2017/3/25

もう一つの日本文化(アイヌ民族遺骨、発掘地域に返還 身元不明でも 政府方針)  文化・芸術
 ここのところ、連日、北海道新聞の記事の関係で木村さんから電話がかかってくる。

 一昨日は、【アイヌ遺骨返還 浦幌も和解 札幌地裁 北大から最多76体】の記事、昨日は【アイヌ民族遺骨、発掘地域に返還 身元不明でも 政府方針】の記事だ。

 電話の度に[意見交換]となる。木村さんは「私の解説」が役に立つと言うし、私は「木村さんが説明してくれる地元アイヌの反応の予想など」がとても参考になる。

 さて、この2つの記事だが、木村さんは辛口だ。
 木村さんと私で合意した見解について、表明する。


 昨日(3/24)の北海道新聞(朝刊)に【アイヌ民族遺骨、発掘地域に返還 身元不明でも 政府方針】という記事が出た。

 『政府は23日のアイヌ政策推進会議の作業部会で、北大などで研究目的で保管されているアイヌ民族の遺骨について、発掘されたのアイヌ民族団体が返還を求めた場合、身元不明でも返還に応じる方針を示した。…』という内容で、一般的には好意的に受け取られているようだ。

 だが、アイヌの歴史の中で、何度も、悪知恵の働く日本人に煮え湯を飲まされてきたかを痛切に感じている木村さん、性根が素直でなく、長い期間従事していた仕事が先ずは疑って考えるような性質だった私の2人は、単純に良かった良かったとは思わない。

 その理由は、一昨日(3/23)の北海道新聞(朝刊)記事【アイヌ遺骨返還 浦幌も和解 札幌地裁 北大から最多76体】における北大の態度だ。

 『…原告側代理人によると、和解では、北大医学部の研究者が1934〜35年に浦幌町内の墓地から持ち去ったとして返還を求めた64体に加え、北大側は新たに12体を返還対象にした。北大側からは「箱に入っている遺骨を整理した」と説明を受け、浦幌町内から掘り出されたとみられるが、詳しい発掘時期や場所などは不明という。北大は理由を明らかにしていない。…

 …和解後、札幌市内で記者会見した浦幌アイヌ協会の差間(さしま)正樹会長(66)は「遺骨を私たちの土地に返してもらい、安らかに眠ってもらう道が開けた」と喜ぶ一方、新たに12体を返還対象とした北大の遺骨の管理については「どこから掘り出したかも説明がなく、ぞんざいな扱いに腹が立つ」と述べた。北大は「裁判所の求めに応じ和解した。コメントは差し控える」(広報課)とした。…』

 北大の態度は、「情報は北大が有している。情報を出す出さないは北大の自由だ」と言わんばかりの傲慢なものだ。返還する遺骨の何の情報も出さず、説明責任も果たさない。

 返還を受けた地元において、返還された遺骨がどこからどんな風に掘り出さ れたかなどの情報が全くない中で、想いを寄せたイチャルパ(供養)ができると考えているのだろうか?

 恐らくは、そんな事には全く関心もなく、露ほども思わないのであろう。
 道義上も情報公開の精神とも程遠いこの態度は何なのだろうか。

 この2つの記事が1年も離れているならば、木村さんも私もそれほどは気にしないが、昨日の今日である。

 この北大の態度、状況が変わらなければ、国の方針が【アイヌ民族遺骨、発掘地域に返還 身元不明でも】と変わったところで、正しい返還は全く期待できない。

 なぜなら、北大から提供される情報は信用できない。信憑性に欠けるからだ。
 このままでは、未来永劫、北大が有している情報は明らかにならないだろう。

 では、どのように北大が有している情報が信用できるようになれば、【アイヌ民族遺骨、発掘地域に返還 身元不明でも】という国方針が、実行段階で担保できるのだろうか?

