申し上げます。

 お手元の資料にもありますように、平取からも27体ほど北海道大学、札幌医科大学に、研究材料として持ち去られました。中には新冠アネサルの地より強制移住により旭(旧上貫気別)へ追いやられ、艱難辛苦の末、心ならずもこの地で眠りについた先人たちの遺骨、6体も含まれています。

 眠りなかばで掘り起こされ、今度は北大等から尊厳ある慰霊施設と称し、研究のために白老へ集骨されると、「3度目の強制移住」となります。倫理を著しく踏みはずし、アイヌの尊厳をも踏みにじる残虐で非人道的な行為は、「人」として絶対にやってはいけない、やらせてはいけないと思います。

 この遺骨問題。アイヌも国民、町民の一人です。この町民の遺骨を研究に使うなどもってのほかです。やるほうも「人で無し」なら、やらせるほうも「人で無し」です。

 今後、良識あるみなさまと一緒になって、この問題に深く関心を持ち、「人である人」として、理解、共感してもらい、国、大学側が振り向いてくれるように大声を出していこうではありませんか。みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。今後、あとに続く者たちのためにも、後世に恥じることのないように、良い背中を見せようではありませんか。

 最後になりましたが、この遺骨問題に心血を注ぎ、昨年、遺骨を取り戻すという、歴史にも残る道しるべを立ててくれた小川隆吉さん、清水裕二さんはじめ「コタンの会」、開示文書研究会のみなさん、「人である人」としてきょう講師を務めてくれた殿平善彦さん、小田博志さん、いつもアイヌ遺骨問題に寄り添ってくれている市川守弘先生、「学問の暴力」という強烈本を執筆、世に出してくれた植木哲也さんには、心より感謝とお礼を申し上げます。みなさまと一緒に拍手をもってお礼に代えさせていただきます。ありがとうございました。
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2017/7/8

もう一つの日本文化(6/26木村さんの怒り。ほか)  文化・芸術
■督促状
                                          平成29年6月25日
 
 文部科学省 大臣官房総務課広報室庶務・企画係 ご担当者 様
  
                         北海道沙流郡平取町●●●●●●●●●●●
                          木 村 二 三 夫
                         北海道札幌市中央区●●●●●●●●●●●
                          ○ 馬 ○ 晶

   [人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年文部科学省・厚生労働省
   告示第3号)他に関する問合せ]に係る回答送付のお願い

 平素より科学技術・学術研究の振興等行政の広報・普及促進に誠意取組まれていることに敬意を表します。

 さて、5月9日付[人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号)他に関する問合せ]文書を差上げ、ご回答を求めておりましたが、本日6月25日に至るもご送付がありません。

 つきましては、至急ご確認の上、ご回答または回答提出に係る状況報告をご提出いただきますようお願い申し上げます。

 なお、ご送付が本状と行き違いになりました場合はお許しください。
 まずは取り急ぎご連絡方お願い申し上げます 。
                                                   以 上

 この督促状は、平成29年5月9日付けの【国(文部科学省)への問合せ・第2弾】に係る提出期限(6月15日)が10日経過しても送付(提出)がなかった為、送付したものだ。
 6月27日に文部科学省大臣官房総務課広報室に到着(配達)した旨の郵便物等証明書がある。

 実は、私の督促状が文部科学省に到着する前日(6月26日)、次のとおり文部科学省の担当部署から「回答の準備を進めている」旨の状況報告通知文が届いている。
 前回の回答と同様、誠意ある内容となることを祈念したい。
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 さて、アイヌ遺骨の返還については、遺骨を研究材料とすることに対する賛否の勉強会等も含めて様々が動きがあるが、昨日と本日の北海道新聞では、北大(北海道大学)に対して2件の提訴が行われる記事が出ていた。

 北大は、過去のアイヌ遺骨盗掘及びその後、長年の研究対象としてきたことに対し、一片の謝罪もなく、返還にも応じないという態度だ。

 提訴されて当然ではあるが、何故、北大という組織は自浄能力がないのか?先人が行った盗掘、不正義な遺骨管理などについて、過去の日本人が犯した不始末を、なぜ現在の日本人が正せないのか?

