新薬開発面でも安心感、メリルリンチ日本証券が6350円指向
武田薬品工業は高血圧薬や糖尿病治療薬の好調で、今3月期の連結営業利益が前期比8%増の4000億円と、従来の減益予想から一転、13期連続で最高益になると伝え、UFJつばさ証券では、米国での睡眠障害治療剤など新薬開発面でも安心感があると評価。6000円台入りを主張している。また、メリルリンチ証券でも目標株価を6350円に設定、推進の構えをみせている。
同社株は1999年のアクトス発売以降「新薬ビジビリティ低下」によって、年25%のEPS(一株利益)成長を達成しながらも株価低迷が続いた。
昨年は米EAP社の表面数値の変化、米国でのアクトスでのシェア低下、糖尿病治療薬の開発中止などファンダメンタルズの低下懸念要素が断続的に発生。株価面でも「株式代行返上における売却有力候補企業」とされ、株価下落に対する一部の投資家の不満が経営への不信感につながった。
しかし、実際の収益動向をみると、2004年3月期実績は直前までの市場コンセンサスを3%上回る営業増益を達成、快走が続いている。米子会社TPNAでのイアクトスの成長や国内医薬営業の利益拡大が全体利益を押し上げており、今期以降も増額修正の余地、安定利益成長が十分期待できよう。
長期の株価下落の主因が、「新薬ビジビリティ低下」にあったとすれば、それは次第に改善しつつある。05−06年に新薬の米食品医薬品局(FDA)への申請が相次ぐ見込みだ。
具体的には10月申請が発表された不眠症治療薬や、TAP社での痛風治療薬、同子宮筋腫治療薬、糖尿治療薬などがある。
安定した収益力、日米欧での自社販売網、研究開発基盤などの基礎的インフラを再考したとき、同社株バリュエーションが、セクター平均を下回ってもよいとする理由は見当たらない。正当な評価に修正されるには「何らかのきっかけ」が必要であり、これまで悪化要因だった「新薬ビジビリティの改善」こそがそれに該当すると考えられる。
なお、同社の株主還元方針は結果的に「株主軽視」と指摘されてもやむを得ず、早急に改善すべきであろう。
懸案のTAP株式買い戻しや新薬パイプライン拡充のためのライセンス資金などを最大限考慮しても、1兆円を優に超える現預金資産は過剰と考えられる。枠設定のみで実施されなかった自社株消却も株主には不本意であろう。
「配当政策重視」としつつも現状は24−26%で、目標の30%、海外製薬企業の平均45−50%に程遠い。これに関し、同社の投資家への説明姿勢は十分とはいえない。「株主との穏やかな対話姿勢」への歩み寄りが求められる。
なお、同社は米国のバイオベンチャーが開発した抗ガン剤補助療法薬の北米での販売権をこのほど取得した。抗ガン剤の副作用を抑える新薬で、北米で1000億円規模と見込まれる市場を開拓する。
販売権を取得したのは、バイオニューメリック・ファーマシューティクルズ(米テキサス州)が開発した抗ガン剤補助療法薬「ディメナス」。抗ガン剤の投与に伴う痛みや感覚異常といった神経毒性の副作用を抑制し、ガン治療の効果を高めるというもの。

0