 あくまで一般論だが、イメージは、列車事故などにおける原因究明調査の為の第三者(公正・中立な専門家)によって構成される事故調査委員会方式だ。

 なぜ第3者によって構成される事故調査委員会方式が有効かというと、その事故を起こした組織に原因調査を求めた場合、自分たちのミスは隠すからだ。

 例え、悪意がなくとも、自分の属する組織に対しては、手心を加えるのが人情だ。いずれにしても踏み込んだ調査結果にならないことが多い。

 なお、事故調査委員会は、発生事案の原因究明を目的としており、事故の責任の所在については基本的に言及しないことが基本だ。

 いずれにせよ、一昨日の新聞記事のように「返還する遺骨の何の情報も出さない」など、社会的な信頼を失なわせるような出来事が日常的に行われている北大においては、アイヌ人骨に関連する事実調査は客観性のある調査、すなわち第三者による調査でなければ信用されないと木村さんと私は考える。
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2017/3/16

もう一つの日本文化(独から返還決定のアイヌ民族遺骨 偕楽園で盗掘 北大教授が確認ほか)  文化・芸術
 木村さんが共同代表になっている[平取「アイヌ遺骨」を考える会]の学習会【先人たちの遺骨をふるさとの地・平取へ】の開催も明後日(3/18)となった。
 木村さんは一人でも多くの人の来場を心待ちにしている。

 さて、FMピパウシの「木村ニ三夫の言いたい放題」の読み原稿については、木村さんからの依頼により、昨年10月/2日と11月9日の2回、当ブログに掲載した。

 今回は3月(今月)12日放送分について、若干言い足りなかった部分も付け足したので掲載してくれとの依頼が入った。ご紹介する。

『FMピパウシのリスナーの皆さん、イランカラプテ、「木村ニ三夫の言いたい放題」の時間です。
 今日は「ボブ・ディラン語録」から、少し拾い上げてみたいと思います。

 ディラン曰く、『俺にとってアメリカはアメリカインディアンを意味する。彼らは昔からこの地に住んでいて、ここは彼らの国なのだ。だから白人は皆、ただ不法侵入しているだけなのだ。

 俺たちがアメリカインディアンにした事は恥ずべき行為だ。物事を正す為に、アメリカはまずそこから始めなきゃならないと思う。』 とある。


 今のアメリカ、トランプ大統領が就任後、異常に増えてきたとされる「オルトライト」、白人至上主義者達の台頭が気になる。

 あちこちで黒人との摩擦が起きて、やがては内戦が勃発するのではと気がかりでアメリカの情勢から目が離せない。

 ボブの言っている事は、そのままそっくり日本国、北海道に当てはまる。日本国(政府)がアイヌにしてきた事は【恥ずべき事】だ。
 物事を正す為には、まずそこから始めなければならないと思う。それが今問題のアイヌ遺骨なのでは。


 2月24日の北海道新聞にこんな記事が。
 「菅」官房長官が「民族共生象徴空間」の開設時期について、2020年4月末までに間違いなく公開できるように工事をすると明言した。

 そして全国の大学に収蔵されているアイヌ民族の遺骨を集約する慰霊施設も整備するともあるが、余計なお世話である。

 つい最近、共同通信社のスクープで【札幌医大と北海道アイヌ協会理事長との間で交わされた遺骨に関する覚書が取交わされた後も、アイヌの魂を売渡した一部の者達の承諾で研究に使われていた】という新聞記事と覚書の写しが出回った。

 アイヌ遺骨研究に係る事実、実態はこんなものである。私が懸念していたとおりだった。

 日本政府においては、アイヌ政策を2020年の東京オリンピック開催に向けての対外向けパフォーマンスに利用し、なおかつ研究材料として使おうとする魂胆が見え見えである。

 立派な施設が出来て、北大の総長が慰霊に来るという話もあるが、ふざけるなと言いたい。現在の北大に慰霊の気持ちがないことは断言できる。
 なぜなら、昨年7月の浦河町(杵臼)への12体の北大保管遺骨返還の際、北大からは一切の謝罪はなかったのだから。
 