 北大と同じ穴の狢である国(アイヌ政策推進会議)においては、「大学や博物館等の機関がお預かりしているアイヌ民族のご遺骨等」などという表現を使用している。

 【お預かりしている】というのであれば、【誰がお預けしたのか?】。盗掘という犯罪行為は過去の日本人が行った不正義だが、その犯罪行為を言い繕う行為は現在の日本人が行っている不正義であり許されることではない。

 北大の研究者の中にも正そうとしている「人である人」はいるが、北大という組織としての動きはない。物事の善悪が判断できない人間は教養人ではない。

 参考まで、新聞の一部を紹介する。

■07/07 北海道新聞(朝刊)
 【北大に遺骨、副葬品返還求め提訴へ 旭川アイヌ協など】

 【旭川】北大が研究目的で保管するアイヌ民族の遺骨や副葬品について、返還を求めても応じる意思がないとして、上川管内のアイヌ民族約40人でつくる旭川アイヌ協議会と川村兼一会長は13日、旭川地裁に返還と謝罪などを求める訴訟を起こす。…

■07/08 北海道新聞(朝刊)
 【アイヌ遺骨198体返還提訴へ コタンの会 北大に過去最多数】

  北大が研究目的などで保管するアイヌ民族の遺骨の返還に取り組む団体「コタンの会」(清水裕二代表)が、日高管内新ひだか町静内地区などから発掘された遺骨計198体について、返還を求めて今月中にも札幌地裁に提訴することが7日、分かった。同会は協議による遺骨返還を目指していたが、北大側は国のアイヌ民族の遺骨返還手続きが定まっていないことを理由に応じなかったという。北大に対する遺骨返還訴訟で、一度に求める遺骨数としては過去最多になる。…
 
 話は変わる。
 前回(6/19)のブログでお知らせしたとおり、先月(6月)26日、平取でシシリムカ文化大学講座(国立科学博物館副館長/日本人類学会会長の【篠田謙一氏】の講演等)が開催された。

 私は出席しなかったが、木村さん及び木村さんの知り合い数人は出席した。その方々からお聴きした内容について、私の感想も含め記述する。

 聴いた話の中で、私が最も違和感を感じたのは、篠田氏が「謝罪は研究者とアイヌの両者間に信頼がなければ出来ない。そしてその信頼は、両者がお互いの行動を認め合うことから始まる。それしかない。」旨の表明をしたということだ。

 【研究者とアイヌの両者は対等】、一般論としてはそのとおりだ。アイヌも日本人も研究者も平等であり対等、一般論としては全く異論はない。

 ただし、過去の歴史において、両者間にどのような事実があったのか。この歴史的事実を真摯に捉えれば、対等ではない。どちらかに非があるのであれば、それを謝罪することが、相手を対等と考えている証となる。

 加えて、研究に使用するアイヌ遺骨(研究材料)の権利は、どちらが所有しているのか。また、[先住民族の権利に関する国連宣言・国連文書]における遺骨返還(帰還)の権利、国の努力義務をどう考えているのか。
 そういったことを真摯に考えているとは思えない。篠田氏の見識の無さが判り易く表現されている。


 篠田氏は「反省」は口にするが「謝罪」には触れもしない。本気で「反省」しているとはとても考えられない行動だ。見識のあるアイヌには到底認められないだろう。

 以上が、私が又聞きで聴いた篠田氏の発言に対する感想だ。(木村さんの解説の影響も大きいが…)

 この篠田氏の不見識は、2重の意味で許される事ではない。

 まず、先住民族(アイヌ)の遺骨を研究材料とする研究者の一人として。
 さらには、篠田氏は日本人類学会の会長であるからだ。
この日本人類学会は「これからのアイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方に関するラウンドテーブル」を策定する3団体の一つである。

