「原田竹竿のフェルール」
先日の展示会には多くの方が原田竹竿のジョイント部に注目されていました。
そこで気になったのは、ほとんどのかたがその構造や作り方に終始されていた
ことです。
中にはある有名なロッドメーカーのかたが来られて、構造や素材、竹の厚みな
ど詳細に尋ねられました。
このスピゴットは単なるパーツに過ぎず、それをどう使うかが重要なところな
のに、そのあたりの話は欠けているのです。
もちろん竿として全体の機能の中でこのジョイントが果たす役割があって、そ
れをきちんと理解されるお客様も多数いらっしゃいました。そういう方々とお
話しし、試投いただけるとこちらもとても楽しくなってきます。
たんに手の込んだものを作っているわけではないのだということを、試投いた
だいたお客様には理解していただけたと思います。
以下、原田竹竿のスピゴットフェルールについて、少し書いておきます。
原田竹竿に使用しているジョイントは、いわゆる印籠継ぎです。
素材は鋼材+真竹。従来のメタルフェルールやバンブーフェルールを踏襲する
つもりは全くなく、使いやすさ、メンテナンスフリー、耐久性、竿(アクショ
ン)とのマッチングを模索した結果、ここにたどり着きました。つまり、原田
竹竿のコンセプトからこのスピゴットが生まれたわけで、原田竹竿に他のフェ
ルールを使うことは考えられません。
<メーカーとしての姿勢>
以前から、バンブーフェルールを装着しているロッドは他メーカーが製作され
ていますが、どちらかというとオプション的な扱いになっています。
たとえば同じモデルのロッドでもメタルフェルールかバンブーフェルールか選
択できるようになっています。
選択できるというのは一見、ユーザーへの配慮があるように思われますが、
「どちらでも可」は少々乱暴に過ぎるのではないでしょうか。
「こうでないといけない」というのが原田竹竿の主張であり姿勢です。
そのひとつが原田式スピゴットです。
<メタルフェルールとの違い>
原田竹竿のスピゴットとメタルフェルールの大きな違いのひとつは、アクショ
ンに与える影響です。原田式スピゴットはブランクと同じように曲がりますか
ら、テーパーもそのように設計してあります。このブランクに、曲がらないメ
タルフェルールを使うと、まったく異なるアクションになってしまいます。
シルキーなしなやかさが身上の原田竹竿には、原田式スピゴットしか着けられ
ないのです。
もちろんメタルフェルールが悪いと言っているわけではありません。その重量
や長さをうまく利用した竿はたくさんあります。メタルフェルールは硬質なト
ンキンケーンを使った竿とは相性がよいでしょう。事実、トンキンケーンをブ
ランク素材としたグランソワールブランドのバンブーロッドにはメタルフェル
ールを装着しています。
逆にそのような竿に原田式スピゴットは使えません。パワー伝達がうまくいか
ず、アクションがちぐはぐなものになってしまうでしょう。
<バンブーフェルールとの違い>
従来のいわゆるバンブーフェルールは強度確保のために、メス側がスウェルバ
ットのように太くなっています。そこには空気抵抗や外観の美しさに対する考
察が欠けていると思います。
原田式スピゴットは繋ぐとワンピースのようになってしまいます。
化粧を施した美しさではなく、機能から生まれる形状の美しさが原田式スピゴ
ットにはあります。
そしてそれは、原田竹竿が表現する「しなやかさ」に精神的な部分でも貢献し
ています。道具に精神的な部分があるというのもおかしな話かもしれませんが、
少なくとも「釣り」という遊びにおいては否定できない点であると思います。
最後にもう一度書いておきますが、ジョイントは竿の一部であり、それ自体の
よしあしをどうこう言うのはあまり意味がありません。大事なのは竿になった
時に、そのパーツがどんな仕事をするかどうか。
どっちでもよいパーツなんてあり得ないとぼくは思います。