 慰霊の気持ちがないまま、慰霊するフリをして慰霊場所へ来るのなら、それは遺骨(死者)への二重の罪を犯していることになる。

 教養に欠ける北大の一部教授などには理解も出来ないだろうが、【1つは、遺骨(死者)を自分たちの欲望、彼らの言葉では「研究」に使用し、今後も使用しようとする罪】、【もう1つは、欺瞞の罪、わかり易く言えばダマシの罪】だ。教養のある人間はこのような事はしない。

 形だけの慰霊をしても、エカシ、フチ達の供養にはならない。アイヌ達よ。こんな話には用心、用心。何度でも言う。【盗んだ物は元へ返す。】当たり前のことだ。


 「木村二三夫の言いたい放題」の時間でした。』

 
 話は変わるが、一昨日(3/14)の北海道新聞の夕刊に【独から返還決定のアイヌ民族遺骨 偕楽園で盗掘 北大教授が確認】という記事が載った。

 私は記事を読み、画期的だと感じたことがある。この記事では【盗掘】という言葉を使用していることだ。

 記事では、【ドイツの民間学術団体・ベルリン人類学民族学先史学協会】が【収集者(ドイツ人シュレジンガー)は夜陰に乗じて掘り出したと報告しており、協会独自の倫理規定に照らして不法な収集方法だったと認定した】事が【返還を決めた理由】と紹介している。

 【発掘の主体側・ベルリン人類学民族学先史学協会】が、自ら【不法な収集方法だったと認定】しているのだから、新聞社(北海道新聞)も安心して【盗掘】と書けるのだろう。

 では、翻って、【北海道大学等の盗掘、無断発掘】は、どうなのだということになる。
 現在、問題として捉えなければならない事は、過去に不法な発掘、盗掘をした事そのものではない。

 【ベルリン人類学民族学先史学協会】のように【過去の行為】に対し【現在において、どのような認定を行うか】だ。

 もし、北大が、【自分たちの盗掘、無断発掘は、ドイツ人のやったこととは違う】と言うならば、堂々と記者発表すれば良い。
 逃げられるだけ逃げ回って、「コメントできない」などと発言する無様な姿を晒すのであれば日本人の恥だ。


 ちょっと話は変わる。以前から私が考えていた[アイヌ遺骨のDNA研究]と[医学研究用献体]の比較の話だ。

 私は、このアイヌ遺骨のDNA研究を考えるに当たって、最も近いイメージは、医学研究用の遺体提供「献体」だと思う。

 「人は、人生を精一杯生きて、死後は安らかに土に還る。」私は日本人として、こうした死生観を当たり前のことと認識しているが、この認識に立ってみても、日本における医学献体の手続きは納得できる。

 医学等の献体になるには、本人の意思に加え、遺族の承諾が必要とされている。
 本人及び遺族≒民法に定める祭祀承継者が了承しているのならば、第3者がとやかく口出しする必要はない。


 これは、理に叶っている。
 ちなみに、日本では身元不明の遺体があったとしても研究目的に使用してよい、ということにはなっていない。本人も遺族も了承していない場合は、いかなる状況でも研究目的には使用できない、ダメだということだ。

 これは遺体であっても、日本の文化では「人」として取り扱う。「尊厳ある人間」として取り扱うという思想に基づくものだと思う。

 さて、不思議なことがある。北大等に所蔵されているアイヌ遺骨の状況だ。
 その多くは、本人の意思も遺族の意思も、何の確認もなく、違法な発掘で収奪されたものだ。


 その北大等の研究者は、違法な手続きで得たアイヌ遺骨を堂々と研究に使用してきたという事実がある。

 過去の事実はとりあえず置いておくとして、問題の本質は、現在及び将来だ。
 なぜ、医学献体であれだけ【遺体であっても、[尊厳ある人間]として取り扱う】日本文化の思想が、アイヌ遺骨に関しては準じた取り扱いにならないのか。