 「先住民族であるアイヌの遺骨等を用いた研究」を進めようとする団体の代表者が、「先住民族の権利に関する国連宣言・国連文書」を尊重しないような態度を示す。

 これは「自衛隊、防衛大臣としてもお願い。」という憲法違反発言をした稲田朋美防衛大臣と同様、【組織(団体)の長として、資質に欠ける行為】だ。

 稲田大臣でさえ謝罪した。篠田氏は自分の発言・行為、また、日本人類学会という「人類学の研究及び関連活動全般に携わる研究者等の団体」の代表者として真摯な反省に基づく謝罪なりなんなりの行動を示すべきだ。

 そういうことを行わないのであれば、ますます研究者団体の長として、【資質に欠ける】との評価は免れないだろう。

 *私は、篠田氏の発言を木村さん他の伝聞でお聞きしている。私は木村さん他を信頼してこの記述をしているが、伝聞に証拠能力がないと抗弁されるかもしれない。
 その際は、豊田真由子衆議院議員同様、言い逃れができないよう音声ファイルを探す必要がある。先日のシシリムカ講座は公開講座であるので、恐らくは自分の勉強の為に録音している方がいると思う。その方を捜すことにしよう。


 さて、木村さんだが、先の篠田氏の態度には腹を立てている。だが木村さんはアイヌだ。アイヌプリ(アイヌの慣習)として、本来は全面戦闘すべき相手にもチャランケ(話し合い)を優先する。

 恐らく篠田氏は木村さんの心底を全く察知できなかったろう。
 へたをすると「部分的には木村さんの理解を得ることができた(懐柔できた)」位の事を何処かへ報告しているかもしれない。


 「長年に渡る人類学者のアイヌ人権を無視した研究」この不正義の事実を正確に理解していれば、「部分的にせよ、木村さんの理解を得ることができた」などという妄想は考えるはずもないのだが、物事の表面しか理解できない人間は、木村さんの人なつこい人物像(表情)から安易に考えたがる。

 木村さんの理解を得る方法は一つしかない。「アイヌ(人権)に対し謙虚に敬意を払う」事だ。


<7月9日 追記>

 ここのところ、このブログは、木村さんの「アイヌ遺骨関係活動」中心になっているが、私のアイヌに係る活動は、実はここ10年ほど変わっていない。
 具体的には、浦河町に住む浦川太八さんの工房訪問は、凡そ1ヶ月毎だ。用事があったりして間隔が1ヶ月半になったりするが、年10回以上は訪問している。(その帰路は、貝澤徹さんの店舗や木村さん宅によることが多い。)

 先の5日(水)も浦川太八さん、貝澤徹さん、木村さんと定例コースを巡って帰った。
 浦川太八さんへの訪問は、時には浦川さんが制作している商品のラベルをパソコンで印刷して持っていったり、浦川さんの仲間と一緒に何かを採りに行ったりもするが、大抵は特に何をするでもないことが多い。

 世間話をして、浦川さんの仲間が持ち寄った昼食(アイヌ料理?)をご馳走になったりして2〜3時間で帰る事が多い。

 先の5日の昼食にはフキのきんぴらが出た。なかなか美味しかったので、そのフキについて色々と話をした。材料のフキは「今」のフキだという。

 *私にとって(札幌の)フキは5月中旬から下旬のものだ。私も山菜採りはする。いつも友人(日本人)と一緒に春季(4下旬〜6月中旬)・秋季(9月〜10月)は基本的に毎週行くので、年15回程度は山に行っている。
 「今の時期のフキなど食べられたものではない」というのが一般的な日本人の常識だ。


 このフキは、浦川さんの工房の裏手にあるという。「私への土産」ということで採りに行く事になった。

 裏手も何も、2分もかからない場所だ。私もそこにフキがあるのは知っている。毎春、浦川さん達とフキノトウ採りをするからだ。

 行ってみると、高さ2メートル近くの赤ブキ(根本は直径7〜8センチ)の林になっている。「こんな赤ブキ食べれないぞ」と思いながらついて行くと、赤ブキ林の中で比較的赤くない緑のフキを刈始めた。

