日本版ESOP導入広がる 信託・証券、相次ぎ仕組み開発
従業員が企業の資金で自社株を取得する日本版ESOP(従業員自社株保有制度)の
導入をめぐり、企業の導入を支援するサービスが信託銀行や証券会社などで
広がっている。
みずほ信託銀行は新規参入して、来年度の導入を計画している
ダイドーリミテッドに提案し採用されたほか、三菱UFJ信託銀行や野村証券
なども相次ぎ仕組みを開発した。
ESOPは、株価が低迷し自社株買いのニーズが高まる中、
自社株を従業員に分配することで「社員のやる気を引き出せる」などとして、
企業の関心が高まっている。
従来も従業員持ち株会を通じて、社員が自社株を買うことはできたが、
内部情報によるインサイダー取引を防ぐため事前計画に沿って定期的に購入する
必要があり、高値で株式を買わざるを得ない場合もあった。
これに対して、日本版ESOPは、株式の取得を信託や中間法人といった受け皿に
一任するため、インサイダー取引の心配がなく、安値のタイミングを狙って
株式を買うことも可能だ。
企業が自社株を保有する「金庫株」の有効な活用法としても注目されている。
みずほ信託が開発した仕組みは、企業から金銭を信託された受け皿が市場からの
買い付けや金庫株の処分などで株式を取得する。従業員に金銭的な負担はなく、
退職時などに株式が給付される。ダイドー以外にも、来年度以降に6社が導入を
検討しているという。
みずほ信託の岡田利英・確定拠出年金推進室長は「従業員の経営参加意識の
向上が期待できる」と、メリットを説明する。
三菱UFJ信託も同様のサービスを提供しており、昨春には日本駐車場開発が
導入した。フロンティア戦略企画部の星治・統括マネージャーは「企業ニーズは
増えている」と、ESOPの導入拡大に自信を示す。
一方、野村証券は信託と従業員持ち株制度を組み合わせたサービスを提供している。
信託が一括して株式を取得し、定期的に持ち株会に売却する。
株価が上昇すれば差益を従業員に還元するため、「株価の低い時期が絶好の
導入機会」(IBコンサルティング部の橋本基美次長)という。
広島ガスや大同メタル工業など5社が採用済みだ。
三井住友銀行も、中間法人を通じて従業員持ち株会に株式を売却する仕組みを開発し、
住友不動産やネクシィーズが導入を決めた。
日本版ESOPは、低迷する株式相場を下支えする効果も期待され、
経済産業省が指針を取りまとめるなど普及に乗り出している。
ただ、株式を取得する信託や中間法人を連結させるか否かで監査法人の対応が
分かれるなど会計上の難しさもある。
定着させるには明確なルール作りが不可欠だ。
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