 教養がない一部分子人類学者や教授達だけの問題ではなく、問題の本質はもっと根が深いのかもしれない。

 アイヌ遺骨の問題に止めず、ちょっと視点を広げてみると、この国において、圧倒的多数派の日本人が空気のように享受している権利が、ことアイヌや沖縄人に対しては、認めないような事柄が増している気がする。

 短期的に見れば、アイヌや沖縄のような少数派に犠牲を押し付けた分だけ、それを見て見ぬ振りをする多数派の日本人は権利(利益)を持ち続ける事が出来るだろう。

 だが、長期的に見れば、犠牲はアイヌ(沖縄)だけに留まらなくなる。
 
 あるべきでない暴挙や愚行の現実に対して、抗議なり何なりの行動をする事ができる身分の人間は何らかの行動をすべきだと思う。それは、自分や自分の子孫など多数派日本人の為でもある。私はそう考え行動している。
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2017/2/23

もう一つの日本文化(文部科学省が示した誠意他)  文化・芸術
 本日(2/23)、昨年(2016年)12月28日のブログで紹介した『木村二三夫さんと私が連名で文科省あて差出た【文部科学省に関する問合せについて】』の回答が届いた。

 <H29.2.22文科省学術機関課長回答>
 q1.jpg  q2.jpg  q3.jpg

 文科省として組織の意思決定の過程を経た文書番号が付与されているものであり、当方の質問にも真直ぐに答えている。

 回答内容の評価については、この問題に興味ある様々な人達、それぞれで意見の分かれる所があるかも知れないが、木村さんと私の評価は『誠意ある姿勢が感じれられる』というものだ。

 木村さんは、「アイヌ遺骨のDNA鑑定については、自分達の問題として考えていかなければならない。それにはまず、アイヌとしてしっかり内容を把握しなければならない。」と今後の勉強の意欲満々だ。

 さて、木村さんが前々から進めていた『平取「アイヌ遺骨」を考える会』の勉強会は、つぎのとおり来月(3月)18日に開催することとなった。興味のある方は、一人でも多く参加されることを木村さんは望んでいる。
 http://hmjk.world.coocan.jp/demae/2017biratori/biratori2017.html

 最後に、貝澤徹さんの工房を訪れた際、見せていただいた素晴らしい作品と自然が生み出した芸術品『霧氷』をご紹介する。どれもこれも素晴らしい。

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2017/2/16

もう一つの日本文化(「文部科学省に関する問合せ」の行方他)  文化・芸術
 前回(2017/1/27)のブログのとおり、1/25付け文科省の<不誠実>回答文書に対して、【真摯な回答を求める文書(事実上の督促文書)】を1/27日に発送した。
 この文書は配達証明により文科省に1/30日到着したことが確認されている。

 この文書においては提出期限を文書到着後10日後までとしたことから期限は2/10であるが、4日経過後の2/14になっても何の連絡もない。
 どうやら、この担当者(担当管理職)は、国民2名(アイヌ1名、日本人1名)の質問文書など、無視できるものと思い込んでいるらしい。

 という経緯から、昨日(2/15)、行政機関の不作為などの相談窓口である某政府機関と打合せを行った。
 この事により、文科省担当部署では回答に向けた行動が行われるはずである。…仮になければ、[次の手]を行うだけであるが。

 日本の行政は、戦後70年の間に民主的手続き確保の多重システムが構築された。
 このシステムも運用次第ではあるが、ここが、中国や韓国とは異なる日本の先進国たる証しだ。