 赤ブキではないが、根本は直径6センチほどはあり堅い。これで殴られたら骨折するだろうという堅さだ。

 そういったフキを4人で20キロ近く採り、私に呉れた。
 これをどう処理するのかというと、塩漬けにするのだ。

 塩水漬けではない。樽の中に塩、次にフキ、その上に塩、という具合に交互に重ねて、最後に重石を掛けるのだ。水は入れない。浦川さんの工房にはいつも山菜用の「袋塩(25キロ)」が置いてある。私も今回は8キロ使用した。

 すると、容積は1/5程度になり、じゃぶじゃぶの塩水漬けの状態となって、冬まで保つ。好きなときに取り出して茹で、一晩水に晒し、皮を剥き使うのだ。なお、塩漬けの際は、イタドリの葉を入れる。これはフキの色付けを良くする為だ。

 (私は日本人だが、)近頃は、仲間扱いさせていただき、色々な事を教えてもらっている。つくづく思うのは、自然の産物の利用では、アイヌは日本人よりも数段上だなという事だ。

 先述したように、私も山菜採りはするが、それは季節を感じる為のもので、良く言えば「優雅な遊び」、実際はアマチュアだ。

 だが、アイヌの自然の産物の利用はプロだ。日本人が利用しない今の時期のフキを活用する。これは2つの意味ですごいと思う。

 1つは、自然の産物の通年利用だ。年間を通じて自然の産物を利用していく。地に足が着いた自然の活用だ。

 もう1つは、自然界の持続を考慮した利用方法だ。
 この時期、2メートル近くまで育ち、葉の直径は70センチほどある。光合成により大きく有機物を生成した結果だ。

 春の柔らかいフキだけを採取すれば、場合によってはその地区のフキは絶滅するが、こういった「自然界の恵み」を時期をずらしながら活用し、自然界に過度の負担を掛けることなしに活用していけば、自然界は持続可能だ。

 すばらしい知恵だと思う。私にとって、アイヌ訪問はなかなか楽しい。
4

2017/6/19

もう一つの日本文化(北海道新聞2017年06月07日<水曜討論>アイヌ遺骨研究 是非は。ほか)  文化・芸術
 国(文部科学省)への問合せ・第2弾の提出期限は6月15日(木)であったが、本日(6/19)に至るも回答の到着がない。今後の行動としては、まずは督促をする。それで対応がなければ、次の段階の行為を行っていくということだ。

 木村さんと私が日本国民である以上、国民に行政行為を行う日本政府(文部科学省)に回答を求める行為は当然の権利だ。文部科学省は行政行為を行っている以上、回答する義務がある。回答を行わない権利はない。

 また、「前回(問合せ第1弾)は回答できる内容だったので回答した」、「今回は回答しづらい内容なので回答しない」などという状況によって対応を変える権利はない。

 そのための行動は順次実施していくとして、6月7日、北海道新聞朝刊<水曜討論・アイヌ遺骨研究 是非は>として【苫小牧駒澤大学教授の植木哲也氏】と【国立科学博物館副館長の篠田謙一氏】お二人の主張が掲載された。

 植木哲也氏の主張は素晴しい。全体的な趣旨は、3月18日の説明会とほぼ同じだが、この文字数の少ない紙面において完璧な論理が展開されている。

 一方の篠田氏だが、専門は分子人類学であることを割り引いても論理的には穴だらけの主張だ。だが、アイヌ遺骨問題についての全体状況を知らない新聞読者には、それなりに正当性を感じてしまうような無知に基づくごまかしが随所に散りばめられている。

 「ウソも100回言えば真実になる」とは、昔、ナチス・ドイツの国民啓蒙・宣伝大臣だったヨーゼフ・ゲッベルスの言葉だといわれている。

 例え間違った内容のことでも、同じことを何度も耳にするうちに、人はやがてそのことが本当であると信じるようになる、また、信じたくなる現象があるということを悪用したものだ。

