先日"The Obsession"主演女優の佐竹麻希が倒れたとの連絡を受けた。自宅で食事中に意識が無くなり身体が痙攣し呼吸停止!及び心停止!!に至ったとの事。今は回復しているらしいが病院でMRI検査を受けるそうだ。この猛暑の中頑張りすぎて過労が祟ったのだろう。暫し休めまっきー。
心停止にまでは至らないが夏が極めて苦手な私もついにダウン。仕事で使用する薬品で足の皮膚がボロボロになり出血し足を引き摺って歩いていたら足腰が筋肉痛になり動けなくなって仕事を二日休んだ。
そんなワケで8月に新作クランクインなどとんでもない話になった。そもそもシナリオが出来ていないのだが(笑)。怪奇劇場が終わってからという事にする。
しかし人間たまには休むもので家で横になり本などパラパラめくっていると新たな創作のヒントを得たりする。今年はどうも不運な事があってもしっかり起き上がれるという幸運に恵まれた年のようだ。つまりプラスマイナス=ゼロの年というか。。。
読んだ本というのは「映画崩壊前夜」(著:蓮見重彦)と「映画の恐怖」(一柳廣孝 吉田司雄 編著)。
「映画崩壊前夜」でのトッド・ヘインズ(「エデンより彼方に」)、マイケル・マン(「コラテラル」)、トニー・スコット(「マイ・ボディガード)」、ジョー・ダンテ(「ルーニー・チューンズ バック・イン・アクション」)、レス・メイフィールド(「アメリカン・アウトロー」)などの世に作家として認知される事など間違っても無く、所謂ハリウッドの職人監督と些か侮蔑気味な見方をされたりもする監督たちの仕事の可能性を見抜く、偏見の無い的確且つ独創的な視線が素晴らしい。ここらへんが数多の蓮見フォロワーとの明確な違いと言うべきか。この視線がいち早くイーストウッドを発見し、黒沢清を発見しているのだ。
もう一冊「映画の恐怖」はホラー映画に関する雑多な考察が並ぶ。面白いと思ったのは『「紀子」の首---「晩春」の不気味さについて』と題する中村秀之氏の文章。小津安二郎の「晩春」に潜む首無し女の恐怖を指摘している。確かに3カットにわたり首無し女性が何気無く写っている。しかもその一つは原節子本人によって演じられているのだ。ビデオをレンタルして確認すべしだ!
小津の映画はどこか不気味なオーラを発しているとは思っていたが、それは小津の非人間的とも思える厳格な演出から来るものとばかり思っていた。しかし実際に怖い画が存在するとこうもハッキリと指摘されると・・・実に怖い。この視点の有り方、中野京子著「怖い絵」と通ずるものがあると思う。一見、ホラーとは何の関係も無いような作品に潜む怖さを抉り出すセンス。非ホラー作品のホラー指数の計測(笑)。ホラー映画のここ数年の閉塞感を打ち破るにはこのような考察による迂回を経た飛躍が必要だと思うのだ。
今年に入ってから、何も怖いものが写っていないのに怖い映画というのを模索していて拙作"The Obsession"はその最初の実験の結果といえる。実は"The Obsession"は何も怖いものが写っていないとまでは行っておらず、そこまで徹底し切れなかったのだが場面場面では何とか試みたつもりだ。特にラストシーンには注目して欲しい。