 参考まで、某政府機関と打合せ資料の一部をお示しする。

         ●●●●●●●●●●●●●●●●との打合せ資料

                      北海道沙流郡平取町●●●●●●●●●●●
                       木 村 二 三 夫
                      北海道札幌市中央区●●●●●●●●●●●
                       ● 馬 ● 晶
資料1 H28.12.23北海道新聞(朝刊)「アイヌ人骨DNA鑑定‐文科省方針」
資料2 文科省HPお問合せ窓口案内
資料3 H28.12.27文科省あて提出文書「文部科学省に関する問合せについて」
資料4 H29.1.25 文科省からの回答文書
資料5 H29.1.27文科省あて提出文書「【平成28年12月28日付け「文部科学省に関する問合せ」の提出】に係る送付いただいた文書について
資料6 「北海道アイヌ協会」及び「日本人類学会学会」、「日本考古学協会」他が作成した「これからのアイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方に関するラウンドテーブル報告書(案)」(表紙及び目次)
資料7 資料3及び資料5の「郵便物等配達証明書」

    * ●馬●晶 連絡先:メール ●●●●●@●●●●●● 
                  携帯 ●●●−●●●●−●●●●

 さて、木村さんのエッセイ・カムイ達シリーズを紹介する。
 木村さんからは、今後は違う視点で、別の構想の作品を書くようなお話もお聞きしている。
 ともあれ、珠玉のエッセイをどうぞ!

【カムイ達18 ダムとカムイ達】

 平取、二風谷ダム、沙流川上流、糠平川、豊糠に建設中のダム、本当に必要だったのだろうか。猛禽類コタンコロクルカムイ(しまふくろう)が姿を消した。

 ダム関係者も随分カムイ達の住む環境に気を使っている様だが、今いる林、造材業者が大型機械を入れ山を荒らす。ため息が出る。カムイ達はいつの日にか帰ってきてくれるのだろうか。

 日高山脈、幌尻(ぽろしり)も、真っ白く薄いコートを着て美しい。幌尻のふところではササの葉を沢山カムイチセ(熊の穴)に引き込み暖かくして眠りに就いただろうか。

キムンカムイ(ヒ熊)達を春まで優しく包み込んでくれるだろう。里山近くはまだウパシ(雪)が降らずカムイ達は戸惑っていることだろうが。しかしもうすぐだ。カムイ達頑張れ。

 2016年は異常気象の為か、複数の台風が北海道に上陸、甚大な被害を置いていった。これも人類の欲望がもたらした付けだ。今のままでは、今後、世界中で付けを支払う時がくるだろう。

 世界一貧乏と言われたウルグアイの元大統領ペペ・ムヒカ氏が言っていた言葉を思い返してみよう。「私は貧乏ではない。質素なだけだ」と。この言葉を、今一度心へ留め置こうではないか。大事な子供達、そして未来の為に。

 2016年11月29日、師走の足音がだんだん近づいてくる。明日からは、奥日高、スキー場の近くに現場替わり。作業は枝打ち。比較的仕事が楽なのでカムイ達を観察できる。沢山のカムイ達との出会いに期待しよう。

 11月30日、朝起きると風景が一変していた。ウパシアシ(雪が降って)いた。幌尻から一気に冬が降りてきて里山が白一色に染まる銀世界だ。とうとう来たか。オー寒そう。寒空が俺を弱気にさせる。

 今朝もアマメチカッポ(すずめ)が天気が良いと教えてくれる。チカッポウタラ(小鳥)達の見送りを受け現場へ向かう。30分も走ったか。車内の暖房の暖かさにうとうとしている時、カラ松林の中をヌプリ(森)へ向かって走るイセポ(野ウサギ)が目に入った。

 すっかり毛代わりも終わりコロコロと太り雪にとけ込み赤い目を強調しながら俺達の視界から消えた。最近、少なくなってきたイセポだが、今年は二羽目の出会いが朝から何ともうれしい。今日は沢山のカムイ達との出会いがありそうだ。