 この方法は、国民啓蒙・宣伝の有効手段らしく、安倍政権においても多用されている。

 ということから、篠田氏の無知に基づく主張を放って置く事は適切ではないということになった。3月18日の勉強会等の考え方を中心とする検証を行った。

 *篠田氏の主張部分を全て引用・掲載しました。その上で疑義部分を示し、→印以下の斜字部分で3月18日の勉強会等の考え方を記述しました。

 『□民族の位置付け明確に 国立科学博物館副館長・篠田謙一さん

 アイヌ民族の遺骨を DNA 分析する研究に2010年から取り組んでいます。

◆疑義1
 アイヌ民族の起源や成立を解き明かすことは、アイデンティティーの基盤となり、先住民族としての位置付けをより明確にすることにもつながります。


→「先住民族」の定義を知らない発言です。
 3/18の学習会【A植木哲也さん(苫小牧駒澤大学教授)「アイヌの遺骨がこうむった学問の暴力=v】をご紹介します。

 ■「起源」と「先住性」は無関係
 …基本的に、先住民族という時の「先住」は、国連に出された報告書に、「先住の共同体、人々、民族とは、侵略とか植民地化を受ける以前にそこに住んでいた」ことだ、と書いてあります。何も民族の起源を2000年、3000年さかのぼって、あるいは1万年前まで確かめなくちゃいけない、という話ではない。

 起源はどうあれ、北海道の場合だったら、日本政府が北海道を支配し始めた時に、すでにそこに住んでいた人びとイコール先住民族、ということです。「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会報告書」(2009年)でも同じように、(先住民族とは)歴史的に国家の統治が及ぶ以前からそこに暮らしていた人たちのこと」というふうに書かれています。ですから、民族の起源になんてさかのぼる必要はないのです。


 先住民族とは、植民地化の時点で先住していた人たちのことです。北海道の場合、江戸幕府が東蝦夷地を直轄し始めたのが1799年、本格的に支配し始めたのは明治になって開拓使が設置された1869年ですから、18世紀末、あるいは19世紀後半の時点で住んでいたということで十分に先住性が示されています。

 民族の起源なんて関係ありません。先住性を明らかにするために民族の起源をさかのぼる必要はありません。先住民族とは、「北海道に最初に住みついた人」という意味ではないのです。

 先住性と起源を混同してしまうと、「北海道に最初にアイヌが住みついたのかどうかなんて分からないじゃないか」「だから先住民族ではない」というようなわけの分からない誤解が生み出されて、むしろ混乱の元になるだけです。


◆疑義2
 人類学の研究のために収集されてきた遺骨には、当事者であるアイヌの人たちの意向を無視し、墓地から持ち去られたものもあります。われわれがDNA分析の研究を行うに当たっては、最大限の配慮をしました。


→以降の記述を読む限り、篠田氏の発言は「アイヌ遺骨を研究材料としてしか考えない」学者の考えそのものであり、どの行動を持って「最大限の配慮をした」というのか不思議です。

 今後、篠田氏がアイヌを聴衆に話しをする機会があるのならば、具体的にどの行動で「最大限の配慮」を実行したのかを説明していただきたい。説明できない場合は、この不適切な発言はアイヌをバカにしたものであり謝罪すべきです。


◆疑義3
 研究対象とした遺骨は、札幌医大と伊達市噴火湾文化研究所が収蔵する約100体。道路工事などに伴う発掘調査で出土し、埋蔵文化財に指定されたものが多く、盗掘された遺骨ではないと考えています。


→「埋蔵文化財」の定義を知らない発言です。また、「埋蔵文化財に指定されたもの」、「盗掘された遺骨ではない」については、この事実の有無と「研究対象として良い」理由(根拠)とは別の問題です。

 なぜなら、篠田氏は「研究対象とした遺骨」を研究して良い権利を有していないからです。
 3/18の学習会【D市川守弘さん(弁護士、遺骨返還訴訟原告代理人)「地元の土に遺骨を戻すには」】をご紹介します。


 ■遺骨は「埋蔵文化財」か?
 …やたら今回は文化財、文化財……。去年あたりからですね、この遺伝子研究をしていた山梨大(学医学部法医学講座教授)の安達(登)さんという先生が、(北海道)アイヌ協会主催のシンポジウムで、やたら文化財・文化財っていう言い方をしていたんですね。そこで、じゃあ文化財だったら研究できるのか、という話ですね、まずね、出発点は。

