2018/7/13

東京ステーションギャラリー「いわさきちひろ展」内覧会  館外展・関連企画

東京ステーションギャラリー「生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。」内覧会へ。

ちひろという、先入観を解きほぐして自由に語ることの難しい画家を、あえて読みなおし、「イメージの刷新」を試みるという展覧会です。
岡田三郎助、中谷泰、丸木夫妻ら師事した画家たちとの影響関係や、表現の技術的な画期性に焦点を当て、新たに掘り起こされた幻灯などの資料も充実していました。

展示構成は比較的オーソドクスでしたが、「絵画」として正攻法で見ることがかえって新鮮に感じられるのは、「原爆の図」も他人事ではありません。

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「イメージの刷新」という意味では、図録に収められた足立元さんの論考「前衛のちひろ 1947-1952」が良かったです。
前衛美術会への関わりという、これまで重視されていなかった視点から、温和なイメージの彼女が、過激な「前衛」の芸術活動にどれほど意識的だったのかを検証する内容。
革新のために自己さえも破壊するのが「前衛」の宿命ならば、「前衛」を通過して「童画家」の道を選びとった彼女の存在を、足立さんは「前衛芸術の側から、むしろ積極的に評価すべき」ではないかと挑発的に問いかけます。さらに、いわゆる「前衛の女性」からちひろを排除してきたことこそ前衛芸術史観の問題ではないか、と。
ごく少数の例外を除いて、生涯「前衛」であり続けた者はほとんどなく、「挫折」や「転向」にも意味を見出そうとする彼ならではの、興味深い問題提起でした。

今回の展覧会も含めて、近年のちひろ研究は、変革をおそれず、自立した「童画」の新しい表現手法の実験を試み続けた(最後の作品となった『戦火のなかの子どもたち』は、何度見ても凄みがあります)画家としての評価が基軸になっているので、その出発点として前衛美術会時代のちひろの思索に迫ることは、彼女の画業の根幹を考える上で重要な意味を持つでしょう。

「破壊の果てに自壊してしまう前衛芸術のひとつとして、童画家「いわさきちひろ」の誕生があった」とする足立さんの指摘からは、たしかに「新しいちひろ像」が浮かび上がります。
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