 作業場へ着くと早速の出迎えが。20羽程のエアミ(かけす)が枝から枝へ飛び移る度に、昨夜降った枝の雪がパラパラと落ちる様が何とも美しい。これこそがカムイ達と自然が織りなす芸術なのだろう。素晴らしい。本当に素晴らしい。

 そんな自然の画廊の中での作業が始まって直ぐ近くでパンパンと乾いた音がライフルだ。「あっ、ユクが撃たれた。」といやな思いで仕事が続いていたが、いきなりカラ松林の俺達の目前を凄いスピードで若いユクがすり抜けていった。

 跡に血痕も残っていないので、上手く弾をかわすことができたな〜と一安心。ユク達、頑張れ。今日は朝から色々な事があった。明日も同じ現場だ。カムイ達よ、スイウヌカラアンロー。
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2017/1/27

もう一つの日本文化(「文部科学省に関する問合せ」回答文書の不誠実さ他)   文化・芸術
 昨日、文科省から速達が届いた。薄い紙切れ1枚だ。質問に対する回答になっていない。
 木村さんに相談した結果、きちんとした回答を求めていくことになった。
 国への文書は、今朝(1/27)、内容証明付きで発送済だ。


<H29.1.25文科省回答>p.jpg
                                           平成29年1月25日

 木村二三夫 様
 ●馬●晶  様

                                 文部科学省研究振興局学術機関課

         文部科学省におけるアイヌのご遣骨の一体化のための
         DNA鑑定技術の活用に係る考え方について

 まず初めに、ご連絡が指定の期日より遅れましたことをお詫びいたします。
 この度は、大学が保管するアイヌ遺骨の返還に関連して、貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。

 文部科学省におけるアイヌのご遺骨の一体化のためのDNA鑑定技術の活用に係る考え方につきましては、平成28年12月28日付北海道新聞24面に掲載されました訂正記事の内容とおおむね相違はございません。

 その他、ご質問いただきました内容につきましては、別途お電話にてご説明をさせていただければと思いますので、ご遠慮なくお尋ねください。

                                  (本件連絡先)
                                 文部科学省研究振興局学術機関課
                                 佐々木、岡田
                                  TEL:03-5253-4111 (代表)



 <国への文書>
                                          平成29年1月27日

  文科省 大臣官房総務課広報室庶務・企画係 ご担当者 様

                            北海道沙流郡平取町●●●●●●●●●●
                             木 村 二 三 夫
                            北海道札幌市中央区●●●●●●●●●●
                             ● 馬 ● 晶

      【平成28年12月28日付け「文部科学省に関する問合せ」の提出】に係る
      送付いただいた文書について

 平素より科学技術・学術研究の振興等行政の広報・普及促進に誠意取組まれていることに敬意申し上げます。

 さて、標記文書を送付いただきましたが、次の点において、依頼内容を満たしておりません。
 誠にお手数とは存じますが、管轄部署へのご指導方よろしくお願いします。

                          記

1 行政の常識として、文書で提出された質問に対しては、文書で回答願います。

2 送付いただいた文書において「この度は…貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。」
  の記述がありますが、先の提出文書には意見を記述しておりません。
  標題では「問合せ」、記書きでは「質問」で、いずれも回答を求めるものです。今一度、当方の
  文書の主旨をご理解の上、それぞれの質問に対し、真摯な回答をいただきますようお願いし
  ます。

3 なお、回答文書に当たっては、組織の意思決定の過程を経た文書番号が付与されたもので
  の提出をお願いします。

4 今回、送付いただいた文書からは、当方から提出した文書がどのような取扱いになっている
  か疑義があります。ついては、当方提出文書の接受文書としての文書番号をご通知ください
  。

5 提出期限
  当文書の到着後、10日後までとします。
                                                   以 上