 みなさん、骨っていうのは文化財、というふうに思います? これ文化財保護法2条に定義があるんですけどね、骨、入ってないんですよ。そりゃそうですよね。文化財ってのは人が手をかけて何か文化を生み出して、その産物を文化財っていうんでしょ? 骨っていうのはただ生まれて死んで、残った遺骨ですから、これ文化財でも何でもないんです。だから本来、遺骨ってのは文化財には該当しない。

 だけどたとえばそれが、ナントカ遺跡から出てくると、ナントカ遺跡と一体となって文化財。あるいは、持っていたもの、あるいは服、そういうものと一体となって文化財、てことはあり得るんですね。
 だから、それには遺跡がそもそも文化財的価値がないとダメだし、持っていた、たとえば刀とか服とか、そういうものも文化財的価値がないと「一体となって」ていうことは言えないですね。

 札医大はその「一体となる」何かを持っているかというと、持っていないです。これは後で言いますが、北大も持っていません。
 ていうか、持っているんですが、遺骨とは全然別になって、たとえば「児玉コレクション」になっているとかね、なっているので。そもそも(アイヌ遺骨を)持っている人たちがね、北大にしろ札医大にしろ、文化財とは思っていないわけですよ。とにかく研究したいから理屈をつけているんじゃないか。

 で、またおもしろいのは、そういう理由で文化財になっていいような骨であっても、たとえば高松塚古墳。ありますね、奈良県に。あそこは文化財にしていないんですよ。そりゃなぜかというと、地域の人たち、住民の人たちがこれ、慰霊する、慰霊の対象にしている。つまり慰霊の対象になるとどうも文化財にはならない。古墳は文化財だけど、古墳から出てきても(発掘遺骨を)文化財とはしなかった、っていう例があるんですね。

 それから、天皇陵。ありますよね、いっぱい。立ち入り禁止になってますが、天皇陵から仮に骨があったとして、その骨を持ってきた。じゃあ文化財だろう。ふつう文化財ですよね? ナントカ前方後円墳とかいっぱい、そういう古墳ですから「一体となって」文化財だろう。でも、これもおそらく、天皇家が慰霊の対象にしているんだから文化財にはなりません、ていうふうになるはずなんです。


 そうなるとね、文化財(だから研究試料として活用できる)というのは理屈になっていないんですね。文化財だろうがなかろうが関係ない。というのがひとつ、あります。

 もうひとつは、文化財であっても、所有者の了解を得なければ勝手なことはできないですよ。
 単純に考えて下さい。法隆寺。重要文化財、国宝です。文化財だから(といって研究計画書を書きさえすれば)国が勝手に土台に穴あけていいか? それはムリですよね。それはお寺の承諾を得ない限り、手は出せない。そういう点から考えても、文化財だとしてもですよ、承諾をちゃんと得なければいけないんですよ、っていうのが結局、出てくるんですね。


◆疑義4
 これらは江戸時代以前に埋葬された遺骨で、直接の子孫が見つかる状況ではないと判断しました。


→「江戸時代以前に埋葬された遺骨」、「直接の子孫が見つかる状況ではない」について、篠田氏または篠田氏を含む何らかの審議会等は、何の法律に基づいて、どのような権利(権限、根拠)をもって判断したのでしょうか?法的な権利(権限、根拠)がない限り、「判断」は無効です。

 今後、篠田氏がアイヌを聴衆に話しをする機会があるのならば、具体的にどのような権利(権限、根拠)をもって判断したのかを説明していただきたい。説明できない場合は、この不適切な発言について謝罪すべきです。


◆疑義5
 研究利用について、過去の反省を踏まえ、北海道アイヌ協会にも事前に計画を説明して同意を得ました。


→「北海道アイヌ協会」に同意を与える権利はありません。
 3/18の学習会【A植木哲也さん(苫小牧駒澤大学教授)「アイヌの遺骨がこうむった学問の暴力=v】をご紹介します。

