釣りは残酷な趣味である。
機嫌良く泳いでいる魚に針付きの餌または疑似餌を喰わせ、
グイグイ引っ張り上げて網ですくう。
どう考えても残酷な話であるが、そんなふうに自覚している
釣り師は少ないように思う。
釣った魚をリリースする行為は、ややもすれば「やさしさ」を
内包しているかのように表現されることがある。
更に言えば、魚を釣ること自体の残酷さを隠蔽する表現もしばしば
見られる。
このような自己完結的似非ヒューマニズムには、いささかウンザリ
させられる。
釣った魚を見て、その美しさや野生=自然の不思議、素晴らしさを
感じると同時に、「釣った」という行為による達成感、充実感を
もたらせてくれるのが、ぼくにとっての釣りの意味であり、共時的
に見れば、そこに「やさしさ」は存在せず、原始の血があるのみである。