 さて、久しぶりに木村さんのエッセイ・カムイ達をご紹介する。

 毎回感じることだが、珠玉の作品だ。私は月1回ほど知り合いのアイヌを訪問するような生活をここ10年ほど送っているが、その移動の行程も楽しみの一つだ。

 ちょっと寄道をするだけで、このカムイ達シリーズの雰囲気の片鱗を感じることが出来る。私にとって北海道は北海道であると同時にアイヌモシリだ。

【カムイ達17 オジロワシ】
 レタッチリ(白鳥)が今年も我が町のダム湖に到着した。水面が白に染まる程の数である。何とも賑やかで楽しそうな嬉しい光景だろう。

 山々も一面灰色に変わり、所々に針葉樹(トド松)の緑が目を引く。今朝は強い霜が降り「寒い」。いよいよ冬が仕事に向かう気力を削ぐ。

 しかし、天気予報士アマメチカッポ(すずめ)が「チッチ、チッチ、アチャポ(父さん)今日は天気が良いよ」、昼前には気温が上がるから頑張って仕事に行きなと励ましてくれる<愛妻>。

 そんな励ましに気力を奮い立たせ、仕事場に向かう。

 30分程で現場に着き仕事の段取りをと思っている時、近くからチカッポウタラ(小鳥達)のカワイイ歌声をかき消すかのように時期はずれのユク(オス鹿)の雄叫びが山々に響き渡る。

 猟期に入ったハンター達に居場所を教えているようなものではないか。パートナーが少なかったのか未練たらしい。人間にも同じ様な者がいて事件を起こすが!?

 俺に「鹿語」が話せたら、来年があるだろう馬鹿か、お前は!と言ってやりたい。

 そんな思いで作業が始まる。今日からは針葉樹カラ松の除伐だ。立木を切り落とす度にチェンソーの排気口が詰まる程にカラ松の細い枯れ葉が降り注ぐ。

 一時間も経ったか。嬉しい落とし物を見つけた。フンだ。キムンカムイのがササの上に。「大盛り」だ、フンの上にうっすらと松葉が。昨夜の物らしい。

 細い棒で落とし物を調べると消化できないドングリの皮と何か分からないが植物の種が沢山確認できた。この量と中身だと冬眠に必要な栄養が十分だと見て取れた。一安心だ。

 もう直ぐカムイチセ(熊の穴)に入る準備にかかるのだろう。寝床のササは十分足りているのか。沢山ササを入れて暖かくして眠りに就いてもらいたい。

 ハンター達に見つからない様に願うばかりだ。キムンカムイよ、スイウヌカラアンロー(また会おう)。

 今日はもの悲しく松葉が舞い落ちる中、仕事が終了。沢山のエアミ(かけす)の見送りを受けて帰路に就く。途中、珍しいチカップ、オジロワシ(尾白わし)が上空を旋回しているのが見えてきた。

 道路脇に車を止め観察していると、パシクル(からす)数羽と何かの取り合いをしている様だ。おそらく、ほっちゃり(産卵を終えた秋鮭)の取り合いなのだろう。

 激しい空中戦が続いていたが。そこへパシクルの援軍が。数には勝てないようでオジロワシが身を引き何処かへ飛び去った。

 さすが狡猾なカラス達、自分の身より3倍もあるようなオジロワシを数羽で追い払うのだからたいしたものだ。しかしなぜここに?

 オジロワシは、道北の海岸沿いに生息しているものとばかり思っていたが、今年は鮭が不漁と聞くが、その影響なのか。今日はカムイの<フン>、パシクル・オジロワシのバトルを見せてもらった。

 カムイ達よ、イヤイヤイケレ(ありがとう)。明日も同じ現場、カムイ達との出会いが楽しみだ。

 (明くる日)今日も同じ現場。アマメチカッポ(すずめ)、パシクル、チカッポウタラ(小鳥達)が行ってらっしゃいと見送ってくれた。

 今日、ヌプリでは珍しくカムイ達との出会いがなく仕事が終わり、帰宅の途に就く。ヌプリのカムイ達よ、元気でいてくれ。イヤイライケレ。

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