 ■「正しい研究」は可能だろうか
 …北海道アイヌ協会が認めてくれたから(研究して)いいのだ、と一部の研究者たちは言っています。

 けれど、政府は「遺骨は祭祀承継者にしか返さない」と言っているのだから、「(研究する場合も)祭祀承継者の承諾を得なければならない」とだって言えると思います。
 そうなると、研究はほとんど不可能です。少なくとも遺族の方、あるいはアイヌの伝統的な死者供養の様式に従えばコタンの承諾を得ることが、明らかに必要だろうと考えられます。

 (しかし現実には)大学に保管されている遺骨は、本人ないしそれに代わる人の承諾を得るという手続きをまったく踏まえていないわけです。
 これをそのまま研究に使ってしまうことは、現代の研究倫理に基づけば不可能です。現代の研究倫理の元では、大学にある遺骨は研究できないはずです。


 研究の結果、分かってきたのが、北海道を中心とした独自の集団が成立した歴史でした。
 日本人の集団の成り立ちを説明するときに、根強い理論として「二重構造説」があります。縄文人社会に大陸から渡来人がやって来て混血を繰り返しながら全国に広がることで本州、四国、九州の本土日本人が形成され、北海道や沖縄では混血の影響が少なく縄文人の直系の子孫が残ったという考えです。

 しかし、DNA分析により近世のアイヌ民族が、ロシア沿海地方にルーツを持つ オホーツク文化 人から影響を受け、シベリアの先住民族とも遺伝的な関係があることが分かりました。今後、より多くの遺骨の分析ができれば、アイヌ集団の地域性なども明らかにできるでしょう。

◆疑義6
 研究を止めることは、長期的に見て、アイヌ民族にとっても利益にはならないと確信します。


→篠田氏がどのような考えを持つかは篠田氏個人の権利として自由ですが、「アイヌ民族にとっての利益」の判断はアイヌが行うべきであり、篠田氏が行うものではありません。

 篠田氏の考えは「アイヌ遺骨を研究材料としてしか考えない」学者の考えそのものであり、アイヌへの「最大限の配慮」が求められます。


◆疑義7
 日本列島の中でアイヌについてだけ成立の経緯が分からない事態が予想され、先住民族への否定論さえ出かねません。


→疑義1で説明したとおり、これは「先住民族」の定義を知らない篠田氏の無知から出た発言です。※疑義1の説明を確認願います。

◆疑義8
大学などに保管されている遺骨は、頭蓋骨と手足の骨を別々に扱うなど管理状態が良くありません。


→これは「アイヌ遺骨を研究材料としてしか考えない」学者の考えそのものです。
 現在、問題となっているのは、大学などでのアイヌ遺骨の管理が人間としての尊厳が失われた状況となっていることです。篠田氏へは、アイヌ遺骨の尊厳に対する「最大限の配慮」が求められます。

 アイヌ及びアイヌを友人に持つ日本人の多くは、篠田氏が研究を進めることは、長期的に見て、日本にとって利益にはならないと確信しています。

◆疑義9
 政府が胆振管内白老町に整備する「 民族共生象徴空間 」の慰霊施設に集約した後、人類学者の役割として遺骨を整理し、適切に保管することが大事だと考えています。


→「管理」に対する篠田氏の認識「頭蓋骨と手足の骨を別々に扱うなど管理状態が良くありません」から推測すれば、この文章における「適切に保管することが大事」とは、研究材料としての適切な管理が重要という事なのでしょう。

 現在、問題となっているのは、大学などでのアイヌ遺骨の管理が人間としての尊厳が失われた状況となっていることです。篠田氏へは、アイヌ遺骨の尊厳に対する「最大限の配慮」が求められます。


◆疑義10
 その上で、アイヌ民族の方々も入った倫理委員会で研究の価値が認められれば、研究を進めてもよいでしょう。

→アイヌ遺骨を用いた研究を進めて良いかどうかは、アイヌ遺骨に係る権利を有するアイヌしか決めることが出来ないものです。

 現在の研究者(学者)の意見を考慮するとしても、決定権は権利を有する関係アイヌが持っているものです。

 最も望ましいのは、将来において、アイヌの学者による研究が進められることです。それを待たずに急ぐ理由があるのでしょうか?篠田氏へは、アイヌの未来に対する「最大限の配慮」が求められます。


◆疑義11
 DNA解析の技術の進歩で、遺骨から新たな情報を得ることが可能になりつつあり、研究上の遺骨の重要性は増しています。

→これは「アイヌ遺骨を研究材料としてしか考えない」学者の考えそのものです。この文章(考え)によって、アイヌ遺骨に係る権利を有するアイヌの権利が失われるものではありません。

 篠田氏へは、アイヌ遺骨の尊厳及びアイヌの未来に対する「最大限の配慮」が求められます。


◆疑義12
 これからは研究成果の還元などで、アイヌ民族側と研究者との信頼関係を築いていくことが必要です。

→「研究成果の還元」から話が始まっていますが、研究開始以前にアイヌと研究者との信頼関係を築かれていることが必要です。

 篠田氏へは、研究の開始前の段階で、アイヌに対する「最大限の配慮」を行い、アイヌから信頼を得た上で研究を開始する事が求められます。
 』


 さて、これらをアップしようとしていたところに木村さんからのFAXが届いた。FMピパウシの「木村ニ三夫の言いたい放題」の草稿だ。ご紹介する。
 *草稿段階のものですので、若干変更となる可能性があります。

 『世界には、なんと愚かな人間がいるものだろう。それがアメリカのトップの座にいるトランプだ。

 FMピパウシ・リスナーの皆さん、イランカラプテ!木村ニ三夫の言いたい放題の時間です。

 今、地球人として真っ先に取り組まなくてはならない地球温暖化対策問題に、我がま身勝手で「パリ協定からの離脱」という信じられない決断を下したのが、このトランプだ。この愚か者を選んだ責任はアメリカ国民にある。

 地球を守る為には、今からでも遅くはない。国民自ら一日も早くこ引き摺り下ろしてもらいたい。アメリカ国民の一人が、こんな重たいことを言っていた。「私達はアメリカだけではなく地球に住んでいるのだ」と。

 そして、こうも付け加えた「ライフスタイルを変えてでも、この地球の温暖化を阻止しなければ」。

 この言葉が耳に残っている。私たち日本国民も真剣に考える時期が来たのではないだろうか。

 さて、我が日本でも愚か者が多い。
 4月21日、アイヌ政策推進会議・作業部会が東京で開催され、アイヌ民族遺骨研究の適否を判断する協議が行われた。

 「社会的利益とアイヌ民族の思いを、いかに調和させるかが今後の課題となる」と道新の記事にあったが。

 日本人類学会、日本考古学協会、国、大学側が考える研究の社会的利益のあり方とは、「アイヌモシリを奪い、アイヌ文化、言語、人権、尊厳、そして遺骨をも奪って、さんざん踏みつけた上、なおも社会的利益の為としてアイヌ遺骨を利用し研究しようとする小金井、児玉の意思を受け継いでいる」。

 この学者たちの神経は一体どうなっているのだろうか。「倫理を逸脱した考え方をするこの馬鹿者達の遺骨こそが、DNA研究に値するのでは」と考えたくなる。

 アイヌ遺骨からのDNAサンプル採取については、「北海道アイヌ協会に事前に説明し同意を得た」とあるが、こんな重要なことを簡単に同意するこの者達は真のアイヌではないのだ。

 悪賢い一部の日本人に魂を売渡し、その日本人と同じ皮を着ている「人でなし」なのだ。

 お願いがある。心ある学者達には、歴史認識、虐げられてきた人々への想像力を働かせて、「人である人」として、過去の責任に誠意を持って対処していただきたい。

 木村二三夫の言いたい放題でした。イヤイライケレ 』

 さて最後にお知らせがある。
 来る6月26日(月)、平取町に国立科学博物館副館長/日本人類学会会長の【篠田謙一氏】が来町し講演を行う。どなたでも、平取町外の方でも聴講自由だ。興味のある方は参加されたい。詳しくはこちらへ。

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